都道府県薬剤師会、地域薬剤師会、個々の薬局のそれぞれのレベルで「アクションリスト」具体的に記載へ
医薬品の提供体制に関しては、特に在宅医療現場において訪問看護師が訪問した際に患者が薬剤を入手できないなどの指摘を受け、厚労省「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で対応について議論されてきたもの。
3月31日に同検討会の「議論のとりまとめ」公表を受け、10日の日薬定例会見では、都道府県薬剤師会に向け、周知の連絡を発出したことを報告。文書では「喫緊にこの課題に取り組む」べく、「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト(仮称)」を策定中であり、今年度早期に公表する見込みとなっているとした。
同日の会見で「どのような内容になるのか」との質問が記者から出ると、同会専務理事の上野清美氏は、同検討会で日薬が提示したフロー図の内容がベースになると説明した。
同検討会では3月10日の第13回において日薬常務理事の橋場元氏が資料を提示、説明していた。その中にあったフロー図では、都道府県レベルでは都道府県薬剤師会が他職種や行政と連携・調整すること、市町村等のレベルでは地区薬剤師会が「地域の薬剤師機能の把握・分析及び周知広報」「地域の薬局が連携して薬剤師サービスを提供する体制づくり(休日・夜間対応を含む)」「地域の使用医薬品や在庫状況・流通実態の情報収集、地域関係者への周知」などを行うことが列挙されていた。個々の薬局でも「地域の在宅医療ニーズの再確認」等をした上で、「地域の薬局・他職種と連携して薬剤師サービスを提供」することなどとしていた。
上野専務理事は、「検討会で提示したパワーポイントの資料に沿った内容を、噛み砕いたもので準備をしている」と明かした。「誰に向けてか」という点については、「各薬局レベル、地域薬剤師会レベルなど、できるだけ具体的に」記載を模索しているとした。
「リスト」は“一例”、各地域それぞれが議論・検討する必要あり
「地域医薬品提供計画」は日薬が政策提言に掲げる政策であり、会長の岩月進氏が最優先事項として掲げている施策になる。
医薬品を提供するという、薬局の基本的な役割に疑義が生じている中、漏れのない地域医薬品提供体制を構築できるか否かは、将来の薬局の存在を左右することになるであろう。
地域の使用薬剤の把握などは、医薬品供給に悩む患者に対して薬局が能動的に解決策を示すことにもなるだろう。
それぞれの主体が何を実行すればいいのか、“アクションリスト”の公表が注目される。
一方、上野専務理事はアクションリストはあくまで一例であるとの考えも示した。
「日薬としてまとめたとしても、地域の実情に応じて各薬局、各薬剤師会が他職種や関係の団体、行政と連携・協議しながらやっていただき、状況に応じて対応いただくことになる。参考にしていただくものであり、一例としての提示だ」(上野専務理事)。そのため、単にリストに準拠するのではなく、各地域でそれぞれの主体が議論、検討する必要がある。
公表の時期については、明言を避けた。ただ、「早急にやらなければいけないこと」(上野専務理事)とし、急ピッチで作成が進められていること、そして近々の公表を示唆した。5月中か、少なくとも夏にずれ込むことはなさそうな模様だ。