現在、特例的に医療用抗原検査キットを薬局で販売することを認めているが、OTC化はさらにネットでの販売を可能にする必要があるのではないかとの意見を受けたもの。8月10日に厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、ネット販売等を可能にするいわゆる OTC 化について議論が行われ、休日・夜間や在宅で抗原定性検査キットを容易に手に入れられるようにしてほしいという国民の期待に応えるため、医療現場への供給を優先することを前提として、OTC 化に向けて具体的に検討を進める方向性について確認されていた。
14時から行われた「薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会」ではガイドライン案の妥当性を議論した。当該一般用検査薬のリスク区分については、同日18時から開かれる「薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」で、当該使用者に提供すべき情報等を踏まえて結論を出す予定。
ガイドラインでは、薬局などの販売者から使用者に提供する情報についても、資材等の要件として整備されており、例えば、結果等を踏まえて受診する場合の対応などを記載。「まずはかかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話等で相談」「院内感染を防止するため、緊急の場合を除いて、連絡なく医療機関に直接受診することは控える」「かかりつけ医がいないなど相談先に迷った場合は『受診・相談センター』(地域により名称が異なることがあります)に相談」などを記載している。
詳細なガイドラインは以下のサイトで確認できる。
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000976728.pdf
同日の部会では、日本薬剤師会常務理事の髙松登氏がOTC化に異論はないとの見解を表明。その上でリスク区分について、安全対策調査会の議論であることは前提としつつも、「われわれとしては第1類医薬品の区分としていただくのがよいと考えている」と述べた。
1類区分はネット販売が可能になるが、薬剤師による販売が必要。
高松氏は抗原検査キットについて、「検査を目的としている製品であり売っておしまいではない。結果によっては医療機関につなげる必要も出てくる。利用される方々の状況をみて適切に説明する必要がある」とし、「薬剤師が責任を持って販売する形をとってほしいし、われわれ薬剤師もそういう販売をすべきだと思っている」とした。
さらに高松氏はネット事業者による配送体制について懸念を表明。猛暑が続く中、玄関先への配送などでは品質、検査精度に問題が生じる懸念があるとした。
これに対しては事務局は「そもそもOTC医薬品の販売には常温(2~30度)を前提としており、それを超える気温では適切な管理を求める」と回答した。
加えて事務局は、専門家介在について前向きな発言をした。「偽陰性の場合があることなど、利用者に説明のできる専門家の活躍を厚労省としては考えている」と述べた。
今回のOTC化は、医療機関で必要な確保を大前提としている。国は卸などに優先順位を付けた販売を要請する方針。1番目に医療機関、2番目に自治体、3番目に薬局や販売業者との優先順位となる。現時点でOTC化される対象として想定されている製品も、メーカー在庫が十分ある4社のものを想定している。4社の医療用をOTC化する見込み。

【厚労省・体外診断薬部会】抗原検査キットのOTC化で日薬は1類区分を要望/結論は夜の安全対策調査会
【2022.08.17配信】厚生労働省は8月17日、「薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会」を開催し、新型コロナウイルス抗原定性検査キットのOTC化に係るガイドラインの妥当性を議論した。この中で日本薬剤師会(日薬)は、薬剤師による販売が必要な「第1類医薬品」の区分を要望した。1類はネット販売が可能な半面、薬剤師による販売が求められる。結論は同日の夜6時から開かれる「薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」で出される予定。
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