【薬剤師養成懇】薬剤師会山本会長、コアカリ改訂でコロナワクチン対応の検討を要望

【薬剤師養成懇】薬剤師会山本会長、コアカリ改訂でコロナワクチン対応の検討を要望

【2022.02.14配信】厚生労働省は2月14日、「第21回 新薬剤師養成問題懇談会」を開いた。この中で文科省が「令和4年度版 薬学教育モデル・コア・カリキュラム」を説明。医学・歯学とほぼ足並みをそろえる骨子となっており、これを受けて日本薬剤師会会長の山本信夫氏は「(コロナワクチンの )接種が叫ばれた中で特に問題なくクリアしてしまうように思える」と述べ、文科省の見解を尋ねた。これに対し文科省は「薬剤師として現状、認められていない行為については、コアなものとして触れるべきではないと考えております」と回答。山本会長は大学間のばらつきが生じることを避ける意味でも検討を求めた。


文科省「薬剤師として現状、認められていない行為についてはコアなものとして触れるべきではない」

 同日の懇談会では文科省が「令和4年度版 薬学教育モデル・コア・カリキュラム」について説明。薬学の「資質・能力」として、医学・歯学とほぼ足並みを揃えた内容になっている。

 文科省は、大きな10の項目のうち「『7、薬物治療の実践的能力』だけは医学・歯学では『7. 患者ケアのための診療技能』となっているが、ほかの項目は全て同じになっている」と説明した。加えて「『2. 総合的に患者・生活者をみる姿勢(仮)』については医学・歯学・薬学ともに新設したという。

 主な薬学コアカリの項目は以下の通り。
【前文】医療/歯科医療の質と安全の管理、プロフェッショナリズム
1. プロフェッショナリズム
2. 総合的に患者・生活者をみる姿勢(仮)
3. 生涯にわたって共に学ぶ姿勢
4.科学的探究
5.専門知識に基づいた問題解決能力
6.情報・科学技術を活かす能力(仮)
7.薬物治療の実践的能力
8. コミュニケーション能力
9. 多職種連携能力
10. 社会における医療の役割の理解

 こうした説明に対し、日本薬剤師会の山本信夫会長は、「コロナ禍で(ワクチン)接種が叫ばれた中で、文面を見ると特に問題なくクリアしてしまうように思えるが」と質問した。
 日本薬剤師会では、薬剤師によるワクチン接種が必要になった際、即座に対応することができるよう、薬剤師における予防接種研修プログラムを作成するなど、いざという時の準備を構築していた。山本会長の質問は、薬学教育においてもコロナワクチン接種の手技に関して取り入れることに問題がないとの認識かどうかを文科省に尋ねたと考えられる。

 山本会長は「実態としてはないかもしれないが手技として類似のものが導入される可能性はある。先走った形での教育はしたくはありませんが、かなりのコアな部分ではそれぞれの役割を果たしつつタスクシェアができる、そういう薬剤師をつくっていこうという概念と理解してよろしいですか」と質問した。

 これに対し文科省は、「薬剤師として現状、認められていない行為については、コアなものとして触れるべきではないと考えております」とした。

 山本会長は「各大学が同じレベルでやっていないと、質がばらついてしまうので、そうしたことについても考慮しておいていただきたい」と述べた。 

 なお、令和4年度版のコアカリについては令和4年度中(令和5年3月まで)をメドに決定し、令和6年の入学生から適用される見込み。

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