【コラム】
一部業界紙がコロナ禍で製薬企業がMRの活動を抑制したところ、営業利益が上昇したと報じて、注目を集めている。
コロナ禍による受診抑制やMRの活動自粛でもちろん売上が減少した製薬企業もあるわけだが、それでも「売上減少・営業利益増」の事象を経営者はどう受け止めるだろうか。「MRをもう少し減らしても、利益がこれだけ保持できるならいいな」という発想が頭をよぎるのも自然ではないだろうか。
コロナという不測の事態とはいえ、現実的に「売上減少でも営業利益増」という結果を知らしめてしまったことは、コロナ後にも後を引くことになるだろう。そして、おそらく、これは製薬企業だけに限った現象ではないはずだ。
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かつて、新薬の売上がMRの活動に大きく左右されていた時代があった。医師の新薬採用の影響要因に「製薬企業の説明」といった項目を挙げる比率が高いという調査もあった。では、なぜ今はMRと売上が必ずしも強く相関しなくなったのかといえば、いうまでもなくネットで情報が容易に取得できるようになったからだ。そもそも新薬はエビデンスベースで有効性・安全性が評価されるものだが、その情報が製薬企業の資料によらなくても入手できるようになった。しかもグローバルで日々進化する情報はネットの方が圧倒的に入手がしやすく、また広範な情報が入手できる。この情報入手の媒介として、自社製品を持つ製薬企業よりもむしろ、IT系企業が活躍することとなったのは道理だろう。ここでは“人の営業”ではなく、ネットが営業を行っている図式になる。
この流れは、エビデンスという情報が要の製薬企業で先行して進んだとも考えられ、この動きは全業種に波及していくと考えられる。
例えば、薬局の人材募集。人材紹介企業が電話で営業をかけることがいまだ少なくないが、それは求職者にとって自分に最適な薬局という情報が分かりづらいから成り立っている。代わりに営業マンが探してくれるわけだ。しかし、今後はSNSなどの情報発信を介して、求職者が自分に合った薬局を選びやすくなったらどうだろうか。あるいは薬局が自らネットを活用して人材を獲得できるようになったら。そういう社会も近づいているのではないだろうか。
一言でいえばWEBマーケティングだ。聞きなれた言葉ではあるが、現状、WEBマーケティングが中小企業までいきわたっているとはいえないだろう。しかし、近い将来、あまねく企業がWEBマーケティングノウハウを備えておく必要のある社会になっているのではないだろうか。
最近、薬剤師の中にも、薬剤師でありながらWEBマーケティングの知識をつけようとしている人が増えている。社会情勢をしっかり読んでいる動きだ。ある薬剤師議員は、「薬学部にエンジニアのカリキュラムを入れよ」とも指摘している。なぜなら、すべての産業でWEBマーケティングが必要になった時、エンジニアを確保できない産業から置いていかれる可能性があるからだ。あるいは、社内の人材に知識を学ばせる機会を提供する必要性が出てくるだろう。
いま、営業マンを動かそうとしている業務。そのどこかにまだ、WEBマーケティングの余地がないか、点検してみる価値はありそうだ。
自分を“WEBマーケティング”し、会社の活動を“WEBマーケティング”する必要性は加速度的に増している。
【コラム】「MR活動が減少→営業利益増」に思うこと~全業種に波及する営業のネット化~
【2020.08.20】一部業界紙がコロナ禍で製薬企業がMRの活動を抑制したところ、営業利益が上昇したと報じて、注目を集めている。 コロナ禍による受診抑制やMRの活動自粛でもちろん売上が減少した製薬企業もあるわけだが、それでも「売上減少・営業利益増」の事象を経営者はどう受け止めるだろうか。「MRをもう少し減らしても、利益がこれだけ保持できるならいいな」という発想が頭をよぎるのも自然ではないだろうか。 コロナという不測の事態とはいえ、現実的に「売上減少でも営業利益増」という結果を知らしめてしまったことは、コロナ後にも後を引くことになるだろう。そして、おそらく、これは製薬企業だけに限った現象ではないはずだ。
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