調査はインターネットにより行われ、全国の20歳-69歳の過去3年以内にかぜ症状(発熱・のどの痛み・咳・鼻水・くしゃみなど)で医療機関を受診し、お薬手帳で処方薬を確認できた人を対象に行った。有効回答数は400。お薬手帳を見ながら最大10種類の処方薬を転記してもらい、調査者(医師)により処方薬の中に抗菌薬が含まれているかどうか確認するという方法で調査を実施した。
その結果の概要としては、かぜ症状で受診した際に、49.3%の人が抗菌薬を処方されたと思っていた (実際の抗菌薬処方の有無にかかわらず)。
また、抗菌薬を処方されたと思っていた人の65.0%は、実際には抗菌薬は処方されていなかった。
さらに、40.0%の人が抗菌薬の効果として「ウイルスをやっつける」と誤認していることなどがわかった。
かぜ症状で医療機関を受診した際に処方された薬の中に抗菌薬が含まれる割合については19.0%だった。
処方薬の中に抗菌薬が含まれていると思う割合は49.3%。
処方薬に抗菌薬が含まれていると思うか、と実際に含まれるか、の一致については正しい認識率は66.3%。
「含まれている」と思う人のうち、実際に抗菌薬の処方がなかった人が65.0%いた。
調査結果を受けて、同センター 情報・教育支援室長の藤友結実子氏は、「多くの方が抗菌薬について誤解している、 もしくは知識が十分でないことが見えてきた」「抗菌薬が具体的にどの薬かわかっていない人が多くいることも示された」などの見方を示した。その上で、「ほとんどの人は医師や薬剤師の説明を聞いているものの、 あまり話を聞いていないという人も少なからずいる。理由として、“聞いても難しくてわからないから”が最も多くみられた。医療従事者は患者さんが理解しやすい説明を工夫することが必要」とコメントしている。

【抗菌薬調査】生活者の4割が「ウイルスをやっつける」と誤認/AMR臨床リファレンスセンター調査
【2023.02.07配信】国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンターは2月7日、抗菌薬(抗生物質)の処方に関する生活者調査の結果を公表した。それによると、生活者の4割が抗菌薬の効果について「ウイルスをやっつける」と誤認していることなどがわかった。同センターでは、細菌に抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性(AMR)の原因の1つとして抗菌薬の不適切な使用が挙げられており、薬の正しい使用のためには生活者自身の正しい認識が必要としている。
関連する投稿
【抗菌薬使用量調査】2022年は昨年比ほぼ横ばい/2013年比では31.5%減少
【2023.03.06配信】AMR臨床リファレンスセンターは3月6日、2022年の「全国抗菌薬販売量調査データ」を公開した。2022年は、2013年比では31.5%減少したものの、昨年比ではほぼ横ばいだった。
最新の投稿
【静岡県病院薬剤師会】静岡県立大学薬学部と連携協定/薬剤師の養成と地域医療への貢献で
【2025.06.17配信】静岡県病院薬剤師会(会長:渡邉 学氏)と静岡県立大学薬学部(学部長:吉成浩一氏)は、薬剤師の養成と地域医療への貢献を目的とした連携協定を締結し、2025年6月9日に静岡県立大学にて両代表者が協定書に署名した。
【2025.06.16配信】グラクソ・スミスクラインは6月16日、同社が販売する「フルナーゼ点鼻液」について、年内を目途に販売を中止することを公表した。
【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で
【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。
【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算
【2025.06.13配信】政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太方針を閣議決定した。医療・介護に関連しては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記載した。これまでは、社会保障関係費の伸びを高齢化の範囲内に抑える方針がとられてきた。薬剤師で参議院議員の神谷政幸氏はXで「税収増を踏まえた経営の安定化や確実な賃上げに繋がる対応がついに反映」と投稿。医療介護業界の声が届いたとの考えを示唆した。
【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成
【2025.06.12配信】奈良県薬剤師会(後岡伸爾会長)は、「健康ハートの日 2025」に協賛する。