【厚労省】地域ごとの薬剤師偏在指標を策定/不足最大は福井、次いで青森、富山/主に病院で不足

【厚労省】地域ごとの薬剤師偏在指標を策定/不足最大は福井、次いで青森、富山/主に病院で不足

【2023.03.29配信】厚生労働省は3月29日、「第13回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催。その中で最も薬剤師が不足している都道府県は福井県で偏在指標は0.74だった。偏在指標は小さいほど不足している状態。次いで青森県 は0.78、富山県0.80だった。今後は指標を目安として地域ごとで薬剤師確保計画が策定される見込み。


薬剤師が不足している地域

 推計の結果、薬剤師が不足している都道府県は以下の通り(※偏在指標の数値が低いほど不足している)。

都道府県コード/都道府県名/地域別薬剤師偏在指標/調整薬剤師労働時間/薬剤師の推計業務量

11埼玉県 0.99 1663720.0 1678862.0
12千葉県 0.99 1459427.5 1475663.2
25滋賀県 0.97 313249.1 323186.6
41佐賀県 0.97 214820.5 222294.1
1北海道 0.96 1340364.6 1399239.3
35山口県 0.96 366596.0 383543.5
26京都府 0.95 600632.9 633220.2
9栃木県 0.93 449562.4 481850.1
33岡山県 0.93 456259.9 489150.8
17石川県 0.93 270463.6 290307.6
23愛知県 0.93 1600524.1 1722528.7
19山梨県 0.92 197010.7 214337.5
22静岡県 0.91 843036.6 924572.1
43熊本県 0.90 431114.8 476915.1
47沖縄県 0.90 288650.7 319807.3
29奈良県 0.90 305767.8 338851.5
8茨城県 0.90 642828.9 716120.9
31鳥取県 0.90 136087.4 152003.0
39高知県 0.89 188605.8 211957.2
20長野県 0.88 483985.2 547952.9
42長崎県 0.87 324303.2 370729.5
3岩手県 0.87 293101.7 338155.5
38愛媛県 0.86 319831.9 370300.2
15新潟県 0.86 512485.0 594587.2
10群馬県 0.86 428513.0 497690.0
7福島県 0.86 420192.8 488583.8
32島根県 0.86 159550.1 186008.7
30和歌山県 0.85 219168.7 257787.1
21岐阜県 0.85 426482.5 501693.2
5秋田県 0.84 238627.9 284949.7
44大分県 0.83 262894.5 318164.4
45宮崎県 0.82 247793.2 301942.4
24三重県 0.82 368011.7 449930.8
46鹿児島県 0.82 372786.7 455819.6
6山形県 0.82 243407.2 298369.5
16富山県 0.80 225676.8 282758.9
2青森県 0.78 270720.4 346838.0
18福井県 0.74 148148.1 200111.9

将来的に薬剤師が不足する地域

 将来的(2036年)に薬剤師が不足する地域は以下の通り。

21岐阜県 0.99 490454.8 494206.2
46鹿児島県 0.98 428704.7 439338.7
44大分県 0.97 302328.7 310548.6
10群馬県 0.97 492789.9 507840.1
45宮崎県 0.97 284962.1 294379.2
2青森県 0.97 311328.4 321805.6
23愛知県 0.96 1840602.8 1910565.5
24三重県 0.94 423213.4 448798.4
16富山県 0.94 259528.3 276600.7
47沖縄県 0.87 331948.3 379502.8
18福井県08617037031991765

薬剤師確保計画ガイドラインで「地域間」と「業態間」の差を縮める方向

 「第8次医療計画等に関する検討会」においても薬剤師確保の取組の必要性が指摘され、医療計画作成指針において、医療従事者の確保等の記載事項として、地域の実情に応じた薬剤師確保策の実施等が新たに規定される予定。都道府県においては、今後、当該指針に基づき、薬剤師確保に係る計画を策定することが求められる。今回、その計画策定に資するガイドラインを公表した。

 ガイドラインの中では地域偏在解消の方向性として、地域間の偏在指標の「ばらつき」を小さくすることと記載。業態偏在の解消も記載。業態偏在が大きい状態を、病院・薬局のそれぞれの薬剤師偏在指標の分布間の差分が大きい状態とし、業態偏在解消の方向性として、この「差分」を小さくすることとする。

 ガイドラインでは「薬剤師偏在状況を示す区域の設定」も促し、少数区域が減っていくことを目指していく。主に病院で不足している。
 
 「薬剤師少数都道府県」は以下の通り。
都道府県コード/病院・薬局/都道府県名/薬剤師偏在指標/調整薬剤師労働時間/薬剤師の推計業務量

33 病院 岡山県 0.85 131070.1 154512.8 少
16 薬局 富山県 0.82 157867.0 192150.3 少
39 病院 高知県 0.82 60930.2 74592.0 少
25 病院 滋賀県 0.81 72606.0 89188.6 少
34病院 広島県 0.81 182419.9 225150.0 少
14 病院 神奈川県 0.80 452421.9 565363.5 少
30 病院 和歌山県 0.80 63748.9 79754.4 少
12 病院 千葉県 0.79 338566.1 431083.9 少
37 病院 香川県 0.78 62886.3 80690.3 少
35 病院 山口県 0.77 94436.3 122216.5少
4 病院 宮城県 0.76 127616.6 167981.4 少
11 病院 埼玉県 0.76 355161.3 469032.4 少
23 病院 愛知県 0.76 371388.3 490500.5 少
18 病院 福井県 0.76 47740.8 63158.5 少
42 病院 長崎県 0.75 88730.2 118559.6 少
16 病院 富山県 0.75 67809.8 90608.6 少
46 病院 鹿児島県 0.74 114479.4 153898.4 少
38病院 愛媛県 0.74 87864.4 118868.8 少
10 病院 群馬県 0.74 112551.6 152555.7 少
20 病院 長野県 0.73 123097.8 167492.7 少
31 病院 鳥取県 0.73 36127.5 49225.6 少
18 薬局 福井県 0.73 100407.3 136953.4 少
44 病院 大分県 0.73 77215.9 105763.1少
19 病院 山梨県 0.72 45914.6 64028.5 少
32 病院 島根県 0.70 40168.6 57096.0 少
9 病院 栃木県 0.69 100874.4 145189.0 少
21 病院 岐阜県 0.69 98108.2 141830.3 少
41 病院 佐賀県 0.69 50439.6 73059.7 少
15 病院 新潟県 0.67 120752.2 179714.2 少
8 病院 茨城県 0.67 142398.2 213164.7 少
22 病院 静岡県 0.66 179019.8 269715.9 少
7 病院 福島県 0.65 96778.6 148826.3 少
45 病院 宮崎県 0.65 64809.7 99888.5 少
3 病院 岩手県 0.65 68114.1 105375.2 少
24 病院 三重県 0.63 82580.9 131173.1 少
6 病院 山形県 0.60 55738.7 92474.0 少
5 病院 秋田県 0.56 49455.9 88732.8 少
2 病院 青森県 0.55 59804.8 108472.2 少

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