【維新】地域フォーミュラリの推進提案/社会保障改革の3党協議で

【維新】地域フォーミュラリの推進提案/社会保障改革の3党協議で

【2025.05.15配信】自民・公明・維新による社会保障改革に関する3党協議が5月15日に開かれた。その中で、日本維新の会は地域フォーミュラリの推進を提案。次回以降、詳細について議論したい方針。協議後の会見で維新幹事長の岩谷良平氏が明らかにした。


公明党はピロリ菌除菌や腎臓病・糖尿病の早期発見、重症化予防を提案

 この日の協議では、公明党から改革案を示す予定だった。
 これについて岩谷幹事長は、主に予防医療に関する内容だったと説明し、具体的には胃がんの予防になるとされるピロリ菌の除去推進や腎臓病・糖尿病の早期発見、重症化予防の取り組みが提案されたという。ただ、岩谷幹事長は、これまでの取り組みではなく、「それを加速化するためにどういうことをご提案されますか」との質問には、「(公明党からは)出てこない」と話した。岩谷幹事長は「正直に申し上げると、どうやって医療費を抑制・削減していくのか、その具体策については私は全く理解できなかった。聞いても出てこなかった」と話した。

保険適用除外できるOTC類似薬、与党「探している」

 さらに、OTC類似薬の保険適用除外については、維新からの「除外できるものはあるのか、ないのか」との問いに対し、与党からは「探している」との回答があったという。これについては岩谷幹事長は「(探している候補は)いつ出てくるんですかと聞いたらそれは言えないということだった」とし、「我々の方から提案させていただいたのは(候補を)出すか、出せないならもうOTC類似薬の問題に関しては協議を打ち切りましょうということを申し上げた。話しても無駄なので」と指摘した。
 次回、具体的な候補が示されなかった場合は、岩谷幹事長としては「与党にはOTC類似薬の保険適用範囲の見直しについてはやる気がないということ、我々の側ではそのように認定をさせていただいてOTC類似薬をテーマとした協議については打ち切りをさせていただきたいと思う」とした。

 一方、OTC類似薬に関連するデータについては提示があったことも明らかにした。
 OTC医薬品と1日最大容量が同じOTC類似薬のリストだ。薬剤費上位6品目(100億円以上)について、医療機関にかかった場合と薬局で購入した場合の費用の比較を掲載。
 具体例としては、前回同様、湿布薬やロキソニンなどの列記。維新としては薬局での購入では自己負担は高くなるが、医療機関にかかった場合の自己負担額以外の医療費については現役世代が負担しているとして、OTC類似薬の保険適用除外を求める考え。「一見、それ(医療費の自己負担3割)は患者さんにとってはいいという話になるかもしれないけれども、じゃあ(薬局での購入と医療機関にかかって自己負担した場合の)差額は誰が負担してるんですかというと、現役世代が社会保険料負担していると言うことですよね。だからそこをなんとかしなければということで保険適用の見直しということを申し上げていますという主張を改めてさせていただいた」(岩谷幹事長)。

 例えば例に出たロキソニンについて、「これは保険適用除外ということはできないということですね」との維新からの確認に対しては、与党からは「できない」という回答だったという。そこで、維新からは「であるならば具体的に保険適用を外せるOTC類似薬はないのか」との問いに、与党からは「今、探している」との回答があった状況という。

 なお、ロキソニンなどが保険適用除外できない理由については、与党からは「ロキソニンだけで処方されることは少ない中でロキソニンだけを保険適用除外するのはどうなのか」といったコメントがあったという。

地域フォーミュラリ推進提案には与党も賛同意向

 さらに、この日の協議の最後の方に、維新から地域フォーミュラリの提案を行ったとした。
 詳細について次回以降、協議する方針。

 与党にからも地域フォーミュラリに関しては方向性は賛成だというような意見があったという。
 岩谷幹事長は、「ただ総論賛成で、各論の具体論に入ると(案が)出てこない、あるいは反対というのがこれまで繰り返されてきたため、次回はそうでないことを祈っている」と話した。

 地域フォーミュラリは、地域の医師や薬剤師などの医療従事者とその関係団体の協働で、有効性、安全性に加えて、経済性なども含めて総合的な観点から最適であると判断された地域における医薬品集およびその使用方針を指す。
 岩谷幹事長は「ある地域で一定の薬をまとめて同じものを使うという取り組みをした場合は、当然大量購入になるので、それだけ下がる」と財政効果を指摘した。

今後の協議「必要あれば協議続ける」「骨太だけが目的ではない」

 今後の協議の見通しについては、岩谷幹事長は「あと数回で取りまとめるということを合意したわけではない」と指摘。「与党の側は合意、何か取りまとめをしたいということなんでしょうけれども、今日申し上げた通り、取りまとめて何も合意できませんでしたという取りまとめをするのかという話なんです。ですから今の状況で申し訳ないですけれども何か取りまとめをすると言われても、できないというのがお答えになるかなと思っている」と話した。「骨太(方針)に書き込むことだけが目的ではない」ともし、「あくまでも社会保障費4兆、社会保険料6万円の削減という数字を達成するためにやってますから、それは必要があれば協議を続けます」と指摘した。
 停滞気味の協議に打開策を問われると、岩谷幹事長は「選挙だ」と回答。「選挙で民意を得る。しっかりと国民の皆さんに訴えて有権者の皆さんの民意を受けて夏以降に改革を進める、それが打開策だと思っている」とした。

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