【コロナワクチン接種】薬剤師の研修始まる。希釈作業がメイン

【コロナワクチン接種】薬剤師の研修始まる。希釈作業がメイン

【2021.02.01配信】1月29日、厚生労働省は各都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部宛に事務連絡「新型コロナウイルスワクチンに係る予防接種実施計画の先進的な取組事例について」を発出。「練馬区モデル」を提示した。モデルでは、医療機関の個別接種をカバーする集団接種では、医師・看護師のほかに薬剤師もチームを組む。薬剤師はワクチンの希釈作業などにあたる見込みで、希釈の研修を始める地域薬剤師会も出てきた。速やかな体制整備が求められている。


 厚生労働省の事務連絡では、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保については、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引きについて」(令和2年 12 月 17 日付け厚生労働省健康局長通知)等により、現時点での情報とその具体的な事務取扱等を示しているものの、今後の薬事承認や医療従事者等への接種の状況によっては、早ければ4月以降にも高齢者への接種が見込まれるとしている。

 その上で、新型コロナウイルスワクチンの円滑な接種のためには、新型コロナウイルスワクチンに
係る予防接種実施計画が重要となるとして、その検討に資するよう、先進的な取組事例をとりまとめたとする。なお、今回の事務連絡は発出時点の情報で、検討の結果により、変更となる可能性があるとしている。

 提示したのは、東京都練馬区 健康部 住民接種担当課の「練馬区モデル」。
 個別接種と集団接種のベストミックスにより短期間での接種完了を目指すもの。
 診療所での個別接種をメインに、集団接種会場がカバーする。
 個別接種会場は、区内約250か所の診療所を想定。
 集団接種会場は、平日常設 6か所の病院、4か所の区立施設、土日開設 区役所本庁舎、8か所の学校体育館(延96校を巡回開設)を想定。
 予約は、個別接種は直接診療所へ申込(高齢者インフルエンザワクチン接種と同じなので混乱が少ない)とする。
 集団接種は区が受付(インターネット・自動音声受付)。

https://www.mhlw.go.jp/content/000731252.pdf

こうした動きを受けて、地域薬剤師会では集団接種で薬剤師が貢献するための研修を実施するところが出始めている。

 研修に参加した薬剤師によると、希釈作業がメインで、ワクチンの種類にもよるが冷凍でくるワクチンを解凍、生理食塩水で希釈する作業が必要で、ここに薬剤師の作業が発生する可能性があるという。

 1月29日に開かれた社会保障審議会の場でも、全国市長会会長(相馬市長)の立谷秀清氏が、「小さな市町村ほど、体制整備に不安が残る」などと発言していた。

 全国市長会会長は1月14日に、全国知事会会長、及び全国町村会会長連名で「新型コロナウイルスワクチン接種に関する緊急提言」を河野・行政改革担当などに提出していた。
 「ワクチン接種体制確保事業費国庫補助金に関する各都道府県・市町村の申請可能な目安額が示されたが、所要額との乖離が大きい。接種記録や予約等に係るシステム改修やコールセンターの設置、集団接種(優先接種含む)を実施するにあたっての医療機関等への協力金等も含め、接種体制の整備に係る費用に地方の負担が生じないよう、地方自治体の意見も踏まえ、国の責任において必要な措置を講じる」ことなどを要望していた。

 研修会をはじめている地域薬剤師会でも、研修を修了した薬剤師数がまだまだ足りないとして、積極的な参加を要請している。
 今後、速やかな体制整備のために都道府県や市町村、医療団体と連携した薬剤師の活動が求められそうだ。

この記事のライター

関連する投稿


【日病薬】武田会長、改定の「薬剤業務向上加算」、第8次医療計画を後押しするもの

【日病薬】武田会長、改定の「薬剤業務向上加算」、第8次医療計画を後押しするもの

【2024.02.17配信】日本病院薬剤師会は2月17日に臨時総会を開いた。挨拶した武田泰生会長は今回の診療報酬改定にも触れ、薬剤業務向上加算については、「新任薬剤師の研修体制の構築や、出向を通してシームレスな薬物治療をつなぎ、第8次医療計画を後押しするものと期待している」と評価した。


【コロナワクチン接種】薬剤師の貢献を振り返る/飯能地区薬剤師会(埼玉)の事例から

【コロナワクチン接種】薬剤師の貢献を振り返る/飯能地区薬剤師会(埼玉)の事例から

【2021.12.10配信】3回目の接種に向けて準備が進むコロナワクチン。1回目、2回目の接種では初めての事態に自治体や医療従事者の中でも戸惑いがあった。そのような中、接種会場への協力等の薬剤師の参画に対しては、高い評価があった。飯能地区薬剤師会(埼玉)の取り組みから振り返る。


【米国薬剤師の役割でセミナー開催】全米州薬局協会連合州政策担当部長のAllie Jo Shipman氏が登場/主催・真野俊樹氏

【米国薬剤師の役割でセミナー開催】全米州薬局協会連合州政策担当部長のAllie Jo Shipman氏が登場/主催・真野俊樹氏

【2021.08.17配信】8月20日(金)9時〜、真野俊樹氏(多摩大学大学院教授)が主催するWEBセミナーが開かれる。テーマは「米国薬剤師の役割とその重要基盤COVID-19を踏まえて」。数十名規模でインタラクティブな質疑応答が可能なセミナーとなっている。料金は1万6000円。申し込みはPeatixより。https://digital-health-now-4.peatix.com/


【コロナワクチン保管温度のトラブル】保管冷蔵庫で温度上昇事例を確認/東京都薬剤師会が注意喚起

【コロナワクチン保管温度のトラブル】保管冷蔵庫で温度上昇事例を確認/東京都薬剤師会が注意喚起

【2021.07.09配信】東京都薬剤師会は7月9日に定例会見を開き、コロナワクチンの保管状況について注意喚起した。同会では東京商工会議所と協力して従業員50人以下の企業に対してコロナワクチン接種を進める「東京コロナワクチンチーム」に参画している。東京商工会議所で冷蔵していた保管冷蔵庫で、温度が上昇する事例が確認されたという。


【コロナワクチン接種への薬剤師の協力】45.7%の薬局で協力要請に対応/日本保険薬局協会調べ

【コロナワクチン接種への薬剤師の協力】45.7%の薬局で協力要請に対応/日本保険薬局協会調べ

【2021.07.08配信】日本保険薬局協会(NPhA)は7月8日に定例会見を開き、新型コロナワクチン接種における薬局薬剤師の活動状況について報告した。協力要請のあった7割の薬局のうち、45.7%の薬局で協力要請に対応していることが分かった。コロナワクチン接種への薬局薬剤師の協力体制に関して、規模の大きな調査はこれが初めて。


最新の投稿


【調剤報酬改定疑義解釈】「4月又は5月に新規の届出又は変更の届出を行った場合」の令和6年6月以降の経過措置の取扱い

【調剤報酬改定疑義解釈】「4月又は5月に新規の届出又は変更の届出を行った場合」の令和6年6月以降の経過措置の取扱い

【2024.03.29配信】厚生労働省は令和6年度調剤報酬改定における疑義解釈その1を発出した。施行時期が6月に後ろ倒しになったことに伴い、「4月又は5月に新規の届出又は変更の届出を行った場合」において、令和6年6月以降の経過措置の取扱いはどのように考えるか示した。


【第一三共ヘルスケア】新社長就任の内田高広氏、スイッチ促進政策で「当社の成長にもつながる」

【第一三共ヘルスケア】新社長就任の内田高広氏、スイッチ促進政策で「当社の成長にもつながる」

【2024.03.29配信】第一三共ヘルスケアは3月29日、社長人事に関する記者会見を開催した。4月1日付けで内田高広氏(取締役執行役員経営企画部長)が代表取締役社長に就任することを受けたもの。


【規制改革推進会議WG】スイッチOTC促進議論/令和8年末までOTC化目指す成分リスト公開

【規制改革推進会議WG】スイッチOTC促進議論/令和8年末までOTC化目指す成分リスト公開

【2024.03.29配信】内閣府規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)が3月28日に開かれ、スイッチOTCの促進について議論された。


【薬局の夜間・休日対応】日本薬剤師会、リスト化の周知(その3)を発出

【薬局の夜間・休日対応】日本薬剤師会、リスト化の周知(その3)を発出

【2024.03.28配信】日本薬剤師会は3月28日に定例会見を開き、3月15日付けで「地域における夜間・休日の医薬品提供体制(在宅含む)の構築、リスト化及び周知等について【重要】(その3) 」を発出したと説明した。リスト様式を示し活用を促したもの。リスト項目に不足がある場合は差分情報のリスト化はすでに公表している地域でも必要となる。


【令和7年度の薬価“中間年改定”】岸田首相「関係者の意見も聞き検討進める」/参議院予算委員会で神谷政幸氏の質問に答える

【令和7年度の薬価“中間年改定”】岸田首相「関係者の意見も聞き検討進める」/参議院予算委員会で神谷政幸氏の質問に答える

【2024.03.28配信】参議院予算委員会が3月28日午前から開かれ、神谷政幸参議院議員が質問に立った。


ランキング


>>総合人気ランキング