【調剤業務の外部委託の特区事業】大阪府吉村知事「府民に大きなメリット」

【調剤業務の外部委託の特区事業】大阪府吉村知事「府民に大きなメリット」

【2023.09.06配信】大阪府の吉村洋文知事は9月6日に会見を開き、国家戦略特区制度を利用して調剤業務の一部外部委託の事業について、同日付けで申請をしたことを説明した。大阪府のほか、大阪市、「薬局DX推進コンソーシアム」(代表:ファルメディコ社長狭間研至氏)とともに共同で申請したという。


「結果は国にフィードバック」/「認められれば実証実験ではなく実施」

 吉村知事は外部委託事業申請の理由について、「薬局薬剤師の専門性をもっと生かしていこうではないかと。対物業務をできるだけ減らして対人業務を充実させていこうということが目的だ」と説明。「地域における薬剤師の皆さんのさらなる活躍を目指していくというのが目的になる」と話した。
 「国において外部委託のあり方を検討している最中ではあるが、何か結論が出ているものではない。今回、特区を活用して先駆けて実施することで結果も国にフィードバックもしていく」と述べた。

 「厚労省の研究班のガイドラインに準拠した形で、安全性や責任体制を明確にした上で一包化を他の薬局で行うことを可能とするということが提案内容だ」とし、実施場所は大阪市内だとした。

 今後の流れについては、6日付けで提案したため、国の特区ワーキンググループが開催され、そして諮問会議等が行われて、そこで調査・審議が行われる見込みとした。認められれば法令改正を経て特例措置の実現を目指していくことになるという。
 「国家戦略特区であるため、実証実験というものではなく、この規制緩和が認められれば実際に大阪市内で実施をするということになる」とした。

関西の経済界、「おおむね賛同」

 「強制ではなく選択ができる形。今は一切、(委託を)選択すらできない」と指摘。一方、「今後も処方箋を受けた薬局で全ての調剤業務をするというところがメインであるのは当然」としつつ、「別の選択肢がないというのはどうなのかというところが問題意識」だとした。「DXの一環」とし、「小規模な薬局も含めて一包化は時間もかかる。一包化は全部、対物業務で人と接している業務でない。こういった一包化については大型の機械や情報技術をうまく活用することで非常に短時間で実行できるのであれば安全性や責任体制というのを明確にした上で一部外部委託という選択肢もあってもいいのではないかという提案になる」と語った。

 実施場所については、「まずは大阪市内から」とし、薬局などの企業体である「薬局DX推進コンソーシアム」がまず主体になって、そこに大阪市・大阪府が入るとした。
 大阪府・大阪市が入った経緯については、「もともと民間の薬局から国に対して申請をしたが、厚労省の方から申請をするのであれば事業に参加する薬局の所在地の地方公共団体の参画が前提という返答があったため」とした。「大阪府・大阪市としても府民の利益を考えた時に、薬剤師さんが対人業務に非常に力を割くことができる、また一包化については薬の飲み間違いとかもなくなって便利なので、府民にも大きなメリットがあるということで今回判断をした」と説明した。

 外部委託の実施については全国初となるとした。「これまで論点としては外部委託はあったが、これまで現実に実行できるところがなかった。今回初めて主体である薬局のコンソーシアムができて、大阪市において実行するということになる」と話した。
 
 地域への説明については、大阪府薬剤師会のほか、大阪府医師会、大阪府歯科医師会などにも内容の説明をしたとし、「医療の安全が前提」という意見があったとした。そのほか、関西の経済界にも同様に事前に説明をし、「おおむね賛同されているというふうに認識をしている」と語った。

 今後については、特区のワーキンググループは「おそらく10月ぐらいに開催される」と予想した。

この記事のライター

関連するキーワード


調剤の外部委託

関連する投稿


【国家戦略特区】調剤の外部委託でWG、関係省庁等からのヒアリング実施/WG後は「区域会議」→「諮問会議」の流れ

【国家戦略特区】調剤の外部委託でWG、関係省庁等からのヒアリング実施/WG後は「区域会議」→「諮問会議」の流れ

【2023.10.12配信】10月12日、内閣府地方創生国家戦略特区ワーキンググループは関係省庁等からのヒアリングを実施した。この中で調剤業務の一部外部委託に関して議題となった。


【調剤業務の一部外部委託】厚労省、大阪府での特区に「実証の方向で検討進める」

【調剤業務の一部外部委託】厚労省、大阪府での特区に「実証の方向で検討進める」

【2023.09.28配信】内閣府はこのほど、「国家戦略特区等に関する検討要請に対する各府省庁からの回答について(令和5年度分)」を公表した。この中で、大阪府・大阪市・薬局DX推進コンソーシアムの3者が提案した調剤業務の外部委託に関わる事業について、厚労省は「実証の方向性で検討を進めてまいりたい」と回答した。


【日本薬剤師会山本会長】大阪の外部委託特区事業「注目している」/「所期の目的にそうように」

【日本薬剤師会山本会長】大阪の外部委託特区事業「注目している」/「所期の目的にそうように」

【2023.09.16配信】日本薬剤師会は9月16日、都道府県会長協議会を開催した。


【東京都薬剤師会】“外部委託”GL(暫定版)にコメント/実施“ありき”の風潮に懸念

【東京都薬剤師会】“外部委託”GL(暫定版)にコメント/実施“ありき”の風潮に懸念

【2023.07.07配信】東京都薬剤師会は7月7日、定例会見を開いた。その中で調剤業務の一部外部委託に関する暫定版のガイドライン(GL)が発出されたことについてコメントした。


【日本薬剤師会】“外部委託”GL(暫定版)へコメント

【日本薬剤師会】“外部委託”GL(暫定版)へコメント

【2023.07.05配信】日本薬剤師会は7月5日に定例会見を開いた。その中で、公表された、いわゆる調剤業務の一部外部委託に関する暫定版のガイドライン(GL)に対する受け止めについてコメントした。


最新の投稿


【日本調剤】三津原社長が退任/「健康上の理由」/後任は笠井常務

【日本調剤】三津原社長が退任/「健康上の理由」/後任は笠井常務

【2024.04.30配信】日本調剤は4月30日開催の取締役会で、「代表取締役の異動及び取締役・執行役員に対する業務委嘱事項の変更」について決議したと公表した。


【日本薬剤師会】夜間・休日対応で通知/5月9日までに都道府県薬の対応状況を回答

【日本薬剤師会】夜間・休日対応で通知/5月9日までに都道府県薬の対応状況を回答

【2024.04.27配信】日本薬剤師会は都道府県薬剤師会担当役員宛てに「地域における夜間・休日の医薬品提供体制(在宅含む)の構築、 リスト化及び周知等について【重要】(その5)」を発出した。5月2日の算定に係る届出開始、6月の施行を踏まえ、日薬として全国的な準備状況について確認するため、5月9日までのアンケート回答を依頼している。


【調剤報酬_疑義解釈】夜間休日対応の周知、「薬剤師会会員のみの整理」は算定不可

【調剤報酬_疑義解釈】夜間休日対応の周知、「薬剤師会会員のみの整理」は算定不可

【2024.04.26配信】厚生労働省は4月26日、令和6年度調剤報酬改定の「疑義解釈資料の送付について(その3)」を発出した。


【東京都】災害薬事コーディネーターを任命/都薬副会長の宮川昌和氏など

【東京都】災害薬事コーディネーターを任命/都薬副会長の宮川昌和氏など

【2024.04.24配信】東京都薬務課は4月24日、定例会見を開いた。


【東京都】市販薬の適正使用へ/小学生向け教材作成へ/乱用推進計画

【東京都】市販薬の適正使用へ/小学生向け教材作成へ/乱用推進計画

【2024.04.24配信】東京都薬務課は4月24日、定例会見を開いた。


ランキング


>>総合人気ランキング