【中医協総会】“治療アプリ”の診療報酬上の評価の在り方、年末メドに取りまとめ/有澤氏「調剤報酬でも検討を」

【中医協総会】“治療アプリ”の診療報酬上の評価の在り方、年末メドに取りまとめ/有澤氏「調剤報酬でも検討を」

【2021.03.24配信】厚生労働省は3月24日、中央社会保険医療協議会 総会(第476回)を開き、日本薬剤師会の有澤常務理事が、診療報酬改定結果検証部会の報告内容に関連して、「病棟における薬剤師の関与が医師の負担軽減に効果があるとのデータが出ている。病院薬剤師のさらなる活用に関してしっかり検討していく必要がある」と述べた。さらに、いわゆる「治療アプリ」への診療報酬上の評価について考え方の整理を年末をメドに取りまとめる方向が決まった。有澤氏は調剤報酬上の検討も要望した。


「退院時の薬剤情報管理指導」に「効果ある」が80.3%

 この日の総会では「診療報酬改定結果検証部会」からの報告事項があり、「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等に関する実施状況調査」の結果が報告されていた。

 調査では、「病棟における薬剤師の関与の状況等」において、薬剤師が配置されている病棟に勤務し ている医師に病棟における薬剤師の関与の状況を尋ねたところ「主に薬剤師が関与」として最も多かった業務は「退院 時の薬剤情報管理指導」(83.3%)で、次 に多かったものは「患者からの情報収集 (投薬歴、持参薬等)」(81.1%)だった。

 また、病棟薬剤師の配置による医師の負担 軽減及び医療の質向上への効果では、「効果がある」として最も多かった業務は「患者からの情報収集(投薬歴、持参薬 等)」(82.4%)で、次に多かったものは「退院時の薬剤情報管理指導」(80.3%)だった。

 こうした軽減効果が確認されたことを日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏が改めて強調し、「病院薬剤師のさらなる活用に関してしっかり検討していく必要がある」と述べた。

 退院時の薬剤管理指導には、退院後の連携先ともなる薬局薬剤師との連携も、これまで以上にクローズアップされていくことになりそうだ。

アプリに調剤報酬を

 なお、この日は、「プログラム医療機器の診療報酬上の評価の検討について」も議題となっており、いわゆる治療アプリへの診療報酬上の評価について整理していく必要性が指摘された。

 昨年11月の中医協総会でも、疾病の診断・治療を目的とした様々な新しいプログラムの開発により、アプリや人工知能(AI)を使用したプログラム医療機器として薬事承認され、 保険収載される事例が出てきている中、デジタルな部分について、技術料で評価していくのか、あるいは医療材料で評価していくのかなど、考え方を整理していく必要性が指摘されていた。

 また、令和2年12月に第9回規制改革推進会議で決定された「当面の規制改革 の実施事項」においても、プログラム医療機器の医療保険における評価の考え方を明確化することが明記されていた。

 中医協では、同日の総会を皮切りにプログラム医療機器の診療報酬上の対応の検討を開始し、年末をメドに取りまとめる方針を示した。

 これに関連して、有澤氏は「調剤報酬でも検討して欲しい」と要望した。

この記事のライター

関連する投稿


【中医協】賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示

【中医協】賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示

【2024.06.14配信】厚生労働省は6月14日、中央社会保険医療協議会(中医協)診療報酬調査専門組織(入院・外来医療等の調査・評価分科会)を開催した。その中で賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示した。


【厚労省_中医協】マイナ保険証の利用実態を調査へ

【厚労省_中医協】マイナ保険証の利用実態を調査へ

【2024.06.12配信】厚生労働省は6月12日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、マイナンバーカードの保険証利用の利用実態等に係る医療機関・薬局へのヒアリングを実施することを了承した。


【厚労省_中医協】薬局の夜間・休日等における医薬品提供体制の状況調査へ/令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の実施

【厚労省_中医協】薬局の夜間・休日等における医薬品提供体制の状況調査へ/令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の実施

【2024.06.12配信】厚生労働省は6月12日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開いた。


【厚労省_中医協】敷地内薬局、今後は総会で議論/今後の検討の進め方を了承

【厚労省_中医協】敷地内薬局、今後は総会で議論/今後の検討の進め方を了承

【2024.05.15配信】厚生労働省は5月15日、中央社会保険医療協議会(中医協) 総会を開催した。


【令和6年調剤報酬改定_答申】基準見直しの調剤基本料「2ーイ」、集中率上位3医療機関で7割超

【令和6年調剤報酬改定_答申】基準見直しの調剤基本料「2ーイ」、集中率上位3医療機関で7割超

【2024.02.14配信】厚生労働省は2月14日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、答申について議論し、最終案を提示した。


最新の投稿


【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。


【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【2024.07.24配信】日本薬剤師会は7月24日、都道府県会長協議会を開催した。


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


ランキング


>>総合人気ランキング