日本保険薬局協会は、「無菌製剤処理を必要とする患者の紹介についての取り決め」に関してフォーマットを作成した。
無菌調剤体制に関しては、今年8月から始まった地域連携薬局申請の基準の一つとなっている。無菌調剤施設を持っていない場合でも、施設を擁している薬局を紹介することでも基準を満たせるとしていた。
同協会では、紹介に関するフォーマットがあったほうがいいとの協会内からの意見があり、作成・公開に至ったもの。
フォーマットでは、無菌調剤を必要とする患者が来る前に、薬局間でとりきめをしておくこととしている。
7月にフォーマットを用いてトライアルしたところ、実際に薬局の声では「こういったフォーマットがあることで、薬局間のコミュニケーションをとりやすい」との意見があるという。
また、認定薬局申請の際に、根拠資料にしやすいとの評価もあるという。
協会では「全国で使えるもの」として、協会のホームページに掲載する予定で、「全国の薬局でつかってほしい」と話した。
なお、地域連携薬局の基準として認められている患者の紹介はクリーンベンチに関するもので、クリーンルームの場合は共同利用契約となる。
医療制度検討委員会の石井僚氏は、「まずは第一ステップとして紹介のフォーマットをつくったが、注意事項として、漫然とした患者の紹介が続くようであれば共同利用を含めて検討すべきだとしている」と話した。
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<編集部コメント>
地域連携薬局の無菌調剤体制の基準をめぐっては、「クリーンベンチでは患者を紹介する」「クリーンルームでは共同利用でもよい」とする基準に抵抗を示す声がある。
「紹介」となってしまうと、処方箋・患者をほかの薬局に“渡してしまう”ことになり、「かかりつけ」の観点のほか、薬局の経営上も課題があるからだ。
一方、この基準に関しては行政は頑なな姿勢ともいわれている。推察するに、「患者の求めがあるのであれば、クリーンベンチぐらいは設置してほしい。それが必要ないと判断するほど、患者の求めが少ないのであれば“紹介”でも問題ないはずだ」という考えであろう。「これを機会に地域の薬剤師会などが主導して地域の患者のニーズを把握し、必要に応じて地域で体制を整えるきっかけにしてほしい」とのメッセージもあるのではないだろうか。
薬局が地域連携薬局を申請することと並行して、地域のニーズ把握と必要な体制の議論が進むことを期待したい。