調査の目的は、今年10月から本格運用となったオンライン資格確認や、準備が進められている電子処方箋、規制緩和が検討されているオンライン服薬指導に関する現状と課題を把握、共有し、NPhA正会員の理解を深めることで、その普及や対応に繋げていくというものだ。1社1回答とし、112社・1万984薬局が回答した。回答率は66.0%。回答期間は11月10日から29日までの20日間。
アンケートは、①薬局におけるオンライン資格確認の導入進捗及び計画、②電子処方箋に対する方針や認識、③オンライン服薬指導の現状と課題――の3点を聞いた。
①の薬局におけるオンライン資格確認の導入進捗及び計画については、現時点で導入している薬局は21.5%(2366薬局)で、半年後には66.2%(7276薬局)、1年後には92.0%(1万106薬局)となる予定であることがわかった。
導入の理由は「レセプト返戻の削減」「電子処方箋の基盤となる」「国・行政の方針」が多く、マイナンバーカードを持参される頻度は「ほぼない」が回答の大半を占めた。要望としては補助金申請期間の延長、機能拡充、国民に対する周知などがあがった。
②の電子処方箋に対する方針や認識については、現時点の方針に関して「全店導入」と回答したのが85社(75.9%)だった。「安全性向上・効率化」「在宅・オンラインによる患者の利便性向上」「保管負担の軽減」が期待されていることがわかった。一方で、「導入・運用に係る費用」「通信・システム障害時の対応」「普及のスピード」といった懸念点もあげられた。また、HPKI(電子署名)に関しては「検討中」「推進、把握していない」の回答が大半を占めた。
③オンライン服薬指導の現状と課題については、現時点の方針に関して全店導入との回答は50社(44.6%)となった。オンライン服薬指導の実績がある企業の回答として「患者本人に話を伺える」「感染防止」「待ち時間短縮」と患者視点でのメリットが多くあげられた。服薬指導以外の課題は「郵送対応、郵送後の薬剤確認」「薬局のコスト増」「会計対応」といった回答が寄せられた。
上記の調査結果を踏まえ、NPhAは、オンライン資格確認を基盤とした一連のデジタル化は、患者一人ひとりに対して薬局サービスの最適化につながるものであり、前向きな期待を寄せる企業が多い結果となったとしている。一方で、実現については大小様々な課題があげられており、NPhA加盟企業内での事例の共有や業界全体の課題に関しては行政と情報交換を継続していくことが必要と考えると総括した。
【日本保険薬局協会】オンライン資格確認調査、「1年後に開始を計画」は92%・1万106薬局
【2021.12.09配信】日本保険薬局協会(NPhA)は12月9日に定例会見を開き、「オンライン資格等確認等に関する調査報告書」の結果を公表した。それによると、1年後は会員企業の92%がオンライン資格確認の運用を開始している計画だという。協会では「患者一人ひとりに対して薬局サービスの最適化につながるものとして前向きな期待を寄せる企業が多かった」としている。
関連する投稿
【保険薬局協会】地域加算「基本料1」と「それ以外」で点数・実績要件統一を/次期改定要望
【2025.12.11配信】日本保険薬局協会は12月11日に定例会見を開き、会長の三木田慎也氏が次期調剤報酬改定の要望事項を説明した。調剤基本料に紐づいて区分のある地域支援体制加算について、「基本料1」と「それ以外」での要件や点数を統一することを求めた。
【日本保険薬局協会】中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント
【2025.09.11配信】日本保険薬局協会は9月11日、定例会見を開いた。この中で9月10日に開かれた中央社会保険医療協議会総会の「調剤について」の議論の中で病院薬剤師の不足に関して多くの意見が出たことについてコメントした。
【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査
【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。
【2025.05.21配信】日本保険薬局協会は5月21日に定時総会を開き、今期、22期の活動計画を報告した。この中で、「OTCセルフケア推進委員会」を新設したと公表した。
【日本保険薬局協会】“処方箋40枚規定”にも提言を「挑戦」/医療制度検討委員会
【2025.05.21配信】日本保険薬局協会は5月21日に定時総会を開き、今期、22期の活動計画を報告した。この中で医療制度検討委員会は、“処方箋40枚規定”に関する提言も「挑戦したい」とした。
最新の投稿
日本初のOTC緊急避妊薬「ノルレボ」新発売/第一三共ヘルスケア
【2025.12.18配信】 第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、社長:内田高広氏)は12月18日、日本初となるOTC緊急避妊薬「ノルレボ」(要指導医薬品)を2026年2月2日(月)に発売すると公表した。価格(メーカー希望小売価格)は1錠 6800円(税込み 7480円)。
【厚労省】長期収載品の選定療養「患者負担2分の1以上」提案/中医協
【2025.12.17配信】厚生労働省は12月17日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、長期収載品の選定療養についてを議題とし、「患者負担2分の1以上」を提案した。
【保険薬局協会】地域加算「基本料1」と「それ以外」で点数・実績要件統一を/次期改定要望
【2025.12.11配信】日本保険薬局協会は12月11日に定例会見を開き、会長の三木田慎也氏が次期調剤報酬改定の要望事項を説明した。調剤基本料に紐づいて区分のある地域支援体制加算について、「基本料1」と「それ以外」での要件や点数を統一することを求めた。
【病院薬剤師会】診療報酬改定議論「期待」/転所時評価などの要望反映で
【2025,12.10配信】日本病院薬剤師会(日病薬)は12月10日に定例会見を開き、厚労省中医協で議論の進んでいる次期診療報酬改定について、期待できるとの見方を示した。日病薬が要望事項に挙げていた転所時の情報共有への評価などが俎上にのっていることなどを評価した。
【2025.12.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は12月5日に定例会見を開き、中医協で規模の小さな薬局が該当することが多い「調剤基本料1」の除外範囲を拡大するとの議論について言及。特に大阪府と東京都に該当地域のある「特別区」が名指しされていることについて、都薬会長の髙橋正夫氏は、「大阪府薬が会見で“絶対に許さない”と表明されているが、都薬も同じ考えだ」と話した。