発表したコメントは以下の通り。
■病院敷地内薬局の整備事業に係る公契約関係競売入札妨害事件の報道を受けて
去る令和 5 年 8 月 31 日、KKR 札幌医療センターの敷地内薬局の整備事業に係る公契約関係競売等妨害罪の容疑で、同病院の元事務部長と、同病院敷地内薬局の運営会社であるアインファーマシーズの現社長(アインホールディングス常務取締役)および取締役が逮捕されるという事件が報じられました。
今回のような事件が起きてしまったことは誠に残念であり、今後の北海道警察の捜査により事件全貌が解明されるまで、引き続き注視していくことが必要であると考えていますが、当該企業においては、今回の事件発生という事実を真摯に受け止め、グループ企業全体として捜査に協力するとともに、患者や関係者の信頼回復に向けた対応に努めることを強く望むものであります。
敷地内薬局の問題は、規制改革要望に伴う対応で、平成 28 年に実施された保険医療機関と保険薬局の間のフェンス設置を求めないという運用の見直しの結果、保険薬局の独立性を損なうことが憂慮される事象として、大病院を中心に敷地内薬局の誘致が目立ち始めました。これまで日本薬剤師会が医療機関敷地内に薬局の開設もしくは保険指定を認めるべきでないと主張してきた最も大きな理由は、当該医療機関と敷地内薬局との関係性が、結果的に健康保険事業の健全な運営の確保に支障をきたすことに繋がる、または、そのような問題をはらんでいることを懸念していたからにほかなりません。
日本薬剤師会では、適正な医薬分業の実現・推進を掲げ、国民・患者の医薬品の適正使用のために懸命に取り組んできました。今回のような事件が起きてしまったという事実は、現場で懸命に働く薬剤師や事務職員はもちろん、関係者に大きな不安や影響を与えるものであり、同時に、患者や関係者の信頼を裏切ることにもなりかねず、誠に遺憾であると言わざるを得ません。
日本薬剤師会においては、今後も引き続き、薬剤師・薬局による国民・患者の医薬品の適正使用を推進するため、医薬分業制度の定着に努めていく所存です。
令和5 年9 月14 日
公益社団法人 日本薬剤師会

【日本薬剤師会コメント公表】KKR 札幌医療センターの病院敷地内薬局の整備事業に係る逮捕事件で
【2023.09.14配信】日本薬剤師会は9月14日、KKR 札幌医療センターの病院敷地内薬局の整備事業に係る公契約関係競売入札妨害事件の報道を受けて同病院の元事務部長と、同病院敷地内薬局の運営会社であるアインファーマシーズの現社長(アインホールディングス常務取締役)および取締役が逮捕されるという事件が報じられたことを受け、コメントを発表した。これまで日本薬剤師会では医療機関敷地内に薬局の開設もしくは保険指定を認めるべきでないと主張してきたことを挙げ、その最も大きな理由として、「当該医療機関と敷地内薬局との関係性が、結果的に健康保険事業の健全な運営の確保に支障をきたすことに繋がるとの懸念」だったと改めて強調している。
関連する投稿
【日本保険薬局協会】敷地内薬局基本料の変更求める/厚労相に要望書提出
【2025.05.15配信】日本保険薬局協会は5月15日に定例会見を開き、前日の14日に福岡厚労大臣宛てに「2026 年度診療報酬改定等に関する要望書」を提出したことを説明した。その中で、いわゆる敷地内薬局を対象とした基本料である「特別調剤基本料A」に設けられている「7種類以上の内服薬を調剤した場合には薬剤料が90/100 に減算」となる報酬体系を撤廃することを求めている。
【敷地内薬局】情報収集依頼「賃貸借歪める第三者介在」など/日本薬剤師会
【2025.02.18配信】日本薬剤師会は2月18日に定例会見を開いた。この中で、都道府県薬剤師会に対して、いわゆる敷地内薬局についての情報提供を依頼したことを説明した。
【2025.02.12配信】KKR札幌医療センターの敷地内薬局の整備を巡り、アインファーマシーズ元代表取締役社長・酒井雅人被告と同社元取締役・新山典義被告が公契約関係競売入札妨害の罪に問われた裁判について、札幌高検は2月12日、札幌高裁が両被告に言い渡した控訴審の無罪判決を不服として上告したことが明らかになった。(ジャーナリスト・村上和巳)
【中医協_総会】支払い側の高町委員が厚労省の敷地内薬局への見解を質問
【2024.12.18配信】厚生労働省は12月18日に中医協総会を開き、次回実施する「医療経済実態調査(医療機関等調査)調査票」の内容が報告されたことに関連して、支払い側委員の高町晃司委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)が、厚労省の敷地内薬局への見解を質問した。
【2024.12.17配信】日本薬剤師会は12月17日に会見を開き、前日に厚労省が公表した敷地内薬局に関する調査の結果についてコメントした。
最新の投稿
【日本保険薬局協会】中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント
【2025.09.11配信】日本保険薬局協会は9月11日、定例会見を開いた。この中で9月10日に開かれた中央社会保険医療協議会総会の「調剤について」の議論の中で病院薬剤師の不足に関して多くの意見が出たことについてコメントした。
【日本薬剤師会】岩月会長、中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント
【2025.09.11配信】日本薬剤師会は9月11日に定例会見を開いた。その中で岩月進会長は、10日に開かれた中央社会保険医療協議会総会で、「調剤」の議題の中で「病院薬剤師」について多くの意見が挙がったことについてコメントした。
【日本薬剤師会】薬剤師PR資材を制作/「親子で知る薬剤師のお仕事」
【2025.09.11配信】日本薬剤師会は9月11日に定例会見を開き、その中で薬剤師PR資材「親子で知る薬剤師のお仕事」を制作したと説明した。リーフレットのほか、短編動画も制作した。
AIエージェント活用したレセコン・薬歴開発へ/三菱電機デジタルイノベーション
【2025.09.10配信】三菱電機デジタルイノベーション株式会社(東京都千代田区、代表取締役 取締役社長:武田 聡氏)は、「AI エージェントが生みだす新たな薬局体験」をコンセプトとし、レセプトコンピュータ(以下「レセコン」)と電子薬歴を融合した「保険薬局向けオールインワンプラットフォーム」の開発に着手したと公表した。本サービスのプロトタイプを、2025年10月12日から開催される「第58回 日本薬剤師会学術大会」に参考出展する予定。
【厚労省】緊急避妊薬のスイッチOTC薬を承認へ/改正薬機法初の「特定要指導医薬品」に指定
【2025.08.29配信】厚生労働省は8月29日、薬事審議会「要指導・一般用医薬品部会」を開催。緊急避妊薬「レボノルゲストレル」(一般名、あすか製薬)のスイッチOTC化を了承した。改正薬機法で規定する「特定要指導医薬品」として初めて指定した。