年度内にOTC医薬品販売の在り方見直しか。規制改革会議方針で

年度内にOTC医薬品販売の在り方見直しか。規制改革会議方針で

【2020.11.26配信】11月26日に規制改革推進会議「医療・介護ワーキング・グループ」が開かれ、OTC医薬品販売規制の柔軟化・多様化が強く要請された。特に、専門家滞在時間を営業時間の半分以上としている現行の規制に関し、「店舗の裁量に任せるべき」との要請が出され、参加した厚労省も「年度内に一定の整理をしたい」と応じたという。


 OTC医薬品販売では、専門家が店舗内に常駐して対応することや、専門家が店舗にいる時間が営業時間の半分以上確保されることなどの規制がされている。規制改革推進会議は、これらの規制の緩和を求めている。「店舗内の常駐」に関しては、オンライン等で遠隔での対応でも可能なのではないかとし、専門家のいる時間帯に関しては店舗の裁量に任せればよいとの考えだ。

 こうした要請に対し厚労省は、特に営業時間内の専門家のいる時間の規制に関して「年度内に一定の整理をしたい」と回答したという。

 厚労省の回答に、規制改革推進会議委員からは、「年度内では遅すぎる。スピード感が求めるレベルと違うのではないか」といった厳しい意見が示されたという。

 規制改革推進会議は、「専門家が不要とはいっていない。専門家がすべき業務にはどのようなことがあるのかをまずは整理して、その上でそれはオンラインでも可能なのかどうかを議論すべき」との立場だ。

 委員からはオンライン服薬指導によって医療用医薬品の指導も遠隔で実施されていることなども挙げられ、「OTC医薬品の方がハードルが高いというのは理解に苦しむ」との意見も出たという。

 出席した厚労省は一般用医薬品の販売における基本的な考え方として、「購入する情報提供」のほかに、「相談を受けた時の対応」や「店舗での安全管理(医薬品や従業員の管理)」があると説明。
 専門家が行う情報提供の内容としては、「医薬品販売時において使用者の状況(年齢、他の医薬品の使用状況、症状等)について確認すること」「販売する医薬品の情報提供を行うこと」「(第1類医薬品の場合)書面を用いて必要な情報提供を行うこと」「情報提供された内容を理解したかどうか等を確認すること」「医薬品に関する相談に対し、適切な回答をすること」などを説明した。
 情報提供だけでなく、専門家は管理も行っているとし、従業員の監督や店舗構造の管理、医薬品の管理、店舗業務に必要な注意などを挙げた。

 さらに、具体的に相談の結果、OTC医薬品の販売を中止した事例などをいくつか挙げた。
 例えば透析患者には適さない太田胃散の販売を中止した例や、ガスターやパブロン購入希望者が同薬効の医薬品をすでに服用していることが判明したために販売を中止した例などを紹介した。

 しかし、会議委員からは「この程度の軽度の情報提供であれば、リモートでもできる。店舗ごとではなく、どこかで一括して対応でもよいのではないか」との意見が出たという。

 「今後の考え方」として厚労省は、専門家が一般用医薬品販売に必要な「適切な情報提供」「相談を受けた場合の対応」「店舗内での安全管理」をどう確保するかが課題とした。
 さらに、「店舗販売業(許可店舗)の責任の所在を明確にするとともに専門家による安全性や信頼性確保を担保した上で、情報通信技術も活用した情報提供・相談対応、管理体制、販売時間のあり方について検討する」と付記した。

********************

 仮に専門家の店舗の滞在時間の規制を撤廃したとしたら、何が起こるのか。厚労省はこの規制に関してのみ、「年度内」という期限を口にしたとされる。基本的に専門家の常駐が原則であり、専門家のいない時間はOTC医薬品の販売はできないため、この規制の緩和だけでは、現状に大きな変化は起きないのではないか。
 ここからさらに常駐自体の規制を緩和することにもなれば、「オンラインで医薬品を販売する」という業務の論点ではなく、むしろ店舗販売業という業の問題になるであろう。
 ここが、同様に常駐規制緩和が議論されている産業医などとの差で、店舗販売業は地域に立地して初めて役割を果たしている側面がある。
 ドラッグストアでは育児相談会や健康相談会を地域に向けて行うところも少なくなく、これらも地域に立地しているからこそできることだ。
 こうした地域活動は医薬品販売と一体として業として提供されているのであり、医薬品販売だけを切り出して「リモートで可能」とする議論は多少なりとも乱暴ではないか。
 オンラインは労働力が不足する中、活用すべき技術だ。地域で一体として役割を果たす店舗販売業が、付加業務としてオンラインを活用することはあっても、業の基準を満たさない業種が一部の業務だけを切り出してオンラインで完結させようとすることは地域医療のセーフティーネットを崩すことになりかねない。
 くしくも国民皆保険の維持を目指してスイッチOTC拡大の議論も進む中、切れ味の鋭いOTC医薬品の受け皿としての役割も担う店舗販売業が地域で果たす役割は大きくなるはずだ。 

この記事のライター

関連するキーワード


OTC販売ルール

関連する投稿


【厚労省_医薬品販売制度検討会】課題に緊急避妊薬での議論指摘、「スイッチ後に対面販売が維持される制度になっていない」

【厚労省_医薬品販売制度検討会】課題に緊急避妊薬での議論指摘、「スイッチ後に対面販売が維持される制度になっていない」

【2023.02.22配信】厚生労働省は2月22日、「第1回医薬品の販売制度に関する検討会」を開催する。資料の中で「要指導医薬品、一般用医薬品等の区分のあり方」などを議論する方向を提示。要指導医薬品の課題として緊急避妊薬のスイッチOTC化の議論にも触れた。「スイッチ後に対面販売が維持される制度になっていない」「受診勧奨をどのように効果的に行うか」などの指摘が出ているとした。今後、計6回開催し、7月をメドにとりまとめを行う方針も示した。


【厚労省局長通知改正】薬剤師や登録販売者の名札、“本名以外”OKに/ストーカー被害防止等の観点から

【厚労省局長通知改正】薬剤師や登録販売者の名札、“本名以外”OKに/ストーカー被害防止等の観点から

【2022.07.06配信】厚生労働省は6月27日、局長通知改正「『薬事法の一部を改正する法律等の施行等について』の一部改正について」を発出し、「姓のみ又は氏名以外の呼称」を名札に記載することを認めた。ストーカー被害やカスタマーハラスメントの防止等の観点から、薬局開設者・店舗販売業者が適切に判断するものとする。実名と照合できる把握・管理も求める。


【日本登録販売者協会】日薬と意見交換、OTC販売の規制緩和については「オンラインの管理はリアルよりも厳格求める」で一致

【日本登録販売者協会】日薬と意見交換、OTC販売の規制緩和については「オンラインの管理はリアルよりも厳格求める」で一致

【2021.04.16配信】日本医薬品登録販売者協会は4月16日に定例会見を開き、議論の進んでいるOTC医薬品販売の規制緩和について日本薬剤師会と意見交換の場を持ったことを明らかにした。コンビニエンスストア業界から要望の出ている「遠隔管理販売」については、「オンラインの管理はリアルよりも一層厳しい基準が求められるべき」との意見で一致したという。


【ドラッグストア協会】OTC薬販売2分の1ルール撤廃「要指導薬緩和で自由度広がる面も」

【ドラッグストア協会】OTC薬販売2分の1ルール撤廃「要指導薬緩和で自由度広がる面も」

【2021.04.02配信】日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は4月2日に定例会見を開き、先ごろ、体制省令改正案の公表とパブリックコメント募集が始まったOTC医薬品販売の2分の1ルール(営業時間の半分以上で専門家が医薬品販売を行うルール)撤廃に関して、「店舗販売業が薬剤師を雇って要指導医薬品を販売することを考えるとドラッグストア業界にとって自由度が広がる面もある」との考えも示した。JACDSは基本的には撤廃に反対の立場をとってきており、産業のマイナス影響に関して記者から質問が出たことに答えたもの。


【登録販売者協会】「2分の1ルール」削除にコメント「登録販売者の働く場の縮小を懸念」

【登録販売者協会】「2分の1ルール」削除にコメント「登録販売者の働く場の縮小を懸念」

【2021.03.28配信】日本医薬品登録販売者協会(日登協)会長の樋口俊一氏は、OTC医薬品の販売時間を店舗の営業時間の2分の1以上としていた「2分の1ルール」に関して、改正案が開示されパブリックコメント募集が開始されたことを受け、コメントを発表した。2分の1ルールが削除されることにより登録販売者の働く場が縮小されることを懸念するとしている。


最新の投稿


【令和6年度調剤報酬改定】地域支援体制加算で夜間・休日の「周知」要件に/1つの手法は地域薬剤師会が中心となったリスト化

【令和6年度調剤報酬改定】地域支援体制加算で夜間・休日の「周知」要件に/1つの手法は地域薬剤師会が中心となったリスト化

【2024.02.20配信】令和6年度調剤報酬改定においては、地域支援体制加算で夜間・休日対応の周知が要件となっている。この周知の手法については、これまで厚労省「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」とりまとめ(令和4年7月11日 )において、地域において求められる夜間・休日等の対応については、地域の薬剤師会が中心的な役割を担うとともに、会員・非会員を問わず地域の薬局が協力して議論を行うことの必要性が示されていることなどを受け、地域薬剤師会などがリスト化を進めることが1つの手法として示されている。


【ウエルシアHD】店舗のブースでオンライン健康相談開始/まずは2店舗で/看護師が対応

【ウエルシアHD】店舗のブースでオンライン健康相談開始/まずは2店舗で/看護師が対応

【2024.02.20配信】ウエルシアホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:松本忠久氏)は2月19日から、グループのウエルシア薬局イオンタウン幕張西店・ウエルシア薬局田町グランパークにおいてオンライン健康相談(遠隔健康医療相談)サービスの提供を開始した。医療法人社団ゆみの(本社:東京都豊島区、理事長:弓野大氏)との協働で実施するもの。


【日本病院薬剤師会】求人・求職サイト運営へ/今春から開始見込

【日本病院薬剤師会】求人・求職サイト運営へ/今春から開始見込

【2024.02.17配信】日本病院薬剤師会は「求人・求職サイト」を運営することにした。今年4~5月の開始を見込む。


【日病薬】武田会長、改定の「薬剤業務向上加算」、第8次医療計画を後押しするもの

【日病薬】武田会長、改定の「薬剤業務向上加算」、第8次医療計画を後押しするもの

【2024.02.17配信】日本病院薬剤師会は2月17日に臨時総会を開いた。挨拶した武田泰生会長は今回の診療報酬改定にも触れ、薬剤業務向上加算については、「新任薬剤師の研修体制の構築や、出向を通してシームレスな薬物治療をつなぎ、第8次医療計画を後押しするものと期待している」と評価した。


【日本保険薬局協会】敷地内薬局「常軌を逸したような大変な引き下げ」/24年度調剤報酬改定の答申で

【日本保険薬局協会】敷地内薬局「常軌を逸したような大変な引き下げ」/24年度調剤報酬改定の答申で

【2024.02.15配信】日本保険薬局協会は2月15日に定例会見を開いた。


ランキング


>>総合人気ランキング