【社会保障3党協議】維新は次回、公明党案の提示を要望

【社会保障3党協議】維新は次回、公明党案の提示を要望

【2025.05.07配信】自民・公明・維新による社会保障改革に関する3党協議が5月7日に開かれた。


 同日の協議では議題となっている「OTC類似薬の保険適用除外」に関して、保険適用を外した場合に自己負担額がいくらになるかという資料が与党サイドから提示された。協議後の会見で維新の岩谷良平幹事長が明らかにした。
 
 例えば、湿布薬では通常使用では、保険適用し自己負担3割の場合は1944円であり、10割の医療費は診察費も含めて実際には6480円かかっている。これに対し、これを直接、湿布薬を薬局で購入してもらう場合、6512円(自己負担)になるというデータが示されたという。
 岩谷幹事長は維新として提示を求めてきた資料は、「処方されている薬と成分が同じもので市販されているものはいったい何があるのか」だったとして違和感を示した。「(市販されている薬を)保険で適用するのはもうやめていこうという方向性は政府も改革工程の中で示しているが、残念ながら今日もお答えとしてはゼロ回答だった」(岩谷幹事長)と話した。

 こうしたデータ提示を受け、岩谷幹事長は次のように述べた。
 「たしかに長期間にわたって使うことが前提とされている薬は量がどうしても多くなりますから自己負担額が増えるのは事実あると思う。一方で我々が申し上げたの、じゃあその患者さん、湿布薬は多くの場合は高齢者の方だが、1944円の自己負担で大量の湿布薬を手に入れられているわけだがその差額の約4500円は誰が負担してるのかと。これは現役世代を含む国民が社会保険料という形で負担をしてるわけだから、そこを考えなければいけないのではないかという話をさせていただいた」(岩谷幹事長)。
 加えて、提示されたデータの中には、薬局での購入の方が自己負担が安いケースもあったという。例えばロキソプロフェンナトリウムでは、医師に診察してもらい保険適用で自己負担3割の場合、窓口の支払いは1758円で、一方で薬局で購入した場合は同じ容量で1536円という。「(今日の提示データは)要は自己負担がこれだけ増えますよという否定的な意味合いで持って来られたはずだが、実際にむしろ自己負担が安くなる薬も含まれている。これについての保険適用除外ということはできないのでしょうか、という話をしたが、できないというお答えだった」(岩谷幹事長)。

 こうしたやりとりを受け、岩谷幹事長は「政府が改革工程で示しているOTC類似薬の保険適用の見直しというのは、これはもう実際はやる気がない、いわば虚偽の記載が改革工程に記載されているというふうに私は思った」と批判した。
 OTC類似薬の保険適用除外のテーマについては維新は今後も求めていく方針で、「議論は続けたい」とした。
 
 次回協議については、維新は公明党の社会保障改革案の提示を求めたという。「総論では社会保険料を下げるということを3党合意して、その方向に向かって進んでいっているかのように見えるが、現時点においては何一つ、自民党・公明党から削減に資するような案というものが提示されていないというのがこの間の3党協議の現状」とした。次回は今のテーマの続きをやると同時に、公明党もビジョンという形で社会保障制度改革の考え方を公表しており3党合意にもそのビジョンが入っているため、次回は説明をしてもらうことになったという。
 「この間、我々維新側が改革案を出す一方で、自民党・公明党は受け身で、何も出してこない。いい加減出してくださいということで。自民党は政府の改革工程案が自民党案だとおっしゃるので、そうであれば公明党さん独自の案を持っているなら出してくださいということをお願いして(今日の協議は)終わった」とした。

 なお、同日は「余剰な病床数削減」も議題となった。
 維新は5万床で1兆円の医療費が削減できるのではないか、あるいは9万床の削減が可能ではないかとの数値を一定の積算根拠をもって示したといい、今後、何らかの数値をもった合意を目指したい考え。
 一方、同日の協議では、厚労省から維新の積算に対して「一定の合理性がある」という回答があったいうが、与党側は法律等に数字を入れることに関しては否定的だったとした。維新は今後、どのような方法ならば数字にコミットした合意できるか探る方針。

この記事のライター

関連するキーワード


3党協議 OTC類似薬

関連する投稿


【財政審】OTC類似薬の保険適用の在り方、「新たな選定療養」として薬剤費自己負担の案

【財政審】OTC類似薬の保険適用の在り方、「新たな選定療養」として薬剤費自己負担の案

【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。


【OTC類似薬】“処方箋医薬品以外の医療用薬”7000品目800成分のうちOTCあるのは130成分1900品目/田村まみ氏(国民民主党)

【OTC類似薬】“処方箋医薬品以外の医療用薬”7000品目800成分のうちOTCあるのは130成分1900品目/田村まみ氏(国民民主党)

【2025.03.14配信】3月13日に参議院予算委員会公聴会が開かれた。この中で国民民主党の田村まみ氏は、「“処方箋医薬品以外の医療用薬”7000品目800成分のうちOTCあるのは130成分1900品目」だと指摘した。


【日本薬剤師会】OTC類似薬の保険外し政策に反対表明

【日本薬剤師会】OTC類似薬の保険外し政策に反対表明

【2025.02.18配信】日本薬剤師会は2月18日に定例会見を開いた。この中でOTC類似薬の保険適用外について、反対との見解を示した。


【OTC類似薬の保険適用除外】石破首相_国会答弁全文

【OTC類似薬の保険適用除外】石破首相_国会答弁全文

【2025.02.17配信】衆議院予算委員会の審議が2月17日行われ、日本維新の会共同代表の前原誠司氏からの「OTC類似薬の保険適用除外」に関する質疑に、石破茂首相が答えた。


最新の投稿


【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【2025.06.26配信】株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋氏)の連結子会社である医療AIカンパニー、株式会社MG-DX(本社:東京都渋谷区、代表取締役:堂前紀郎、以下「当社」)は、薬局特化型の接客AIエージェント「薬急便 遠隔接客AIアシスタント」において、OTC医薬品の遠隔販売に特化した新たなシナリオを構築したと公表した。


【薬学生】薬局就職者、奨学金利用率は平均上回る39.7%/日病薬

【薬学生】薬局就職者、奨学金利用率は平均上回る39.7%/日病薬

【2025.06.25配信】日本病院薬剤師会は6月25日に定例会見を開き、薬学生の4・5・6年生を対象した調査を行った。その結果、奨学金を利用している学生は33.8%。就職活動終了者921人のうち奨学金の活用者は320人(34.7%)だった。うち、保険薬局への就職者では奨学金の利用率は39.7%で平均を上回っていた。


【クオールHD】ローソン店舗でオンライン服薬指導提供へ

【クオールHD】ローソン店舗でオンライン服薬指導提供へ

【2025.06.23配信】クオール薬局等の保険薬局を運営するクオールホールディングス株式会社(東京都港区、代表取締役社長:中村 敬氏、以下クオール)と、KDDI株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長CEO:松田浩路氏、以下KDDI)はローソン店舗にてオンライン服薬指導が受けられる新たなサービスを開始すると公表した。


【日本薬剤師会】骨太方針への見解公表

【日本薬剤師会】骨太方針への見解公表

【2025.06.20配信】日本薬剤師会は6月20日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」及び「規制改革実施計画」等の閣議決定を受けて、見解を公表した。


【日本薬剤師会】「応需義務」の解釈明確化を厚労省に要望へ/カスハラ調査結果受け

【日本薬剤師会】「応需義務」の解釈明確化を厚労省に要望へ/カスハラ調査結果受け

【2025.06.19配信】日本薬剤師会(日薬)は6月19日に定例会見を開き、「薬局業務におけるカスタマーハラスメント発生時の対応事例に係るアンケート調査」の結果を説明した。この結果を受け、日薬では応需を拒否することの正当な範囲の明確化を厚労省に求めていく考え。医師においては令和元年に関連の医政局長通知が出ている。薬剤師に関してもそれらにならった形での通知等の発出が想定される。