会見で記者から次のように質問が出た。
「大阪府に本拠地置くファルメディコという会社が大阪府内の調剤の一部外部委託に関して国家戦略特区の提案をしています。厚労省は政府の規制改革推進会議のワーキンググループで、薬局所在地の地方公共団体が賛成することになれば国家戦略特区に速やかに対応するという旨を示しました。大阪府として特区提案に関しては賛成する考えがあるのかということを教えていただければと思います」(記者)。
これに対する吉村知事の会見コメントは以下の通り。
「調剤業務の外部委託については当然、医療上の安全の問題とそして責任の所在という課題はあろうかと思います。課題はあるんですけれども僕自身は調剤の外部委託というのも必要なことだと思っています。今それができないという中で、国でも議論されています。今回、国家戦略特区の提案の中で厚労省もそのような回答しておりますので、大阪府としてもそれを受け止めて、課題もありますから、その課題の議論、そして経済界がこれについてどのように意見するのかというところも含めて、関係者の調整をもう少し実際に行っていきます。その上で調整がつけば国家戦略特区の提案ということを国に対してもこの事業者と一緒にやっていくということも考えていきたいと思います。僕はどちらかというと前向きにやっぱり進めるべきだと思っています。先ほど言った医療安全上のリスク、そして責任の所在の課題があると思いますけれども、これだけいろんな情報技術も発達して、配送技術も発達する中で、一包化も含めて多くの薬を処方される高齢者、高齢社会にどんどんなっていくなかで、高齢者や府民の皆さんにとって何が一番便利が広がってくるだろうかと言う視点から考えるべきだと思っています。そう考えるとその上で当然大切な医療安全上のリスクとそれから責任の所在、これは明確にしないといけませんが、さまざまな情報手段、情報共有のあり方、技術、そして配送技術も高まってきている中で、ここは前向きにむしろその課題を整理して進めていくべきものだと僕は思っています。今規制があってそれができないことになっていますので、その課題の部分をどうクリアしていくのか、そういったことも国家戦略特区で議論をしながら進めればいいと思っています。ちょっと事業者とそれから様々な関係者との調整というのを踏まえた上で、国家戦略特区の提案、これは前向きに検討していきたいと思っています」(吉村知事)。
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