同日の協議では議題となっている「OTC類似薬の保険適用除外」に関して、保険適用を外した場合に自己負担額がいくらになるかという資料が与党サイドから提示された。協議後の会見で維新の岩谷良平幹事長が明らかにした。
例えば、湿布薬では通常使用では、保険適用し自己負担3割の場合は1944円であり、10割の医療費は診察費も含めて実際には6480円かかっている。これに対し、これを直接、湿布薬を薬局で購入してもらう場合、6512円(自己負担)になるというデータが示されたという。
岩谷幹事長は維新として提示を求めてきた資料は、「処方されている薬と成分が同じもので市販されているものはいったい何があるのか」だったとして違和感を示した。「(市販されている薬を)保険で適用するのはもうやめていこうという方向性は政府も改革工程の中で示しているが、残念ながら今日もお答えとしてはゼロ回答だった」(岩谷幹事長)と話した。
こうしたデータ提示を受け、岩谷幹事長は次のように述べた。
「たしかに長期間にわたって使うことが前提とされている薬は量がどうしても多くなりますから自己負担額が増えるのは事実あると思う。一方で我々が申し上げたの、じゃあその患者さん、湿布薬は多くの場合は高齢者の方だが、1944円の自己負担で大量の湿布薬を手に入れられているわけだがその差額の約4500円は誰が負担してるのかと。これは現役世代を含む国民が社会保険料という形で負担をしてるわけだから、そこを考えなければいけないのではないかという話をさせていただいた」(岩谷幹事長)。
加えて、提示されたデータの中には、薬局での購入の方が自己負担が安いケースもあったという。例えばロキソプロフェンナトリウムでは、医師に診察してもらい保険適用で自己負担3割の場合、窓口の支払いは1758円で、一方で薬局で購入した場合は同じ容量で1536円という。「(今日の提示データは)要は自己負担がこれだけ増えますよという否定的な意味合いで持って来られたはずだが、実際にむしろ自己負担が安くなる薬も含まれている。これについての保険適用除外ということはできないのでしょうか、という話をしたが、できないというお答えだった」(岩谷幹事長)。
こうしたやりとりを受け、岩谷幹事長は「政府が改革工程で示しているOTC類似薬の保険適用の見直しというのは、これはもう実際はやる気がない、いわば虚偽の記載が改革工程に記載されているというふうに私は思った」と批判した。
OTC類似薬の保険適用除外のテーマについては維新は今後も求めていく方針で、「議論は続けたい」とした。
次回協議については、維新は公明党の社会保障改革案の提示を求めたという。「総論では社会保険料を下げるということを3党合意して、その方向に向かって進んでいっているかのように見えるが、現時点においては何一つ、自民党・公明党から削減に資するような案というものが提示されていないというのがこの間の3党協議の現状」とした。次回は今のテーマの続きをやると同時に、公明党もビジョンという形で社会保障制度改革の考え方を公表しており3党合意にもそのビジョンが入っているため、次回は説明をしてもらうことになったという。
「この間、我々維新側が改革案を出す一方で、自民党・公明党は受け身で、何も出してこない。いい加減出してくださいということで。自民党は政府の改革工程案が自民党案だとおっしゃるので、そうであれば公明党さん独自の案を持っているなら出してくださいということをお願いして(今日の協議は)終わった」とした。
なお、同日は「余剰な病床数削減」も議題となった。
維新は5万床で1兆円の医療費が削減できるのではないか、あるいは9万床の削減が可能ではないかとの数値を一定の積算根拠をもって示したといい、今後、何らかの数値をもった合意を目指したい考え。
一方、同日の協議では、厚労省から維新の積算に対して「一定の合理性がある」という回答があったいうが、与党側は法律等に数字を入れることに関しては否定的だったとした。維新は今後、どのような方法ならば数字にコミットした合意できるか探る方針。