大井氏はそもそもの今回の見直しに関して、「健康増進の重要性を踏まえ、健康サポート薬局を健康増進支援薬局として薬機法上の認定薬局に格上げにすることがまず優先事項としてあった」と話した。健康増進支援薬局の基準設定にあたり、オーバーラップする基準のあった地域連携薬局の基準もそれぞれの役割を踏まえたものとする必要があったという。加えて、個々の薬局が持つべき医療安全対策などの基本的なかかりつけ機能に関する基準は削除し、上乗せすべき基準に限定した。専門医療機関連携薬局については、基準を変更するという話ではなく、がん以外の疾病区分追加が議論になったと振り返った。
新基準では「常勤換算2.5人」の新設も注目を集めているが、「ターミナルケアや小児在宅、他薬局に代わり一時的な対応を行うことなど、地域を支える拠点的な機能を考えると一定程度の規模は必要」(大井氏)との考え。
今回の基準では、「他職種との連携」、「薬局間の連携」に加えて、3つ目の柱としては「地域が持つべき体制への協力」があるとの考え。「総合すると、地域を拠点的な役割として支援していくんだということがおのずと見えてくると思う」(大井氏)と話した。地域を盛り立てる企画立案、例えば症例検討会実施、地域の複数の薬局を集めたBCP構築なども想定されるとする。こう考えると、たしかに所属団体関係なく、呼び合える関係性がなければ成立しないといえる。「地域全体で、ということをより明確化した」(大井氏)。
“在宅”年48回以上や医薬品融通年24 回以上など、実績(回数)を求める事項に関しては全て知事の設定を可能とし、「薬局の努力ではどうにもできない状況」には対応する考え。都道府県によって一律に回数を緩和するのか、都道府県内でも一定の条件など場所によって回数を緩和するのかについては「それも含めて地域次第」(大井氏)とした。なお、医療機関への情報提供実績回数が旧基準の月30回から年60回に減少したが、これについては「回数よりも質」との考えで、これまでは外来も実績回数に含まれていたが、これを削除し、入院、退院、在宅に関する情報に限定したため。健康サポート薬局と同様に「中学校区に1つ」などの目標を掲げるかについては「検討するかもしれないが、現在は未定」とした。
【健康増進支援薬局】「いつ相談しやすいか」も周知
健康増進支援薬局に関しても、地域連携薬局と同様に薬局が基本的に持つべきかかりつけや一元管理などの機能は削除した。セルフケアとは関連の浅い在宅要件も削除した。その一方、新設された基準も多い。
新設の1つが「PHRなどの患者の健康情報の活用支援」。「例えばマイナポータルを活用して、自分の検診情報や薬剤情報が見られるが、そのことを知らなかったり、設定方法が分からないという人も少なくないと思う。薬局がそういった点をサポートすることには利用者のニーズがあるのではないか」(大井氏)。ウエアラブルデバイスの情報も取得はできても、その情報をどう考えたらいいのか、薬局がこの点を支援することも視野に入れる。
住民向けに利用方法を周知することも基準にした。「健康・介護相談するにしても、いつ・どうやって相談したらいいか分からないとの声を聞く。現状のいわゆる調剤薬局では処方箋を持っていないとそもそも入りにくいという意見もあり、入った後でも“薬の受け渡しを待っている患者さんがたくさんいてどうやって相談したらいいのか”といった疑問を持つ人もいると思う。何を相談できるのかを含め、利用者目線で必要な情報を周知することが重要と考えている」(大井氏)とした。住民への接点であれば周知方法は限定しないが、薬局の掲示のほか、ホームページや地域薬剤師会を通した薬局機能の情報周知の中で伝えることもあってもいいとする。「“相談しにくい”と考えている利用者もいることをどう解消するのか。既にこの課題に取り組んでいる薬局もあるが、認定薬局の基準にすることでこの基本的な課題にもっと広く取り組んでほしい」。
地域で健康増進支援関連の活動に取り組むことも基準にする。「単独の薬局で健康イベントなどを実施する事例が結構あるが、健康増進支援薬局の認知を向上させ、地域の課題に対応するためには、他の薬局とも連携した地域で活動が必要となる」、「薬局同士が連携し、地域レベルでの健康増進活動を実施する下地を作ることが、自治体や保険者と連携した取組みにも繋がる可能性を生むのではないか」(大井氏)とし、健康増進や疾病予防の観点から、自治体や保険者等との連携の広がりにも期待を示した。
認定目標数の設定については「あった方がよいのは間違いない」としつつ、「現時点では設定するかは未定」とした。「数の目標よりも、地域ごとにどううまく使ってもらうが重要。その観点で好事例の収集やその周知を進めていきたい」とした。今年度予算でも健康増進支援薬局のモデル事業を進める。
<編集部注>有料版「ドラビズ for Pharmacy」7/17・22号の記事では連携先として登場した「学識経験者」や研修要件などについても聞いている。