【無菌調剤体制の薬局紹介】日本保険薬局協会が「取り決め」フォーマット作成・公表/「全国の薬局で使ってほしい」

【無菌調剤体制の薬局紹介】日本保険薬局協会が「取り決め」フォーマット作成・公表/「全国の薬局で使ってほしい」

【2021.09.09配信】日本保険薬局協会は、無菌調剤体制の薬局紹介における「取り決め」のフォーマットを作成し、公表した。近く協会のホームページに掲載予定で、「全国の薬局で使ってほしい」としている。無菌調剤体制に関しては、今年8月にスタートした地域連携薬局の基準として「無菌調剤体制」があり、体制のない薬局では紹介の体制を求めていた。


 日本保険薬局協会は、「無菌製剤処理を必要とする患者の紹介についての取り決め」に関してフォーマットを作成した。

 無菌調剤体制に関しては、今年8月から始まった地域連携薬局申請の基準の一つとなっている。無菌調剤施設を持っていない場合でも、施設を擁している薬局を紹介することでも基準を満たせるとしていた。

 同協会では、紹介に関するフォーマットがあったほうがいいとの協会内からの意見があり、作成・公開に至ったもの。

  フォーマットでは、無菌調剤を必要とする患者が来る前に、薬局間でとりきめをしておくこととしている。
 7月にフォーマットを用いてトライアルしたところ、実際に薬局の声では「こういったフォーマットがあることで、薬局間のコミュニケーションをとりやすい」との意見があるという。
 また、認定薬局申請の際に、根拠資料にしやすいとの評価もあるという。

 協会では「全国で使えるもの」として、協会のホームページに掲載する予定で、「全国の薬局でつかってほしい」と話した。

 なお、地域連携薬局の基準として認められている患者の紹介はクリーンベンチに関するもので、クリーンルームの場合は共同利用契約となる。
 
 医療制度検討委員会の石井僚氏は、「まずは第一ステップとして紹介のフォーマットをつくったが、注意事項として、漫然とした患者の紹介が続くようであれば共同利用を含めて検討すべきだとしている」と話した。

*********
<編集部コメント>
 地域連携薬局の無菌調剤体制の基準をめぐっては、「クリーンベンチでは患者を紹介する」「クリーンルームでは共同利用でもよい」とする基準に抵抗を示す声がある。
 「紹介」となってしまうと、処方箋・患者をほかの薬局に“渡してしまう”ことになり、「かかりつけ」の観点のほか、薬局の経営上も課題があるからだ。

 一方、この基準に関しては行政は頑なな姿勢ともいわれている。推察するに、「患者の求めがあるのであれば、クリーンベンチぐらいは設置してほしい。それが必要ないと判断するほど、患者の求めが少ないのであれば“紹介”でも問題ないはずだ」という考えであろう。「これを機会に地域の薬剤師会などが主導して地域の患者のニーズを把握し、必要に応じて地域で体制を整えるきっかけにしてほしい」とのメッセージもあるのではないだろうか。

 薬局が地域連携薬局を申請することと並行して、地域のニーズ把握と必要な体制の議論が進むことを期待したい。

この記事のライター

関連する投稿


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局の法制化議論「機能の明確化は有り難い」/三木田会長

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局の法制化議論「機能の明確化は有り難い」/三木田会長

【2024.10.04配信】日本保険薬局協会(NPhA)は10月3日、定例会見を開いた。この中で、認定薬局や健康サポート薬局の法制化に関する議論がされていることへの受け止めについて質問が出た。


【東京都】認定薬局の減少傾向には一定の歯止め/7月→8月は8軒増加

【東京都】認定薬局の減少傾向には一定の歯止め/7月→8月は8軒増加

【2024.09.25配信】東京都薬務課は9月25日、定例会見を開いた。その中で認定薬局の最近の状況について情報提供があった。


【マイナ保険証】利用率高い薬局ほどメリット実感/日本保険薬局協会調査

【マイナ保険証】利用率高い薬局ほどメリット実感/日本保険薬局協会調査

【2024.08.08配信】日本保険薬局協会(NPhA)は8月8日に定例会見を開いた。「マイナ保険証利活用に係る取り組み」の調査を実施し、結果を説明した。


【日本保険薬局協会】会員薬局数が2万軒の大台超える

【日本保険薬局協会】会員薬局数が2万軒の大台超える

【2024.08.08配信】日本保険薬局協会(NPhA)は8月8日に定例会見を開き、組織状況について報告した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


最新の投稿


【厚労省_一般用薬乱用防止事業】登録販売者会がオブザーバー参加

【厚労省_一般用薬乱用防止事業】登録販売者会がオブザーバー参加

【2024.10.22配信】日本医薬品登録販売者会(略称:日登会、会長:横山英昭氏=コスモス薬品社長)は、一般用医薬品の乱用防止事業にのワーキングスループにオブザーバー参加する。


【ドラッグストア協会】医薬品“声掛け”キャンペーン実施

【ドラッグストア協会】医薬品“声掛け”キャンペーン実施

【2024.10.21配信】日本チェーンドラッグストア協会は10月18日に会見を開き、10月から年末にかけて、医薬品情報提供の「声掛け強化」キャンペーンを実施するとした。協会・業務執行理事の貞方宏司氏(サンドラッグ代表取締役社長CEO)が説明した。


【病院薬剤師会】薬剤師以外へのタスクシェア検討へ

【病院薬剤師会】薬剤師以外へのタスクシェア検討へ

【2024.10.19配信】日本病院薬剤師会は10月19日に地方連絡協議会を開催した。


【ドラッグストア協会】衆議院選の推薦、比例は「ほぼ公明党」

【ドラッグストア協会】衆議院選の推薦、比例は「ほぼ公明党」

【2024.10.18配信】日本チェーンドラッグストア協会は10月18日に定例会見を開いた。


【ドラッグストア協会】顧問に磯部総一郎氏が就任/OTC薬協理事長と兼務

【ドラッグストア協会】顧問に磯部総一郎氏が就任/OTC薬協理事長と兼務

【2024.10.18配信】日本チェーンドラッグストア協会は10月18日に定例会見を開いた。


ランキング


>>総合人気ランキング