【薬剤師WG】厚労省、“ハブ薬局構想”提示

【薬剤師WG】厚労省、“ハブ薬局構想”提示

【2022.04.20配信】厚生労働省は4月19日、「第4回薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」を開催し、「地域における薬剤師サービスの提供」について議論した。この中で厚労省は地域での薬局間連携の必要性を明確にし、「薬局連携のハブとなる薬局」が中心的な役割を発揮していくイメージ図を提示した。


 「ハブ薬局」というと薬剤調製の外部委託における受託薬局をイメージする関係者も少なくないが、今回、厚労省が示した「ハブとなる薬局」は、地域への医薬品供給をベースに在宅医療、健康サポート機能、感染症・災害時対応など、地域に必要とされる薬局・薬剤師サービスの中心的な役割を果たす薬局のことだ。

 厚労省は資料の中で、薬局連携のハブとなる薬局は、①各薬局の連携のハブ、②個別薬局では対応等が難しいサービスの提供・実施、③自治体や地域の薬剤師会等との連携--を行うと記載。
 連携メニューとして①無菌調剤、②災害対応、③医薬品の融通、④輪番、⑤症例検討会・勉強会、⑥対物業務の効率化の取組みーーを提示。そのほか、自治体、地域の薬剤師会、基幹病院、その他医療関係者と連携しながら、⑦医療機関との調整(例:退院調整)、⑧自治体からの事業受託(健康講座、学校教育への対応) 等を掲げた。

 さらに、将来的な展望として、①地域医療計画への位置づけ、②地域医療連携推進法人との連携--等を掲げた。

 厚労省はこれまで、地域連携薬局では1薬局が地域の医療機関や介護施設に加えて地域の薬局と連携するイメージ図を示してきたが、今回は薬局同士の連携の必要性を明確にし、しかも中心的な役割を果たす薬局の存在を提示した。今後の政策の方向性を示したといえる。
 背景には現在、小規模な薬局が多い現状がある中で、地域への貢献度を高めていくためには地域の薬局同士の連携が不可欠との考えがある。

 この方向性については、出席している委員からさまざまな課題も示された。

 ドラビズfor Pharmacyで詳しく解説している。
■有料版「ドラビズfor Pharmacy」の概要
https://www.dgs-on-line.com/boards/5

編集部注;「ハブとなる薬局」の存在を記した厚労省の資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000930741.pdf

編集部注:これまでも厚労省が示してきた地域連携薬局のイメージ図
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000930741.pdf

この記事のライター

関連する投稿


【薬剤師WG】「調剤業務の一部外部委託」法改正へ/一包化、三次医療圏内で

【薬剤師WG】「調剤業務の一部外部委託」法改正へ/一包化、三次医療圏内で

【2022.06.23配信】厚生労働省は6月23日、「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(WG)を開催し、とりまとめ(案)を提示した。おおむね事務局案が了承された。外部委託に関してはまずは一包化業務に限定し、委託先は委託元薬局と同じ三次医療圏内とする。現在、外部委託は法律で認められていないことから法改正を見込む。法改正がされたのちに、安全性や対人業務拡充の効果検証、対象業務や委託先の範囲についてさらに議論を行う方針。


【薬剤師WG】日薬「“ハブ薬局”には“公的性質”を」/始まった制度化への議論

【薬剤師WG】日薬「“ハブ薬局”には“公的性質”を」/始まった制度化への議論

【2022.05.30配信】厚生労働省は5月27日に「第5回薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(WG)を開き、「薬局間連携の在り方」を議論した。地域の薬局間連携の調整役を担う“ハブ薬局”の制度化を目指す動きが始まった。


【薬剤師WG】厚労省が30〜40代薬剤師にヒアリング/一包化の外部委託に慎重意見

【薬剤師WG】厚労省が30〜40代薬剤師にヒアリング/一包化の外部委託に慎重意見

【2022.03.14配信】厚生労働省は3月10日、「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」の下に設置した「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」の第2回を開催した。この中で、現場で働く薬剤師の実態、意見を聴取すべく、意見交換会を実施したことを報告。一包化の外部委託に関しては、「様々な意見があったが、慎重な意見も多かった」とした。慎重意見には、服薬指導段階で疑義が生じることもあるため、臨機応変な対応ができないことを挙げ、「患者に迷惑をかけてしまう」などの懸念が示されていた。


【薬剤師検討会】WGの第4回で「処方箋40枚規定撤廃」の是非も議題に

【薬剤師検討会】WGの第4回で「処方箋40枚規定撤廃」の是非も議題に

【2022.02.14配信】厚生労働省は「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」(薬剤師検討会)の下に設置した「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(WG)の初回を開催した。その中で今後のWGの議題やスケジュールを示した。WGは今年6月まであと5回開催し、7月に親会議である「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」へ、WGとしての結果を報告する予定。特に第3回では規制緩和のテーマに挙がっている「調剤業務の外部委託」や「処方箋の40枚規制を撤廃すべきとの指摘について」などを議論する予定。


最新の投稿


【医薬品制度部会】認定薬局、「医療制度に組み込む方がいい」/希少疾病の認定薬局の提案も/委員から

【医薬品制度部会】認定薬局、「医療制度に組み込む方がいい」/希少疾病の認定薬局の提案も/委員から

【2024.04.18配信】厚生労働省は4月18日、「令和6年度第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催した。


【医薬品制度部会】日薬、フォローアップの重要性指摘/厚労省「GL作成中」

【医薬品制度部会】日薬、フォローアップの重要性指摘/厚労省「GL作成中」

【2024.04.18配信】厚生労働省は4月18日、「令和6年度第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催した。


【ウエルシアHD】池野隆光氏が会長兼社長に就任

【ウエルシアHD】池野隆光氏が会長兼社長に就任

【2024.04.18配信】ウエルシアホールディングスは4月18日、「代表取締役社長選任に関するお知らせ」を公表した。


速報【アイン敷地内薬局めぐる裁判で地裁有罪判決】藤井被告懲役1年・執行猶予3年、新山・酒井両被告懲役6か月・執行猶予2年

速報【アイン敷地内薬局めぐる裁判で地裁有罪判決】藤井被告懲役1年・執行猶予3年、新山・酒井両被告懲役6か月・執行猶予2年

【2024.04.18配信】KKR札幌医療センターの敷地内薬局の整備を巡り、公契約関係競売入札妨害の罪に問われたアインファーマシーズ元代表取締役社長・酒井雅人被告、同社元取締役・新山典義被告、KKR札幌医療センター元事務部長・藤井浩之被告の判決公判が4月18日午前、札幌地裁で行われた。(ジャーナリスト・村上 和巳)


【八戸薬剤師会】調剤実績情報の共有サービスを開始へ/薬局間医薬品融通スムーズに

【八戸薬剤師会】調剤実績情報の共有サービスを開始へ/薬局間医薬品融通スムーズに

【2024.04.17配信】八戸薬剤師会(青森県)は4月17日の夜、八戸市内のホテルで「薬局会員間の調剤実績共有サービスの導入について」との説明会を会員薬局・薬剤師向けに開催した。同サービスは調剤実績情報を共有することで薬局間の医薬品融通をスムーズにすることを目的とするもの。同薬剤師会は会員薬局数149薬局だが、説明会には100名以上が参加し、関心の高さがうかがえた。


ランキング


>>総合人気ランキング