【薬剤師WG】厚労省が30〜40代薬剤師にヒアリング/一包化の外部委託に慎重意見

【薬剤師WG】厚労省が30〜40代薬剤師にヒアリング/一包化の外部委託に慎重意見

【2022.03.14配信】厚生労働省は3月10日、「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」の下に設置した「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」の第2回を開催した。この中で、現場で働く薬剤師の実態、意見を聴取すべく、意見交換会を実施したことを報告。一包化の外部委託に関しては、「様々な意見があったが、慎重な意見も多かった」とした。慎重意見には、服薬指導段階で疑義が生じることもあるため、臨機応変な対応ができないことを挙げ、「患者に迷惑をかけてしまう」などの懸念が示されていた。


 ヒアリングは、「対人業務の充実」「薬局薬剤師のDX」「医療安全を前提とした対物業務の効率化」「地域における薬剤師サービスの提供」など主に4つのテーマごとに概要が提示されていた。

 中でも規制改革推進会議に要望が出されている調剤業務の外部委託にかかわるテーマとなる「医療安全を前提とした対物業務の効率化」においては、「一包化の外部委託」に関して、「様々な意見があったが、慎重な意見も多かった」とした。

 慎重な意見としては、「ミスが生じた際の責任の所在が曖昧となる」ことへの懸念が示されていた。一包化はミスが起きやすいといった意見や、ミスが生じた場合の患者対応は処方箋を受け付けた薬局となることへの懸念もあった。
 さらに、「服薬指導段階で疑義が発生することもある」として、「臨機応変な対応ができず、患者に迷惑をかけてしまう」との指摘もあった。
 外部委託によって、「対物業務の効率化に繋がるのか」といった疑問の声もあった。

 一方、一包化の外部委託に好意的な意見もあった。
 「一包化作業は時間と手間がかかる。外部委託ができるとありがたい」や、「調剤業務の効率化により、対人業務に取組みやすくなる」という意見があった。

 一包化の外部委託が、病院の調剤の“下請け”の容認となる可能性を指摘する声もあった。
 「病院の一包化の下請けを敷地内薬局が行うことを容認するのであれば反対。薬剤師の専門性を活かした意味であれば賛成」というもの。

 また、「業務の効率化を行うべきと考える内容」では、「薬歴の記載」が挙げられていた。
 医療機関への問い合わせを効率化すべきとの声もあり、「医療機関と薬局の間での事前の取り決め(問い合わせ簡素化プロトコール)の推進」を求める意見もあった。

この記事のライター

関連する投稿


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本薬剤師会】調剤業務の外部委託の特区事業でパブコメ提出

【日本薬剤師会】調剤業務の外部委託の特区事業でパブコメ提出

【2024.02.29配信】日本薬剤師会は2月29日に定例会見を開いた。その中で、現在、パブコメ募集中である調剤業務の外部委託の特区事業に関して意見書を提出することを明かした。


【調剤業務の一部外部委託】特区特例でパブコメ開始

【調剤業務の一部外部委託】特区特例でパブコメ開始

【2024.02.05配信】内閣府地方創生推進事務局と厚生労働省医薬局は2月5日、いわゆる調剤業務の一部外部委託を特区で実施するための特例措置についてパブコメを開始した。


【調剤業務の外部委託】公開シンポジウム開催、薬局シミュレーション報告も/厚労科研の研究班

【調剤業務の外部委託】公開シンポジウム開催、薬局シミュレーション報告も/厚労科研の研究班

【2024.01.30配信】いわゆる調剤業務の一部外部委託に関してガイドライン(暫定版)の作成などにあたってきた厚労科研研究班は、3月3日に公開シンポジウムを公開する。


【調剤業務の外部委託】特区実施へ2023年度中メドに措置/特区・規制改革合同会議

【調剤業務の外部委託】特区実施へ2023年度中メドに措置/特区・規制改革合同会議

【20232.12.26配信】内閣府は12月26日、規制改革推進会議と国家戦略特別特区諮問会議合同会議を開催した。


最新の投稿


【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ

【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ

【2025.07.02配信】奈良県議会は7月2日、奈良県議会本会議において「薬価制度の抜本的改正を求める意見書」を会派全会一致で採決した。


【厚労省】電子処方箋の新目標を公表

【厚労省】電子処方箋の新目標を公表

【2025.07.01配信】厚生労働省は7月1日、第7回「医療DX令和ビジョン2030」を開催し、電子処方箋普及の新目標を公表した。


【日本薬剤師会】定時総会会長演述/岩月進会長

【日本薬剤師会】定時総会会長演述/岩月進会長

【2025.06.29配信】日本薬剤師会は6月28・29日に第106回定時総会を開き、その中で岩月進氏が会長演述を行った。


【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【2025.06.26配信】株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋氏)の連結子会社である医療AIカンパニー、株式会社MG-DX(本社:東京都渋谷区、代表取締役:堂前紀郎、以下「当社」)は、薬局特化型の接客AIエージェント「薬急便 遠隔接客AIアシスタント」において、OTC医薬品の遠隔販売に特化した新たなシナリオを構築したと公表した。


【薬学生】薬局就職者、奨学金利用率は平均上回る39.7%/日病薬

【薬学生】薬局就職者、奨学金利用率は平均上回る39.7%/日病薬

【2025.06.25配信】日本病院薬剤師会は6月25日に定例会見を開き、薬学生の4・5・6年生を対象した調査を行った。その結果、奨学金を利用している学生は33.8%。就職活動終了者921人のうち奨学金の活用者は320人(34.7%)だった。うち、保険薬局への就職者では奨学金の利用率は39.7%で平均を上回っていた。