【厚労省事務連絡】コロナ経口治療薬の流通、安定的供給までは厚労省が所有し対応薬局をリスト化

【厚労省事務連絡】コロナ経口治療薬の流通、安定的供給までは厚労省が所有し対応薬局をリスト化

【2021.11.10配信】厚生労働省は11月9日、事務連絡「薬局における新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の配分に係る医薬品提供体制の整備について」を発出した。今後、新型コロナウイルス感染症の経口治療薬が国内で実用化された場合で供給量が限られる場合については、安定的な供給が可能になるまでの間は一般流通を行わず厚生労働省が所有した上で、対応薬局をあらかじめリスト化して経口治療薬を配備する体制を整備する方針を示した。


案として在庫数の多い地域連携薬局などを活用し地域の薬局へ供給も

 厚生労働省は11 月9日、事務連絡「薬局における新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の配分に係る医薬品提供体制の整備について」を発出した。

 令和3年10月1日には、事務連絡「今夏の感染拡大を踏まえた今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療提供体制の整備について」を発出しており、自宅療養者等の治療体制として、地域の医療関係者と協議・調整した上で自宅療養者等に対する医薬品の提供体制について想定される需要に対応する仕組みを構築することなどを依頼している。

 今回の通知では、今後実用化される予定の新型コロナウイルス感染症の経口治療薬についても、「供給量が限られる場合には、安定的な供給が可能になるまでの間は一般流通を行わず、厚生労働省が所有した上で、医療機関の処方に基づき必要な患者に届くよう配分することが想定されます」と記述。「特に自宅療養者等に対して、外来診療後に院外処方として処方される場合には、自宅療養者等に適切かつ迅速に、必要な治療薬を滞りなく提供できるよう、地域の医師会、薬剤師会及び医薬品卸売業者等の関係者と連携の上、地域において対応する薬局をあらかじめリスト化して経口治療薬を配備する体制を整備する必要があります」とした。

 その上で、都道府県、保健所設置市及び特別区に対して、地域の医師会、薬剤師会及び医薬品卸売販売業者等の関係者と協力・連携を図り、別紙1により地域の実情に応じた医薬品提供体制の整備を求めている。
 都道府県においては保健所設置市・特別区と連携の下、対応薬局をリスト化し、とりまとめの上、11月26日までに厚生労働省に提出するよう求めている。リストの更新・再提出も適宜求める。

 各薬局・医療機関への配分方法、発注・納入の流れ等の詳細については、追って示す方針。

 対応薬局のリスト化については、以下の通りとした。

●地域において新型コロナウイルス感染症の経口治療薬(薬事承認された抗ウイルス薬)の調剤に対応する薬局をリスト化し、地域の医療機関等と共有すること。

●対応薬局のリスト化に当たっては、以下に記載する体制が構築できるよう地域の薬剤師会と十分に調整を行い、二次医療圏に少なくとも1薬局以上となるようにすること。

●対応薬局は、「今夏の感染拡大を踏まえた今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療提供体制の整備について」(令和 3 年 10 月 1日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)における自宅療養者等の治療体制に対応・協力する薬局(地域連携薬局を含む)のうち、以下(ア)(イ)のいずれも満たす薬局とすること。
 (ア)「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和 2 年 4 月 10 日付厚生労働省医政局医事課、医薬・生活衛生局総務課連名事務連絡)「2.薬局における対応」に記載する服薬指導等の実施や薬剤の配送等の対応を行うこと。
 (イ)夜間・休日、時間外、緊急時の対応(輪番制による対応含む)を行うこと

●可能な限り手に入りやすい形で、患者に必要な治療薬を滞りなく提供できる体制を構築することが重要であることから、対応薬局については、令和 2 年 4 月 10 日事務連絡の2.(4)に沿って、医療機関から送付された処方箋に基づき、患者宅へ直接薬剤を届ける体制や、地域の運送業者と連携して配送する体制など、患者が薬局に来所せずに手に入る体制の構築を検討すること。その上で、こうした体制が構築可能な薬局をリストに掲載すること。

●リストに掲載する薬局については、別紙2の様式に従い、薬局名、所在地、連絡先、開局時間外や緊急時の連絡先等を記載しておくこと。

●対応薬局は、地域における新型コロナウイルス感染症患者を診療している医療機関との連携体制や、住民の居住状況など、地域の実情を勘案することが重要であり、地域によって偏りがないよう、地域の医師会、薬剤師会及び医薬品卸売販売業者等とよく調整すること。

 加えて、留意事項等として以下の通りとした。
●薬局から患者宅等に薬剤を届ける場合における配送費等については、「薬局における薬剤交付支援事業」が活用可能であること。

●処方・調剤の流れ、医療機関と薬局の連絡等の手順(その際、患者の状態や療養環境、入院調整の有無等に関する情報の共有なども考慮)を確認できるようにしておくこと。

●医療機関と薬局が適宜連携して対応できるようにするため、医療機関の緊急連絡先も薬局に共有できるようにしておくこと。

●なお、薬剤の供給量が限られる場合には、地域において円滑に治療薬を配備する必要がある。このため、対応薬局の中で、ある程度の在庫を持ち、リストに掲載された他の薬局が経口治療薬を必要と見込む場合に、当該薬局に対し薬剤の供給の役割を担う薬局を定める等の対応も考えられる(地域連携薬局を活用するなど)。
 そうした対応をとる場合には、リスト中「供給の役割を担う薬局」の欄にその旨を記載すること。また、供給の役割を担う薬局は、地域の医薬品提供体制の確保のため、他の薬局から求めがあった場合には、対応すること。

https://www.mhlw.go.jp/content/000853165.pdf

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