【店頭トレンド発信】コスモス薬品の強みを店頭スタッフが解析!

【店頭トレンド発信】コスモス薬品の強みを店頭スタッフが解析!

【2021.01.05配信】コスモス薬品。「ディスカウント ドラッグコスモス」というチェーン名で九州中心に運営しているドラッグストア企業だ。福岡県に本社を置き九州地区や関西地区で成長を続け、西日本で大きなシェアを獲得。2019年4月には東京都渋谷区に広尾駅店をオープンし、首都圏初進出を果たした。2020年12月現在、首都圏内の店舗は15店舗までにのぼる。様々なエリアに出店し、業績を上げ続けているコスモス薬品の強みとはいったい何なのか。ドラッグストアに勤務する登録販売者の視点から、競合各社と比較をしながら考察し、ドラッグストア店員と顧客、双方の目線からレポートする(記事=登録販売者ライター・「梨さん」)。


コスモス薬品の強み 1、圧倒的な顧客満足度の高さ

 コスモス薬品の一番の強みは圧倒的な顧客満足度の高さだ。

 顧客満足度調査を行っている日本版顧客満足度指数調査(以下JCSI)というものがある。
 JCSIとは、サービス業の運営するうえで重要な「顧客満足」を数値化し、企業と業種の成長に貢献することを目的とした日本最大級の顧客満足度調査である。
 調査対象には業界1位のウエルシアや大手のマツモトキヨシなども入っており、競合各社もまとめて調査・評価をされている。

 JCSIによると、ドラッグストア業種ではコスモス薬品は2011年度から2019年度までの9年間顧客満足度1位を記録しており、お客様の期待に応え続けているコスモス薬品の姿が見えてくる。調査項目は「お店に対する期待感」や「コストパフォーマンス」、「実際に使ってみた時のクオリティ」など計6項目あり、実際お店を使ったことのある顧客から回答データを集めているため、長年どれほどの支持を得ているか分かる調査結果だ。
 
 お店を運営するうえで、顧客満足のことを考えていない企業はない。しかし、お客様の期待に沿い続けるのはとても難しい。お客様の期待を裏切らず、顧客満足を高め続けるコスモス薬品は伸びてしかるべき企業であるといえる。

2、ポイントカードサービスの撤廃

 コスモス薬品はポイントカードシステムを採用していない。ドラッグストア各社はもちろん、小売業のほとんどが採用しているシステムを取り入れてない点はとても斬新である。

 また、昨今ではアプリでポイントを貯められる企業も増えてきたがコスモス薬品はそのシステムも採用してない。
 コスモス薬品はアプリのリリースはしているがあくまでもチラシ情報や新商品情報が中心、ポイントによる販促は全くなしである。

 本来ポイントカードは買い物の楽しみのひとつであり、顧客側から多くの支持を受けているサービスのひとつである。また、企業側もポイントカードを取り入れることで顧客データの管理やポイントを貯めるため来店するといった集客の効果が期待できるため、双方メリットあるシステムである。

 買い物の楽しみのひとつであるポイントが貯められないなんて…と思う方もいるかもしれない。しかし、実際買い物へ行くと「ポイントカードお持ちですか?」「おつくりしましょうか?」の声掛けがないことや、会計時にあわててポイントカードを探す必要もないため買い物中に起こる小さなストレスがない。
 アプリによるポイントシステムもないことで「ネット回線が悪くてアプリが開けない」といったストレスや不安から解消される。店員側もポイントカードの声掛けやお客様がカードを出すまで待機する時間が無くなるのでレジ業務がよりスムーズにこなせる。思ったより良いことづくめである。

 また、コスモス薬品ではエブリデー ロープライス(以下EDLP)を販売戦略に掲げている。期間を特定せず、商品を毎日同じ低価格で提供するという方針である。ポイントカードがない分、経費が掛からないため、EDLPにより力を入れられる。

 ポイントカードがなく独自性あふれる経営戦略はコスモスならではのやり方だ。類を見ないユニークな方法で成長するからこそ注目される企業でもあるようだ。

3、決済方法は現金払いのみ

 決済方法は一部店舗を除きほぼ全店で現金のみ。交通系IC・クレジット・QRコード・商品券など現金以外は諸々使用できない。
 キャッシュレス決済が使える競合店が多い中、大変珍しい取り組みである。東京などのインバウンド向け店舗はクレジットやPayPayなど使用できるようだが本当に数店舗のみらしい。

 これには利用者も賛否両論で少し不便という声も聞こえる。これらもクレジット会社に払う経費を浮かしてEDLPにまわし、直接商品を安くする戦略であると思われる。
 
 キャッシュレス決済による支払いが一般的になってきたなか、現金のみの支払い方法がどこまで通用するのか今後に期待だ。

4、防犯カメラ数は業界一⁉なセキュリティ対策

 セキュリティ対策は業界一かもしれない。

 コスモス薬品の店内には至るところに防犯カメラが設置してある。多いところだと一店舗100個以上ついているとのはなしだ。死角になりやすい曲がり角には常時3~4個のカメラ。郊外店では駐車場にも設置してある徹底ぶりである。

 店内でふと上を向くとおびただしい数の監視カメラが目に入り、思わずぎょっとしてしまう。
 
 ドラッグストアは小さくて単価の高い商品が多いため、万引き犯が後を絶たない。そのため、対策として防犯カメラを設置するのだが、高価でいくつも取り付けられるものではないため、コスモス並みに配置する企業はほとんど見受けられない。

 コスモス薬品はポイントカードやクレジットの経費がない分、監視カメラの経費に使われているのではと推測する。

 実際、監視カメラによる防犯はかなり効果的で万引きをさせない環境を作れることや万引きをされても録画を警察にお渡しすることでその後の対応がスムーズになる。

 また、一部ダミーカメラを忍ばせることで経費を抑えながら万引き犯のけん制になるため、防犯対策のアレンジも可能になる。

 コスモス薬品を訪れた際は是非上を見上げてほしい。万引きと必死に戦う売り場がそこにあるはずだ。

最後に

 コスモス薬品は業界内でも注目度が高い企業だ。

 2019年度ドラッグストア市場シェア第4位。2019年4月の広尾駅店オープン時にはメディア関係者のカメラマンが複数名確認できた。

 ポイントカードなし、独自の戦略で顧客満足度ナンバーワンを守り続けるコスモス薬品。今後さらに成長するのは間違いないだろう。

 あなたの街でコスモス薬品を見かけたら是非寄ってみてほしい。大きいピンクの看板が目印だ。

この記事のライター

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