【日薬】薬学部定員抑制の“例外区域“の告示案にパブコメ提出/「定員抑制の制度化の趣旨と齟齬」

【日薬】薬学部定員抑制の“例外区域“の告示案にパブコメ提出/「定員抑制の制度化の趣旨と齟齬」

【2023.08.09配信】日本薬剤師会(日薬)は薬学6年制課程の定員抑制の例外区域に関する基準の告示案に関して、パブリックコメントを提出した。8月9日の定例会見で明らかにした。定員抑制の制度化の趣旨と齟齬があるなどとしている。8日付けでは、都道府県薬剤師会会長宛てに連絡を発出し、意見提出を報告するとともに、都道府県薬で意見提出する場合には参考にしてほしいとしている。日薬では今後、文科省をはじめ関係機関に要請していく方針。


 提出した意見書は以下の通り。

■臨床薬学に関する学科の定員抑制の例外区域に関する基準の告示案への意見
公益社団法人 日本薬剤師会
会長 山本 信夫

 今般の定員抑制の例外区域に関する基準の告示案 (以下「例外告示案」) は、令和5年3月29日に公布された告示で求める6年制課程薬学部の定員抑制の制度化の趣旨(6年制課程の学部・学科の設置 (大学の新設を含む) 及び収容定員増については抑制方針をとる) と齟齬が生じる懸念があることから、以下にその懸念事項と共に今後の対応に係る本会の要望を記す。

【懸念事項】
○今般の例外告示案における目標偏在指標を下回る地域 (12) が、 新設等を実施した場合、 全国の総収容定員は増加することになり、 定員抑制の基本方針に明らかに矛盾する。
○現在、 厚生労働省が薬剤師偏在問題の対応策を協議している段階であり、 具体的な施策の実施前にも関わらず、 「都道府県別の薬剤師偏在指標」 のみを例外区域を判断するための基準として用いるのは拙速である
○ 「令和18年 (2036年) における都道府県別の薬剤師偏在指標」 のみで薬剤師不足を判断することは、 今後の薬剤師の業務内容や業務量の変化、 当該地域の薬剤師実数等の変動要素が十分考慮されないことになる。
○今後例外措置により薬学生が増加しても、 卒業後に当該地域に就職する保証がないため、新設等が当該地域の薬剤師不足の解決につながるとは限らない。

【要望】
○薬学部卒業生の就職地等を広く調査した上で、当該地域に薬剤師を定着させる方策をまず検討いただきたい。
○例外区域における薬科大学・薬学部の新設や定員増を行う場合であっても、和5年3月29日に公布された告示の本旨に則り 「全国の総収容定員が増加する」ことがないよう、指標を上回る地域の定員削減、定員を満たさない大学の適正化を含めて、文部科学省が主体となって調整いただきたい。
○今般の例外告示案による措置については、収容定員の抑制状況や地域の薬剤師の充足状況等を踏まえて、 令和5年3月29日に公布された告示による定員抑制の趣旨を損なうことがないよう厳格に運用いただきたい。
以上

<関連記事>
■【日本薬剤師会】文科省の薬学部定員抑制“例外12県”に「容認し難い」/会員へパブコメの積極提出呼びかけ
https://www.dgs-on-line.com/articles/2213

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