【日本保険薬局協会】オンライン資格確認調査、「1年後に開始を計画」は92%・1万106薬局

【日本保険薬局協会】オンライン資格確認調査、「1年後に開始を計画」は92%・1万106薬局

【2021.12.09配信】日本保険薬局協会(NPhA)は12月9日に定例会見を開き、「オンライン資格等確認等に関する調査報告書」の結果を公表した。それによると、1年後は会員企業の92%がオンライン資格確認の運用を開始している計画だという。協会では「患者一人ひとりに対して薬局サービスの最適化につながるものとして前向きな期待を寄せる企業が多かった」としている。


 調査の目的は、今年10月から本格運用となったオンライン資格確認や、準備が進められている電子処方箋、規制緩和が検討されているオンライン服薬指導に関する現状と課題を把握、共有し、NPhA正会員の理解を深めることで、その普及や対応に繋げていくというものだ。1社1回答とし、112社・1万984薬局が回答した。回答率は66.0%。回答期間は11月10日から29日までの20日間。
アンケートは、①薬局におけるオンライン資格確認の導入進捗及び計画、②電子処方箋に対する方針や認識、③オンライン服薬指導の現状と課題――の3点を聞いた。

①の薬局におけるオンライン資格確認の導入進捗及び計画については、現時点で導入している薬局は21.5%(2366薬局)で、半年後には66.2%(7276薬局)、1年後には92.0%(1万106薬局)となる予定であることがわかった。

導入の理由は「レセプト返戻の削減」「電子処方箋の基盤となる」「国・行政の方針」が多く、マイナンバーカードを持参される頻度は「ほぼない」が回答の大半を占めた。要望としては補助金申請期間の延長、機能拡充、国民に対する周知などがあがった。

②の電子処方箋に対する方針や認識については、現時点の方針に関して「全店導入」と回答したのが85社(75.9%)だった。「安全性向上・効率化」「在宅・オンラインによる患者の利便性向上」「保管負担の軽減」が期待されていることがわかった。一方で、「導入・運用に係る費用」「通信・システム障害時の対応」「普及のスピード」といった懸念点もあげられた。また、HPKI(電子署名)に関しては「検討中」「推進、把握していない」の回答が大半を占めた。

③オンライン服薬指導の現状と課題については、現時点の方針に関して全店導入との回答は50社(44.6%)となった。オンライン服薬指導の実績がある企業の回答として「患者本人に話を伺える」「感染防止」「待ち時間短縮」と患者視点でのメリットが多くあげられた。服薬指導以外の課題は「郵送対応、郵送後の薬剤確認」「薬局のコスト増」「会計対応」といった回答が寄せられた。
 
上記の調査結果を踏まえ、NPhAは、オンライン資格確認を基盤とした一連のデジタル化は、患者一人ひとりに対して薬局サービスの最適化につながるものであり、前向きな期待を寄せる企業が多い結果となったとしている。一方で、実現については大小様々な課題があげられており、NPhA加盟企業内での事例の共有や業界全体の課題に関しては行政と情報交換を継続していくことが必要と考えると総括した。

この記事のライター

関連する投稿


【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査

【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査

【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。


【日本保険薬局協会】「OTCセルフケア推進委員会」新設

【日本保険薬局協会】「OTCセルフケア推進委員会」新設

【2025.05.21配信】日本保険薬局協会は5月21日に定時総会を開き、今期、22期の活動計画を報告した。この中で、「OTCセルフケア推進委員会」を新設したと公表した。


【日本保険薬局協会】“処方箋40枚規定”にも提言を「挑戦」/医療制度検討委員会

【日本保険薬局協会】“処方箋40枚規定”にも提言を「挑戦」/医療制度検討委員会

【2025.05.21配信】日本保険薬局協会は5月21日に定時総会を開き、今期、22期の活動計画を報告した。この中で医療制度検討委員会は、“処方箋40枚規定”に関する提言も「挑戦したい」とした。


【日本保険薬局協会】2025年5月1日時点の会員数公表/正会員は362社

【日本保険薬局協会】2025年5月1日時点の会員数公表/正会員は362社

【2025.05.21配信】日本保険薬局協会は5月21日に定時総会を開き、5月1日時点での正会員数などを公表した。正会員は362社で、2024年度に21社の入会があった。


【日本保険薬局協会】新理事に杉浦伸哉氏(スギHD副社長)他

【日本保険薬局協会】新理事に杉浦伸哉氏(スギHD副社長)他

【2025.05.21配信】日本保険薬局協会は5月21日に定時総会を開き、新理事4名の就任を了承した。


最新の投稿


【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で

【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で

【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。


【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算

【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算

【2025.06.13配信】政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太方針を閣議決定した。医療・介護に関連しては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記載した。これまでは、社会保障関係費の伸びを高齢化の範囲内に抑える方針がとられてきた。薬剤師で参議院議員の神谷政幸氏はXで「税収増を踏まえた経営の安定化や確実な賃上げに繋がる対応がついに反映」と投稿。医療介護業界の声が届いたとの考えを示唆した。


【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成

【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成

【2025.06.12配信】奈良県薬剤師会(後岡伸爾会長)は、「健康ハートの日 2025」に協賛する。


【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査

【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査

【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。


【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」

【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」

【2025.06.10配信】日本医師会は6月9日、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党合意についての見解を公表した。