【2020.07.09配信】
ウエルシアホールディングスの子会社業績改善が順調に進んでいる。同社が7月9日に行った2021年2月期第1四半期決算の説明会によると、2017年9月に子会社となった丸大サクラヰ薬局の経常利益率が前期2.7%から今期4.7%に大幅改善。ほぼ2倍となる実績となった。ウエルシア薬局とシミズ薬品も2桁増益となっている。
一方、調剤事業比率の高い金光薬品は受診抑制の影響が大きく、経常利益がマイナスで着地した。なお、対象期間は2020年3月1日~2020年5月31日。
コロナの影響で、新たな若い層が来店
この期は新型コロナウイルス感染症拡大懸念が決算にも大きな影響を及ぼした。営業時間の短縮やチラシの自粛を実施しながら、生活インフラとしての営業を継続し、結果として増収増益、売上高・利益ともに計画達成となった。化粧品や受診抑制による調剤の落ち込みがあったものの、感染予防、巣ごもり需要増がカバーした。同社によると、コロナの影響でこれまで同社に買い物に来ていなかった周辺住民の来店が見られ、特に若年層に多い傾向がみられたという。今後、こうした新たな層を固定客に育てていきたい考え。
薬剤師の残業時間が27%減、調剤薬の自動発注が全店導入
今期の取り組み課題は、「専門性の追求、営業力の強化」、「業務効率化に向けた取り組みの徹底と収益力改善」、「SDGs、社会貢献」の3つを掲げる。
1つ目の「専門性の追求、営業力の強化」については支社・子会社機能を強化し、調剤・化粧品それぞれのマネージャーを配置したことにより、地域に根差した専門性の高いエリア運営をしていく方針。引き続き調剤併設の推進と薬剤師の積極採用を進めるとともに、PB製品の開発、SNSデジタル販促にも取り組み、収益力の改善を図る。
2つ目の「業務効率化に向けた取り組みの徹底と収益力改善」では、人時コントロールと店舗作業軽減のための仕組み導入に取り組んでいく。1年ほど前と比べると薬剤師の残業時間は27%圧縮されているという。今年2月には調剤薬の自動発注システムの全店導入が完了。薬剤師の残業削減効果にもつながっているという。
3つ目の「SDGs、社会貢献」では、店舗に憩いの場を併設する「ウエルカフェ」を拡充。実施店舗数、イベント実施数を増やしていくとともに、地域情報、役立つ情報提供を開始する予定。社内にダイバーシティ推進の専門部署を設置。優秀な人材の確保にもつながる施策として推進していく。
ニューノーマルに対応
説明会で同社社長の松本忠久氏は、同社としてニューノーマルに対応していく必要性を指摘。「時代はウィズコロナ、アフターコロナとなった。ニューノーマルへと生活様式、行動様式の変化が求められる中で、われわれの目指す生活のプラットフォームの実現に向けて、原点に立ち返り、お客様が何を求めているのか、あらゆる角度から分析し行動を変える必要がある」と述べた。
なお、決算数値については7月8日に公表済みだが、売上2325億200万円(前年同期比10.5%増)、営業利益105億2600万円(同29.4%増)、経常利益112億5300万円(同27.5%増)、純利益66億200万円(同21.3%増)だった。