【ウエルシア薬局】180床の病院と同じ敷地内に出店/「イオンタウン幕張西」/病院との連携強化

【ウエルシア薬局】180床の病院と同じ敷地内に出店/「イオンタウン幕張西」/病院との連携強化

【2021.09.30配信】ウエルシア薬局は、180床の病院と同じ敷地内に出店する。イオンタウン株式会社が10月に新設する「イオンタウン幕張西」(千葉県)への出店で、この敷地内には2022年夏に約180床を有する「幕張病院」が開業予定。イオンタウンとしてもこの規模の病院を擁するショッピングモールは初という。ウエルシア薬局社長の松本忠久氏は、「病院の患者様にも食事やサプリメントなど提供できることがある」と話し、病院との連携を強化する考えを表明。調剤領域にかかわらず、多彩な商品を有しているウエルシアの利点を生かした病院との連携が生まれる可能性をにじませた。調剤には「フルラインの調剤ロボット」を配備。3年後に月間1万枚の処方箋応を目指す。


病院の患者に食事やサプリメントなど「ウエルシアができることがある」

 180床の病院が開業を予定しているショッピングセンター「イオンタウン幕張西」内に、ウエルシア薬局が出店する。

 病院との連携体制について記者から「人的交流を含めて、これまでにないような連携が始まる可能性はあるのか」と質問が出ると、ウエルシア薬局社長の松本忠久氏は「大いにあると思う」と述べた。

 松本社長は「(病院とウエルシア薬局が)連携を強めていく必要がある。それによって、ウエルシアの店舗に来ているお客様にとって病院で提供いただけることもあると思う。病院の患者様にとっても、例えば日頃の食事やサプリメントにおいてウエルシアが提供できることもある。こうした相互関係ができることを目指したいと思う」と話した。

 調剤領域にかかわらず、多彩な商品を有しているウエルシアの利点を生かした病院との連携が生まれる可能性をにじませた。ドラッグストアの顧客の悩みを医療につなげるという意味でも、多面的な連携体制を想定していることがうかがえる。

SCコンセプトは「医療、健康、生活支援で人と人をつなぐコミュニケーション拠点」

 イオンタウン幕張西は、「医療、健康、生活支援で人と人をつなぐ地域のコミュニケーション拠点」をコンセプトにしたショッピングセンター(SC)。
 10月21日にオープンを予定している。
 
 核店舗となる「ウエルシア イオンタウン幕張西店」のほか、「まくはりコーラス内科」「Y&M クリニック幕張」「幕張西矯正歯科・歯科 クリニック」「幕張スタークリニック 訪問診療センター」「すずらん鍼灸整骨院 鍼灸整骨院」のほか、「エニタイムフィットネス」やコインランドリー「Hare365」などを擁している。

 加えて、2022年夏には医療法人白百合会「幕張病院」が開業予定。
 同病院は約180床を有しており、診療科目は内科、リハビリ科、精神科。
 病院とSCは連携協定を締結し、有事の際の傷病者受け入れ体制について協力する。また、商業棟内に設置したデジタルサイネージで、「幕張病院」の診察案内や休診情報を放映し、顧客の利便性を向上させる予定。

 SC全体を通して、「毎日の便利な生活にプラスして、地域に根差したウエルネスとコミュニティで地域全体を健康に」「健康的で活力ある、持続可能なまちづくりに貢献」などを目指していくとしている。

10月21日にオープン予定のイオンタウン幕張西

「フルラインの調剤ロボット」を配備/3年後に月間1万枚の処方箋目指す

 イオンタウン社長の加藤久誠氏とともに会見に臨んだウエルシア薬局社長の松本忠久氏は、同店の調剤部門について、「フルラインの調剤ロボット」を配備したとした。クリニックや病院との地域医療連携を深めるほか、在宅医療の拡充を図る予定。「3年後には月間1万枚の処方箋を応需できるようにしたい」と目標も掲げた。
 「お薬受け取りロッカー」なども設置し、オンラインを活用して多様なニーズに応える。
 常時測定機器による健康チェックができるほか、管理栄養士を中心としたスタッフ3人を配置し、健康相談を受ける体制をつくる。

 「ウエルシア イオンタウン 幕張西店」では、店舗入り口付近に園芸カテゴリーを展開するのも特徴的。SCの理念にもあるように、「毎日の生活にプラス」できる提案を訴えかけるつくりといえる。
 園芸コーナーでは、ライフスタイル提案の側面も含めて、「育て方アドバイス」やウエルカフェと連動した「ガーデニング教室」の実施を計画する。花市場直送で鮮度を保つ。
 
 店舗レイアウトでは園芸コーナーの奥に調剤コーナーがあり、さらに店舗奥に進むと、医薬品、化粧品、雑貨コーナーと続き、一番奥は広いスペースを割いた食品コーナーになっている。食品コーナーではイオンとのシナジーを発揮して生鮮に取り組むほか、ワインだけでゴンドラ8本を使う酒コーナーも充実させている。農産物・畜産物も「千葉の船橋市場直送」などの供給体制をとる。
 食品コーナーだけではないが、同社が強化するPB「からだWelcia」や「くらしWelcia」、加えて医食同源アイテムを展開し、ウエルシアだけの商品提案力も強める。

 ウエルカフェを設置している。未病・予防・生活者の「困った!」を解決する地域の健康ハブステーションとして、スマホ教室や終活セミナー、食育活動のほか、「家でできる簡単フィットネス教室」、健康測定を踏まえた食習慣改善提案などの実施を計画しているとした。

 初めての試みとして、花王と組んで、衣料用洗剤・柔軟剤・食器用洗剤の洗剤量り売りコーナーを展開する。
 サステナビリティ提案の一環で、ボトルやパッケージのゴミを出さない新習慣を提案し、SDGsの達成を目指すとした。

初めての試みとなる洗剤の量り売り

この記事のライター

関連する投稿


【ウエルシアHD】とをしや薬局(長野県)がグループ入り

【ウエルシアHD】とをしや薬局(長野県)がグループ入り

【2024.06.03配信】ウエルシアホールディングスは6月3日、株式会社とをしや薬局がウエルシアグループの一員に参加したと公表した。


【ウエルシアHD】桐澤英明執行役員が社長に就任へ

【ウエルシアHD】桐澤英明執行役員が社長に就任へ

【2024.05.21配信】ウエルシアホールディングスは5月21日開催の取締役会において、代表取締役等の人事案について内定した。5月28日に開催予定の定時株主総会後の取締役会にて正式決定する。


【ウエルシアHD池野会長】ツルハHDとの統合「早く進めるのがよい」

【ウエルシアHD池野会長】ツルハHDとの統合「早く進めるのがよい」

【2024.05.10配信】ウエルシアホールディングスの代表取締役会長兼社長を務める池野隆光氏は5月10日、都内の会合で、ツルハホールディグスとの統合について触れ、「早く進めるのがよいと思っている」と述べた。同社の取引先を交えた会合「ウエルシアホールディングス共栄会」の総会で挨拶したもの。


【ウエルシアHD】池野隆光氏が会長兼社長に就任

【ウエルシアHD】池野隆光氏が会長兼社長に就任

【2024.04.18配信】ウエルシアホールディングスは4月18日、「代表取締役社長選任に関するお知らせ」を公表した。


【ウエルシアHD】松本忠久社長が辞任/「私生活において不適正な行為」

【ウエルシアHD】松本忠久社長が辞任/「私生活において不適正な行為」

【2024.04.17配信】ウエルシアホールディングスは4月17日、代表取締役社長の松本忠久氏が辞任すると公表した。


最新の投稿


【大木ヘルスケアHD】松井秀正社長「ドラッグストアは行政とも連携しビジネスモデル変革を」

【大木ヘルスケアHD】松井秀正社長「ドラッグストアは行政とも連携しビジネスモデル変革を」

【2025.02.14配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは2月14日、同社提案会開催中の会場にて会見を開いた。この中で同社社長の松井秀正氏はドラッグストアは今後、「行政とも連携してビジネスモデルを変革していく必要がある」と語った。同社はこれまでも販売だけでなく店頭で行政とも連携した健康イベントの実施を提案・支援するなどの試みを展開している。今回の提案会でも店頭でのフレイル予防に資する取り組み提案などを行っている。


【大木ヘルスケアHD】販促企画会社と業務提携

【大木ヘルスケアHD】販促企画会社と業務提携

【2025.02.14配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは2月12日、販促企画・運営会社と業務提携したと公表した。


【新経済連盟】薬機法法案の国会提出にコメント/引き続き主張を要望

【新経済連盟】薬機法法案の国会提出にコメント/引き続き主張を要望

【2025.02.13配信】新経済連盟(三木谷浩史代表理事)は2月13日、国会に提出された改正薬機法の法律案について、代表理事としてのコメントを公表した。


【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【2025.02.13配信】日本保険薬局協会は2月13日に会見を開き、マイナ保険証の受付方法についての要望をまとめ、公表した。現在、在宅医療現場で活用しているWeb方式を通常の外来でも活用できるようにすることなどを求めている。


【敷地内薬局めぐる裁判】検察が上告

【敷地内薬局めぐる裁判】検察が上告

【2025.02.12配信】KKR札幌医療センターの敷地内薬局の整備を巡り、アインファーマシーズ元代表取締役社長・酒井雅人被告と同社元取締役・新山典義被告が公契約関係競売入札妨害の罪に問われた裁判について、札幌高検は2月12日、札幌高裁が両被告に言い渡した控訴審の無罪判決を不服として上告したことが明らかになった。(ジャーナリスト・村上和巳)