【2020.08.18配信】
「ドラッグストア企業」を一括りにして語ろうとすることには限界がきているかもしれない。それほど、ドラッグストア企業の戦略は多彩になっており、各社の取り組みに変化が起きている。今回は、ウエルシアホールディングスの業績、戦略を分析する。ウエルシアホールディングスを一言で表すならば、「安定的成長の“社会派”ドラッグストア」だ。ここ3年間は安定的に成長率を達成している。それを支えるのが、調剤という柱を育ててきたバランスの良さの強みであり、「ウエルカフェ」やレジ袋有料化前倒し実施に象徴される地域貢献活動だ。こうした“社会派”は従業員の求心力や、今後のM&Aにプラスに働いていくと考えられる。
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ウエルシアHDは、安定的に成長している。2020年2月期は売上高成長率は11.4%であり、前期、前々期も12.1%、11.6%の成長率だった。
成長はコロナ禍の中でも堅調である。その理由は調剤や食品など、バランスのよい収益の柱を持っているからだ。調剤の売上比率は17%まで達しており、食品も22.1%ある。コロナ禍では化粧品の売上高の落ち込みがみられたが、調剤や食品の売上がそれをカバーできる構造になっている。子会社にも調剤併設を前提とする「ウエルシアモデル」の浸透を原則として進めており、今後、さらに調剤比率が高まることが見込まれる。
M&Aでは、子会社であるウエルシア薬局株式会社を存続会社として、2019年3月1日付で株式会社一本堂を、同年9月1日付で株式会社B.B.ONを吸収合併し、事業の効率化を進める。同年6月1日付で岡山県を地盤とする金光薬品株式会社を株式取得により子会社化した。さらに、2020年6月1日付で群馬県を中心に店舗展開する株式会社クスリのマルエ(59店舗)を株式追加取得により子会社化。同年7月1日付で愛媛県を中心に店舗展開する株式会社ネオファルマー(10店舗)、株式会社サミット(3店舗)を株式取得により完全子会社化。大型案件ではないものの、着実に仲間を増やしている。
ウエルシアHDで特徴的なのは、「ウエルカフェ」と称した地域に開放するカフェの併設を進めるなど、地域社会への貢献を戦略に据えている点だ。「休息の場」「井戸端会議の場」行政などからの「情報発信の場」を目的としており、地域社会の諸課題を解決する地域協働「コミュニティ」スペースとしての活用を意図している。
さらに同社の“社会派”を印象付けるのが、取り組み課題としてもSDGsを挙げている点。レジ袋削減の取組み として、義務化より前倒しして2020年4月より有料化を実施した。
こうした“社会派”の理念は、社員の求心力および、今後、“仲間入り”するM&Aの局面でもプラスに働くことが想定される。






ドラビズon-lineでは、上記画像をnoteにて、エクセルで提供している。
https://note.com/sachikosugawara/n/n28d1782ed06d