この中で小規模乱立の提供体制や医療機関近隣への群集といった薬局の業界構造に変化が見られない点を問題視。
その上で、旧薬事法上の薬局距離規制に対する違憲判決に言及。判決以降、薬局への量的規制について行われてこなかったのが実情だが、医療保険財政の観点からの病床規制を合憲とした事例も見られると指摘。規制の目的・手法に鑑み、量的規制に合理性が認められる可能性もあると考えられるとした。
「例えば」として、薬局の開業そのものへの制約ではない「保険調剤への参入規制の導入」や、単純な距離規制ではない「一定地域内の密集性に着目した規制」であるなら、「検討の余地があるのではないか」と提言した。
薬局に対する量的規制の可能性について考察
薬局に対する量的規制の可能性についても考察。
旧薬事法による薬局距離規制への違憲判決(最大判昭和50年4月30日)は、医薬品の安全性確保等の消極的な目的のために、単純な距離制限という薬局開設自体への大きな制約を課すことの合理性を認めなかったものであり、「例えば、保険財政上の必要性から、診療報酬上の措置により薬局に対する量的規制を行うことまでは否定されないのではないか」とした。
保険財政上の必要性に鑑み量的規制が認められた例として、不必要又は過剰な医療費を発生させ、医療保険の運営の効率化を阻害するおそれがあること等を理由に、医療法上の病院開設中止勧告に従わず病床過剰地域で開設した病院に対して保険医療機関の指定を拒否したことを合憲とした例が存在(最一小判平成17年9月8日)していることも指摘。
当該判決で広範な立法裁量が認められた理由について、当該処分が開業の自由そのものを制約するものでなく、保険給付への参入資格のみを問題にしていることが挙げられうるとの指摘がある(原田大樹
「保険医療機関指定拒否処分と憲法22条」(2025年2月社会保障判例百選第6版))として、医療保険財政の観点からの「医療分野における量的規制を検討する上で一定の示唆を有するのではないか」としている。