【コロナワクチン接種への薬剤師の協力】45.7%の薬局で協力要請に対応/日本保険薬局協会調べ

【コロナワクチン接種への薬剤師の協力】45.7%の薬局で協力要請に対応/日本保険薬局協会調べ

【2021.07.08配信】日本保険薬局協会(NPhA)は7月8日に定例会見を開き、新型コロナワクチン接種における薬局薬剤師の活動状況について報告した。協力要請のあった7割の薬局のうち、45.7%の薬局で協力要請に対応していることが分かった。コロナワクチン接種への薬局薬剤師の協力体制に関して、規模の大きな調査はこれが初めて。


回答薬局の参加日数は延べ「8467日」に

 調査は6月25日から7月6日までウェブで行われ、会員数約1万6000薬局のうち4992薬局から回答を得た。回答は1薬局1回答としたもの。

 地方自治体から協力要請を受けた薬局は7割にのぼり、協力要請のあった薬局のうち、「協力した・協力を予定している」としたのは45.7%にのぼった。
 調査に回答した実数では、対応した薬局薬剤師は3044名、のべ日数で8467日参加したという結果となった。

 一方、要請を受けた薬局薬剤師の主な業務は、薬液希釈・充填が1320回答で全体の 84.1%を占めた。

 続いて予診サポートが313回答( 19.9%)、相談応需・情報提供が217回答( 13.8%)、接種後の経過観察108回答( 6.9%)と続いた。

 今後協力要請があった場合は、半数以上が「必ず協力する」、「可能な限り協力する」と回答した。
 
 調査によって判明した今後の課題としては、一人薬剤師の薬局や、薬剤師が2~3名と人手が少ない薬局では店舗運営だけでギリギリのため対応できないといった薬局運営と人員調整の問題や、「平日の要請だったためシフト調整に苦労した」、「ワクチン接種に関する研修の機会がなかった」といったものがあった。

 なお、協会では、ワクチン接種の研修会をファイザーの協力を得て6月11日にウェブ形式で開催している。

 以上の調査結果を受けてNPhAの首藤正一会長は「薬局薬剤師が出来ることは限られているがこれからも活動していく。特に薬液の希釈・充填は薬剤師に求められている任務だと思っている。こうした調査はわれわれが初めて行ったと思うが、短い期間の調査にもかかわらず現場の薬剤師たちは新型コロナワクチン接種に対してやれることがあると意欲に満ちていることもわかった」と見解を述べた。

 同日行われた常任理事会では、7月3日に静岡県熱海市で発生した土石流災害の説明もあり、会員薬局における土石流被害はなかったものの浸水被害はあったことが報告された。

*****
<編集部コメント>
 首藤会長が指摘した通り、薬局薬剤師のコロナワクチン接種への協力に関して、規模の大きな調査結果はこれが初めてだろう。
 他の医療従事者も同じように協力していることが想定されるが、それでも、薬局薬剤師がコロナワクチン接種にどの程度協力しているかを数字で示したことは意味がある。

 薬局現場でも通常業務を行いながらの協力であり、こうした貢献は社会から評価されるべきだと考えられる。

この記事のライター

関連する投稿


【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【2025.02.13配信】日本保険薬局協会は2月13日に会見を開き、マイナ保険証の受付方法についての要望をまとめ、公表した。現在、在宅医療現場で活用しているWeb方式を通常の外来でも活用できるようにすることなどを求めている。


【日本保険薬局協会】「1社流通」調査/理由の説明あったのはわずか「7.1%」

【日本保険薬局協会】「1社流通」調査/理由の説明あったのはわずか「7.1%」

【2025.01.16配信】日本保険薬局協会は1月16日、定例会見を開き、「1社流通」に関する調査結果を公表した。「一社流通」はメーカーが卸を限定して流通させている医薬品のことで、価格交渉の余地が小さく、薬価の「単品単価交渉」「銘柄別評価」の原則の中で、薬価形成に問題があるのではないかとの指摘が出ているもの。薬局・医療機関からは1社流通の場合は、メーカーからその理由について説明を求める声が高まっている。1社流通品のある多くの薬局で、卸変更や納品時期確認を余儀なくされているだけでなく、患者への欠品対応や継続服用の中断といった供給上の問題も発生していた。


【日本保険薬局協会】「壁を取り除くことから」/薬局間連携に意欲、三木田会長

【日本保険薬局協会】「壁を取り除くことから」/薬局間連携に意欲、三木田会長

【2025.01.16配信】日本保険薬局協会は1月16日に定例会見を開いた。この中で会長の三木田慎也氏は、薬局間連携に意欲を示すとともに、会員からは「イメージしづらい」との声もあることを紹介した上で、「まずは壁を取り除くことが必要ではないか」との見方を示した。協会としては、協会の持つ機能を地域の財産としていかに活用してもらうかがテーマだとした。


【日本保険薬局協会】薬価中間年改定廃止要望/調剤報酬や卸との価格交渉も厳しく「経営に影響大きい」

【日本保険薬局協会】薬価中間年改定廃止要望/調剤報酬や卸との価格交渉も厳しく「経営に影響大きい」

【2024.12.12配信】日本保険薬局協会は12月12日に定例会見を開き、「薬価制度における中間年改定の廃止に関する要望書」を提出したことを報告した。


【日本保険薬局協会】薬価中間年改定の廃止要望書を公表

【日本保険薬局協会】薬価中間年改定の廃止要望書を公表

【2024.11.20配信】日本保険薬局協会は11月20日、「薬価制度における中間年改定の廃止に関する要望書」をまとめ、公表した。廃止を強く要望するとしている。


最新の投稿


【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【2025.03.16配信】渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員が、3月15日に開かれた日本薬剤師会臨時総会で挨拶した。


【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【2025.03.16配信】日本薬剤師会の専務理事に上野清美氏が就任した。


【日本薬剤師会】全国薬学部に薬剤師会入会案内チラシを配布/卒業式資料として

【日本薬剤師会】全国薬学部に薬剤師会入会案内チラシを配布/卒業式資料として

【2025.03.15配信】日本薬剤師会は3月15日に臨時総会を開いた。この中で、全国薬学部に薬剤師会入会案内チラシを配布したことを報告した。


【日薬_岩月進会長】「賃上げ・物価高騰に対応した財源を要望」/第105回臨時総会会長演述で

【日薬_岩月進会長】「賃上げ・物価高騰に対応した財源を要望」/第105回臨時総会会長演述で

【2025.03.15配信】日本薬剤師会は3月15日に第105回臨時総会を開いた。この中で会長の岩月進氏は会長演述を行った。医療分野における賃上げ・物価高騰に対応した適切な財源を、引き続き政府に要望していく考えを示した。薬剤師においては、「今後は、処方箋調剤にとどまらず、健康サポート機能のさらなる充実、さらには人口減少地域や山間へき地、島しょ部への対応、休日・夜間や在宅医療等における医薬品提供の確立や、 OTC 医薬品や検査薬や衛生用品などを含めた供給拠点としての地域の薬局が必要な機能を発揮できるよう体制を整えていかなくてはならない」とした。


【規制改革推進会議WG】訪看ステーションへの薬剤配置、輸液以外も再検討を/日本訪問看護財団

【規制改革推進会議WG】訪看ステーションへの薬剤配置、輸液以外も再検討を/日本訪問看護財団

【2025.03.14配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」が3月14日に開かれた。