【薬剤師養成検討会】薬学部入学定員抑制への提言表現で文科省の発言が物議

【薬剤師養成検討会】薬学部入学定員抑制への提言表現で文科省の発言が物議

【2021.06.06配信】厚生労働省は、「第9回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催し、これまでの議論のとりまとめ案を示した。薬学部の新設や入学定員の適正化の議論の必要性、卒後研修の必要性など、これまでの論点を整理した。この中で薬学部の入学定員抑制に関するとりまとめへの表現に関して、山口委員が「早急に検討すべき。時間の猶予がない」と強い表現を求めたのに対し、文科省は山口委員の発言の方向性にとりまとめられるのか確認を求め、「検討いただきたい」と発言した。それに対し、日医の宮川委員や日薬の安部委員は強い表現に同意する意向を示した。とりまとめに関しては意見を調整した上で、次回の検討会で示す予定。6月中を予定している。


 薬剤師養成検討会では、現在の薬学部の在り方が大きな課題として取り上げられてきた。

 相次ぐ新設校の認可で薬学部への入学者総数が増大しているほか、全入状態となっていたり(受験者数と入試合格者数がほぼ同数)、定員以上に入学させていたり(定員を上回る入学者がいる)、その半面、6年課程で国試に合格する者の数が半分を切っていたり(ストレート合格率の低迷、中には3割を切っている大学もある)などの大学があることが指摘されてきた。

 こうした状況に日本薬剤師会の安部好弘氏は、「看過できない」との認識を示し、「薬学部の入学定員総数は、将来の医療政策や薬剤師需給に密接に関わるものであり、将来の業務展開を見据えた適正数を図る必要がある。文部科学省は、薬剤師の需給に関する国の方針がない限りは定員に関する議論はできないとの姿勢であるが、この検討会における需給調査や大学における教育体制を踏まえ、文部科学省が大学に対して入学定員総数の適正化を図る等の措置が可能となるよう、制度の構築を求める必要がある」と明確な立場をとってきた。

 日本医師会常任理事の宮川政昭氏や、認定 NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長の山口育子氏も基本的に同様の考えをこれまでの検討会で示してきた。

 こうした中、今回の「とりまとめ案」では、「今回の需給推計の精査を行いつつ、入学定員数の抑制が必要か否かも含めて検討すべきではないか」としていた。

 これに対し、山口委員が、「必要か否か、ではなく、問題点を考えると、必須である。念頭において早急に検討すべきという表現にしてほしい」と求めた。「前倒しで検討していかないと、時間に猶予がないと思っている」とした。

 この山口氏の発言を受け、文科省が発言を求めた。
 山口委員の発言のままにとりまとめになるのかの確認を求め、「検討いただきたい」と述べた。

 この発言に対し、日医・宮川氏は、「いまの発言は委員のみんなが笑っていると思う」と指摘。「(国試に合格できる)ちゃんとした人が卒業できていない。これが(薬学部の)教育ですか」と文科省の責任の重さへの認識を質した。
 
 日薬・安部氏も「(とりまとめの)検討すべきではないかという表現はあいまいで、どうとでも読めるが明確にしないといけない。需給の状況に応じてコントロールする仕組みになっていないことが問題。過剰になってから施策を講じても実効性が出るのは6年後になるため、必要か否かを検討を始めるのでは遅きに失する。(文科省の発言は)先送りしたいとも聞こえた」と述べた。

**************
 議論を重ねてきた薬学部の入学総数の抑制の必要性に関して、とりまとめの段になって文科省から異論とも取れる発言が出たことに唖然としたというのが多くの委員の印象だろう。

 1000万円以上の学費がかかるといわれ、6年という年月を費やす薬学部が、ストレート国試合格率で3割を切る大学があることは倫理的にも問題が大きいのではないか。既卒の合格率は新卒よりも低い。中には既卒者の国試合格率が3割を切る大学もある。
 この倫理的な問題にもメスを入れることができるようになれば、この検討会の大きな成果となるだろう。
 未来の薬剤師の社会からの価値にもかかわるテーマとして、現役薬剤師もこの議論の行方に関心を持ってほしい。

<PR情報>【地域密着薬局をマツキヨが支える!?】M&AでもFCでもない商品供給プログラムに注目

https://www.dgs-on-line.com/articles/948

 コロナ禍の受診抑制で経営的に大きなダメージを受けた薬局は少なくない。薬局経営者の中では「これからの薬局経営は調剤に偏重していては立ちいかなくなる」との思いが強くなっている。しかし、具体的に健康サポート機能を強化しようにも、新製品や話題の製品動向の情報収集、また“モノ”そのものの調達も簡単ではない――。そんな課題を抱える地域密着薬局から注目を集め始めているサービスが、マツモトキヨシホールディングス(以下マツモトキヨシHD)が手掛ける「調剤サポートプログラム」だ。同プログラムの有効性はいかほどなのか。業界紙記者が探る。

この記事のライター

関連するキーワード


薬剤師養成検討会

関連する投稿


【薬剤師養成検討会】「調剤業務委託の是非」を検討へ/ワーキンググループを設置

【薬剤師養成検討会】「調剤業務委託の是非」を検討へ/ワーキンググループを設置

【2022.01.20配信】厚生労働省は1月20日、「第11回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催し、薬剤師・薬局業務に関わる検討についてワーキンググループを設けて検討する方針を示し、了承された。検討内容については、資料で示した内容には記載がなかったものの、事務局は「規制改革で指摘されている調剤業務の委託」を口頭で追加説明した。


【薬学生向けイベント】「これからの薬局・薬剤師」開催レポート<2万字記事>サンキュードラッグ平野社長とアイセイ薬局藤井社長が登場

【薬学生向けイベント】「これからの薬局・薬剤師」開催レポート<2万字記事>サンキュードラッグ平野社長とアイセイ薬局藤井社長が登場

【2021.09.18配信】ドラビズon-lineは9月1日、薬学生向けオンラインイベント「これからの薬局・薬剤師」を開催した。サンキュードラッグ社長の平野健二氏とアイセイ薬局社長の藤井江美氏に参加いただき、経営者の目線からの見解を紹介いただきつつ薬学生とディスカッションしていただいた。


【セミナー開催】「薬剤師養成検討会が示す薬剤師の未来像」/狭間研至氏が開催/西島正弘氏も登場

【セミナー開催】「薬剤師養成検討会が示す薬剤師の未来像」/狭間研至氏が開催/西島正弘氏も登場

【2021.07.26配信】狭間研至氏(ファルメディコ社長)はオンラインにて、「薬剤師養成検討会が示す薬剤師の未来像」をテーマにしたセミナーを開催する。同検討会で座長を務めた西島正弘氏(薬学教育評価機構)も登場する。開催日時は8月2日(月)、18:30 〜20:00まで。


【薬剤師養成検討会】「薬剤師にしかできない業務に取り組むべき」/とりまとめを公表/調剤業務を引き続き検討

【薬剤師養成検討会】「薬剤師にしかできない業務に取り組むべき」/とりまとめを公表/調剤業務を引き続き検討

【2021.06.30配信】厚生労働省は6月30日、「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」のこれまでの議論のとりまとめを公表した。養成では入学定員の抑制への実行を掲げた一方、「薬局及び医療機関の薬剤師の業務(調剤業務、ICT対応)」の項では、「対人業務の充実と対物業務の効率化のためには、薬剤師しかできない業務に取り組むべき」と記載。「それ以外の業務は機器の導入や薬剤師以外の者による対応等を更に進めるため、医療安全の確保を前提に見直しを検討することが必要である」と記載した。調剤業務の見直しに関して引き続同検討会で検討していくとした。今後の注目は「調剤業務の見直し」になりそうだ。


コラム【薬剤師養成検討会のとりまとめ案】調剤報酬改定2022への布石を読み解く

コラム【薬剤師養成検討会のとりまとめ案】調剤報酬改定2022への布石を読み解く

【2021.06.18配信】厚生労働省が「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」で進める「とりまとめ」。6月中にも最終稿の公表を目指すが、この「とりまとめ」は公表後に、どのような影響を及ぼすのか? 薬局の資質向上を図る策としては、当然のことながら調剤報酬による政策誘導が考えられる。


最新の投稿


【厚労省_調剤報酬改定】夜間休日リスト、「手続き済み、公表待ち」でも届け出OK/疑義解釈資料(その6)

【厚労省_調剤報酬改定】夜間休日リスト、「手続き済み、公表待ち」でも届け出OK/疑義解釈資料(その6)

【2024.05.31配信】厚生労働省は5月30日、令和6年度調剤報酬改定の「疑義解釈資料の送付について(その6)」を発出した。


【OTC医薬品卸協議会】新名称を報告/協議会会長の松井秀正氏

【OTC医薬品卸協議会】新名称を報告/協議会会長の松井秀正氏

【2024.05.30配信】日本医薬品卸売業連合会は5月30日に通常総会を開いた。


【岩月・次期日薬会長】「県薬との連携は重要」/“非会員”飯島氏の新理事入りへの反対意見に

【岩月・次期日薬会長】「県薬との連携は重要」/“非会員”飯島氏の新理事入りへの反対意見に

【2024.05.30配信】日本薬剤師会は5月29日、都道府県会長協議会を開催した。この中で、長野県薬剤師会は県薬非会員である飯島裕也氏(上田薬剤師会)の次期理事入りに対して、一部報道があった通り、反対意見を表明。次期会長候補である岩月進氏に見解を求める場面があった。


【日本薬剤師会】令和7年度予算要望/薬価に依存しない財源確保

【日本薬剤師会】令和7年度予算要望/薬価に依存しない財源確保

【2024.05.29配信】日本薬剤師会は5月29日に都道府県会長協議会を開催。その中で令和7年度予算要望の内容を説明した。


【日薬公表】令和5年度医薬分業率は80.3%、前年比3.9ポイント増/速報値

【日薬公表】令和5年度医薬分業率は80.3%、前年比3.9ポイント増/速報値

【2024.05.29配信】日本薬剤師会は5月29日に都道府県会長協議会を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング