【日本ヘルスケア協会】モバイルファーマシーの平時活用をサンドボックス申請

【日本ヘルスケア協会】モバイルファーマシーの平時活用をサンドボックス申請

日本ヘルスケア協会(JAHI、会長:今西信幸氏)は12月8日に会見を開き、モバイルファーマシーの平時活用の実証実験について、内閣府のサンドボックス制度に申請したことを明らかにした。内閣府とは意見調整済みといい、「年内にも方向性が明らかになるのではないか」との見通しを語った。サンドボックス申請は現行の規制によって新しいビジネスモデル実装が難しい場合に規制官庁の認定を受けた上で実証実験を行い、実証により得られた情報によって規制の見直しにつなげていく制度。


「野菜の表示」実証は来年2月末にも開始

 JAHIはすでに野菜の表示について、サンドボックス制度(新技術等実証計画)を申請、令和2年10月5日に受理されている。

 受理されているのは、「野菜の一般的な特徴を表示するPOPに関する自主マニュアルの作成に関する実証」。ドラッグストア店頭を含め、来年2月末にも第1回の実証を開始するとした。

 実証実験に当たっては第三者委員会の設置が義務付けられており、JAHIでは11月30日に第1回目の第三者委員会を開き、(一社)消費者市民社会をつくる会理事長の阿南久氏(元・消費者庁長官)、昭和女子大学生活科学部食安全マネジメント学科教授の梅垣敬三氏(消費者庁「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」座長代理)、(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会・消費生活研究所長の戸部依子氏(同上検討会 消費者委員)、大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一氏(前・内閣府規制改革推進協議会委員)の4名が参加。委員の互選により阿南氏が委員長に、梅垣氏が副委員長に就任したという。
 今後、第三者委員会では、実証実験の妥当性の評価、地域の関係者各所との問題発生時の社会性の審査、最終報告書の妥当性の判断などを担う。

 モバイルファーマシーの常時活用の実証実験申請は、JAHIとしてはこの野菜の表示に次ぐものとみられ、山間部等の住民に対してメリットの検証を行うという。すでに書類は提出済みで、受理されるかどうかを待っている状態という。年内に方向性の提示がメドというが、新型コロナウイルス感染症の再拡大もあり、審査に想定以上の時間がかかる可能性もあるとした。

 同日に講演したJAHIの理事で、岐阜薬科大学特任教授も務める小原道子氏は、「モバイルファーマシーの平時活用は規制上、難しい面が多いことも事実だが、地域を限定し、地域と密に連携することでしっかり取り組みたい。想定している地域の方々からは賛意が得られている」と語り、実証実験の実現に期待感を示した。

 なお、同日講演した小原氏は、JAHIで企業横断的な研究などに取り組んでいる事例を紹介。コロナ禍のマスク着用時のマスク内衛生環境変化に関する探索的研究などを説明し、「JAHIだからできることも多い」と話し、さらなる今後の活動強化に意欲を示した。

同日に講演したJAHIの理事で、岐阜薬科大学特任教授も務める小原道子氏
(なお、サムネイル画像はJAHI会長の今西信幸氏)

この記事のライター

関連する投稿


【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【2025.03.19配信】大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区 社長:上原 茂氏)]は、ショッピングモールの薬局内にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)化されたOTC販売機を設置し、第1類医薬品を含む一般用医薬品を販売する実証を、3月下旬(予定)より開始すると公表した。


【日本ヘルスケア協会】プラネタリーヘルスの団体が鳥取で大会を開催へ

【日本ヘルスケア協会】プラネタリーヘルスの団体が鳥取で大会を開催へ

【2024.07.09配信】日本ヘルスケア協会は2023年7月に、プラネタリーヘルスの普及啓発を行う団体であるプラネタリーヘルス・イニシアティブ(PHI)を会内に設置していたが、今年8月に鳥取県で大会を開催する。プラネタリーヘルスは、地球規模で生命や有機的な活動を持続させる概念。


【日本ヘルスケア協会】小児の医薬品誤飲防止研究など5件を助成

【日本ヘルスケア協会】小児の医薬品誤飲防止研究など5件を助成

【2023.05.09配信】日本ヘルスケア協会は5月9日に定例会見を開き、第 1 回「ヘルスケア研究助成」採択研究が開始されていることを報告した。「小児の医薬品誤飲防止を目的とした新規 PTP 包装ならびにピクトグラムの創生に関する 基礎的研究」(申請者:東京薬科大学薬学部 臨床薬学教室 下枝貞彦氏)など5件の助成を決めた。期間は来年4月末まで。


【日本ヘルスケア協会】年次大会の参加費を無料に/3月17日・18日開催/中野区長による講演「『健康』で築くまちづくり」など

【日本ヘルスケア協会】年次大会の参加費を無料に/3月17日・18日開催/中野区長による講演「『健康』で築くまちづくり」など

【2023.02.14配信】日本ヘルスケア協会は2月14日に定例会見を開き、3月17日・18日に開催を予定している協会の活動発表会兼、日本ヘルスケア学会年次大会につい参加費を無料にすると発表した。


【日本ヘルスケア協会】東京都から受取寄附金に関する個人都民税の税額控除対象団体に指定

【日本ヘルスケア協会】東京都から受取寄附金に関する個人都民税の税額控除対象団体に指定

【2023.02.14配信】日本ヘルスケア協会(JAHI)は2月14日に会見を開き、 東京都から受取寄附金に関する個人都民税の税額控除対象団体の指定を受けたことを報告した。協会は、個人からの寄付によりヘルスケア活動が促進されることを期待したいとした。


最新の投稿


【基本料1問題】大阪府薬に続き都薬も「断じて反対」表明

【基本料1問題】大阪府薬に続き都薬も「断じて反対」表明

【2025.12.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は12月5日に定例会見を開き、中医協で規模の小さな薬局が該当することが多い「調剤基本料1」の除外範囲を拡大するとの議論について言及。特に大阪府と東京都に該当地域のある「特別区」が名指しされていることについて、都薬会長の髙橋正夫氏は、「大阪府薬が会見で“絶対に許さない”と表明されているが、都薬も同じ考えだ」と話した。


【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対

【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対

【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。かかりつけ薬剤師指導料の要件見直しについても要望した。


【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」

【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」

【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。敷地内薬局について、施設基準において「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」を削除すべきとの意見が出ていることに対し、撤廃でされたとしても新規開局に限定すべきといった要望を表明した。


【ドラッグストア協会】敷地内薬局「連座制導入」なら「薬局事業撤退せざるを得ない」

【ドラッグストア協会】敷地内薬局「連座制導入」なら「薬局事業撤退せざるを得ない」

【2025.12.05配信】日本チェーンドラッグストア協会12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定要望をを表明した。その中で、敷地内薬局「連座制導入」なら薬局事業から撤退せざるを得ないなどと、強い抵抗感を示した。


【日薬】森副会長「基本料1の議論、手をつけること考えていない」

【日薬】森副会長「基本料1の議論、手をつけること考えていない」

【2025.12.03配信】日本薬剤師会は12月3日に定例会見を開いた。その場で中医協委員である副会長の森昌平氏は調剤基本料1を取り上げた議論に対して、日薬としては「対応は全く考えていない」と言及した。


ランキング


>>総合人気ランキング