三師会がそろって岸田文雄首相に面会した。
日本医師会会長の松本吉郎氏、日本歯科医師会会長の高橋英登氏、日本薬剤師会会長の山本信夫氏が面会した。
令和6年度診療報酬改定に向けて、要望した。
これまで医療機関、薬局においては、感染症対応をはじめ、地域における医療提供に貢献してきたことへ理解を求め、支え手が減少する中での人材確保が不可欠なこと、政府からも持続的な賃上げが呼び掛けられていることを指摘。具体的には今年の春闘では平均賃上げ率 3.58%、人事院勧告では3.3%の上昇が示されており、医療界においても、「これらとの差を埋めるだけでなく、岸田総理が掲げる“賃上げ”という国の重要政策を踏まえて、さらに加速すると見込まれる来春の春闘に匹敵する対応が必要」と訴えている。
その上で、全従事者の 13.5%にも上る医療・介護就業者数約 900 万人に対して、公定価格の引き上げを通じて賃上げ対応することは、我が国全体の賃金上昇と地方の成長の実現につながり、経済の活性化も見込めると提示。加えて、物価高騰には、一時的ではなく、恒常的な対応が必要であるのに対し、公定価格で運営する医科医療機関、 歯科医療機関や薬局等は、その上昇分を価格に転嫁することができないとし、「最低限人事院勧告3.3%に匹敵する賃上げと物価高騰、さらには日進月歩する技術革新への対応には十分な原資が必要不可欠」と訴えている。
「国民の生命と健康を守るため、 医療・介護分野における物価高騰・賃金上昇に対する取組を進め、質の高い適切な医療・介護を安定的に国民に提供しなければならない」とし、「医療界が一体一丸となって、国の経済対策と歩調をあわせて進んでいく重要な年であり、医師会、歯科医師会、薬剤師会が揃って、 診療報酬改定の大きな方向性において、声を一つにして、歩んでいくべきという想い」を伝えた。
令和6年度診療報酬改定に向けては、原資となる適切な財源の確保を要望した。
会見した日本薬剤師会会長の山本信夫氏は、医療機関・薬局の厳しい状況を訴えた上で、コストカット型から賃上げに対応するには原資が必要との考えを示すとともに、三師会揃って要望をしたことを強調。財政審の提案に関しては「承服しかねるもの」と指摘した。
また面会した岸田首相からは、医療業界に対して「これまでの経過でご尽力いただいていることは理解している」とコメントがあったという。その上で、岸田首相は「一方で、経済対策も打たれる中でそのサポートを含めて全体として考えていきたい」と述べたという。