【ウエルシアHD】コロナ検査で8万件受付/第3クオーターは増収増益に転換/調剤併設率は79%に急伸

【ウエルシアHD】コロナ検査で8万件受付/第3クオーターは増収増益に転換/調剤併設率は79%に急伸

【2022.01.11配信】ウエルシアホールディングスは1月11日、2022年2月期第3四半期の決算説明会をオンラインで行った。この中で、コロナ対策として政府が進める「ワクチン・検査パッケージ」への早期の対応状況を説明し、12月24日開始から1月9日までに8万件の検査を受け付けたとした。第3四半期決算は増収減益も、第3クオーター単独では増収増益に転じた。調剤併設は前年同期から大きく伸ばし併設率は79%を超えた。リフィル処方箋導入への影響を記者に聞かれると、「土曜開局や部分的には日曜開局を進めている。ウエルシアはどこでも処方箋を受け付けられるという状況を目指す」と方針を述べた。


売上総利益では調剤粗利益が物販粗利益不足をカバーした形に

 ウエルシアホールディングスの2022年2月期第3四半期の連結業績(2021年3月1日~2021年11月30日)は、売上高7564億300万円(前年同四半期比6.5%増)、営業利益298億1500万円(同9.6%減)、経常利益329億4300万円(同6.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益202億800万円(同6.8%減)。第3クオーター単独では増収増益に転じた。

 決算については、今期の計画においては感染症対策品・食品等の需要の反動のほか、受診抑制や処方箋日数長期化の反動を想定し、下期から増益に転じる計画としていた。結果としては計画通り、第3クオーター単独では増益に転じた。

 調剤においては受診控えが解消されつつある状況等により、既存店の処方箋受付枚数が伸長した。加えて積極的な調剤併設を行った結果、計画比103.3%と好調に推移した。一方で物販は食品と新型コロナウイルス感染症対策品の前年需要の反動が想定よりもやや大きく計画比98.3%で着地した。結果として売上高全体では計画比99.3%と若干の未達。売上総利益については新型コロナウイルス感染症対策商品の反動と4月の薬価改定があった一方で受診抑制の解消と長期処方の戻しが進み、調剤粗利益が物販粗利益不足をカバーした形になった。全体では99.6%とほぼ計画通りに着地した。販管費については、継続課題である業務効率化に向けた取り組みの徹底による収益力改善に努め、第3四半期では販管費率の前年同期比が売上総利益率よりも下回って推移し販管費は計画比99.9%、累計では計画比100.2%となった。ただ人件費は計画を超過しており一連の取り組みが全店へ浸透するのは今後の課題とした。徹底できている店舗では発注にかかっていた必要人員が急激に改善しており、今後、効率化を追求できる余地は大きいとした。

土曜開局を積極推進、前期末から203店舗増加

 今期取り組みの進捗については、専門性の追求や営業力の強化を説明。前期下期に積極採用した資格者を生かし調剤併設を進めた。調剤併設店舗数は前期末に対して154店舗増加、計画121店舗を上回った。また土曜開局についても積極的に推進し、前期末に対して203店舗増加。PB商品については来店動機となるような商品を作り、価値を売り場とカウンセリングで伝えていくことにより顧客へリーズナブルな買い物を提供するため「からだWelcia」「くらしWelcia」を2021年6月に上市し、以降、毎月新商品を上市している。2021年11月末時点で40SKUを販売している。開発計画よりも若干の遅れがあるものの、PB比率は順調に上昇している。販売後に目標売上の200%という商品も生まれているとした。

 課題に挙げている「人時売上」のコントロールについては、自動発注システムを定着させ、カテゴリーごと週2回納品に作業の平準化を目指している。自動発注稼働率をさらに高めるため発注業務の軽減化のための仕組みを9月1日より全店導入し、併せて店舗人時数を見える化できる「ワークマネジメントシステム」を9月11日より全店導入。 取り組みの結果、一定の効果が発現してきたものの、まだまだ効果を追求できる余地は大きいとする。ピークタイムの夜間に資格者を配置しカウンセリング販売を強化して人時売上高向上につなげているとする。デジタル販促強化については、「ウエルシアメンバー」として顧客管理を7月から開始し、1月4日時点で登録者数135万人を獲得。2022年6月までに445万人登録を目指す。目的来店性の高い仕組みを構築していくとする。
 
 「ウィズコロナ」の取り組みについては、オミクロン株の急拡大が懸念されている中、「ワクチン・検査パッケージ」、抗原検査やPCR検査についていち早く取り扱いを開始した。年末の12月24日の開始から1月9日までに約8万件を超える受付を行った。抗原検査やPCR検査の対応増で店舗ではプレッシャーも大きい中、地域を支える高い意識を持って調剤と営業が一体感を持って取り組んでいるとした。松本社長は、「まさにウェルシアの従業員がその専門性を発揮して地域社会に貢献できているものだと社長として誇らしく思っております。当社のビジョンである地域の専門総合店舗の確立により物販と調剤の成長機会を獲得してまいります」と述べた。

“ウエルシアはどこに行っても調剤がある”体制を目指す

 調剤事業については、前年同期比 115.1%の1474億1500万円となった。調剤併設店舗は前年同期比202店舗増の1792店舗になった。調剤併設率は前年同期比5.4ポイント増の79.4%となった。この伸びはここ数年の第3クオーターの前年同期比である1.9〜2.9ポイント増に比較しても高い伸びとなっている。

 記者からリフィル処方箋への影響と対応について質問が出ると、松本社長は「リフィル処方箋の問題はあるが、(調剤事業は)薬剤師採用によって併設率を急激に広げている。加えて土曜開局、部分的には日曜開局まで手を付け始めている。当社としては“ウエルシアはどこに行っても調剤がある”ということ目指していく。採用できる薬学生のレベルが上がっている。優秀な薬剤師さんによって調剤強化につなげていきたい。幕張西の店舗でロボット化の実証実験も進めているが、ロボット化によってモノからヒトへ働き方を変えていきたいと考えている。ここ数年の当社の調剤事業の見込みについては、非常に伸びていくと考えている」と回答した。

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