【厚労省が薬剤師の需給推計を公表】2045年に最大で12万人の薬剤師過剰の可能性!

【厚労省が薬剤師の需給推計を公表】2045年に最大で12万人の薬剤師過剰の可能性!

【2021.04.26配信】厚生労働省は4月26日、「第8回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催し、薬剤師の需給調査の推計を公表した。それによると2045年に最大で12万6000人の供給過剰になる可能性が示された。現在の薬剤師は31万1000人であり、極めて大きな供給過剰になる可能性がある。日本薬剤師会副会長の安部好弘氏は、「医学部・歯学部同様に薬学部にも入学定員などに規制ができる仕組みが必要だ」と訴えた。


需要数で大きな振り幅/最大で40万8000人、最小で33万2000人。薬剤師の業務変化で変動要因

 厚労省が公表した薬剤師の需給調査の推計では、2045年の供給数は最大で45万8000人、最小で43万2000人。需要数は最大で40万8000人、最小で33万2000人。

 最大の供給数と最小の需要数を考慮すると12万6000人が2045年に供給過剰になる可能性が示された。
 
 推計では需要において振れ幅が大きいが、これは薬剤師業務に変動要因が大きいことが理由。対人業務や在宅医療など現状よりも業務が拡大した場合はその分、需要も拡大することが考えられる。

日薬安部氏「医学部・歯学部同様に薬学部入学定員規制の仕組み創設を」

 こうした結果に対し、日本薬剤師会副会長の安部好弘氏は、「薬機法改正で薬局の在り方が定義されたことは重大なターニングポイント。薬局は調剤だけでなく保健・医療・公衆衛生に関わる業務をより充実させることを考慮し推計する必要がある」としたうえで、いずれにしても需要を供給が上回る中、「課題は、供給が上回る場合でも医学部や歯学部のように入学定員規制などの対応の手段がないことだ」と指摘。「薬学部でも同様に規制のできる仕組みを国につくっていただく必要がある」と話した。
 かねてから提案していた大学ごとの留年率などの達成率で入学定員等を規制する仕組みを要請した格好。「この検討会の意見としてしっかり記載していくべき」と提言した。

 供給量の変化だけでなく、現在からどのように薬剤師業務が変わるのかが、需給結果に大きな影響をもたらすことが考えられる。
 増加する業務に関して、厚労省の資料では、在宅業務のほか、OTC医薬品販売や健康相談業務などが挙げられている。

【薬剤師養成検討会】医師会宮川氏「変えなければ『分業は失敗だった』となる」

https://www.dgs-on-line.com/articles/608

【2020.12.21配信】厚生労働省は12月18日、「第5回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催し、「薬局薬剤師の業務について」を議論した。この中で、日本医師会常任理事の宮川政昭氏が「議論の芯は地域包括ケアの中で薬局薬剤師の姿が見えないということ。今の薬剤師の業務の範囲などを見直す時期に来ている。それができないのであれば医薬分業は失敗だったというしかなくなってしまう。そうならないために薬剤師自身がこれからどうやっていくのかをあぶりださないと将来はないと思う」と話し、薬局薬剤師に対し危機意識の共有を促した。そのほかの構成員からも「潮目だ」といったコメントが出た。

【薬剤師養成検討会】医師会・宮川氏が文科省に「薬学生総量適正化」の意思質す/過剰養成懸念に一石

https://www.dgs-on-line.com/articles/539

【2020.11.25配信】厚生労働省は11月25日、薬剤師需給や教育の問題を議論する「第4回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催した。同検討会はテーマが多岐にわたるため、現在、個別テーマごとの議論を進めている最中。今回は「薬学教育」がテーマ。現状と課題について広範な議論が交わされた一方、日本医師会常任理事の宮川政昭氏が文部科学省に対し、薬学部定員を適正化する意思があるかどうかを質す場面があった。これに対し、文科省は、「現状は規制する対象ではない」と回答。その上で、「医師の需給が議論され、それに応じた養成が話し合われるので、その流れの中で薬剤師に関しても国が方向性を示すのであれば可能性はゼロではない」と見解を示した。

【薬剤師養成検討会第2回】需給調査結果がすでに見えた“厚労省が示したある図”

https://www.dgs-on-line.com/articles/360

【2020.09.13配信】厚生労働省は、薬剤師の養成や需給調査、在るべき姿などを話し合う「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」第2回を開催した。今回の議事進行は、前回を振り返り、薬剤師の「業務(役割)」「需給(調査)」「教育(養成)」の3つの観点から、委員に追加意見を求めることから始まり、今回のハイライトである需給調査の方法に対する賛同を得た形。

この記事のライター

関連するキーワード


薬剤師要請検討会 需給調査

最新の投稿


【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。


【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。


【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。


【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【2025.04.26配信】日本薬剤師会は電子おくすり手帳簡易ビューワーアプリ「e薬 SCAN」について、他職種への周知依頼を都道府県薬剤師会宛てに発出した。


【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング