【後発薬調剤体制加算】神谷政幸議員が国会質疑/日薬岩月会長も質疑に言及

【後発薬調剤体制加算】神谷政幸議員が国会質疑/日薬岩月会長も質疑に言及

【2025.05.08配信】5月8日、参議院厚生労働委員会が開かれ、薬剤師の資格を持つ国会議員である神谷政幸氏が後発医薬品調剤体制加算について質疑した。同日、質疑後に別途、開かれた日本薬剤師会定例会見でも岩月進会長が関連質疑に対してコメントした。


福岡厚労相、後発薬体制加算「後発薬の使用割合は80%を超えた現在においても、後発薬を希望した患者さんに提供できるよう、先発薬と後発薬の両方を取り扱わなければならないことに伴い発生する作業等に対して報酬上の評価をしているもの」

 神谷政幸参議院議員は参議院厚生労働委員会で、後発医薬品調剤体制加算に関連する質疑を行った。

 神谷氏はこれまでの後発医薬品使用促進には薬剤師の「地道な説明」や「丁寧な対応」が礎の1つになっており、単なる経済誘導としての対応ではなく、薬剤師と患者との信頼関係が基本となっていると指摘した。その上で後発医薬品調剤体制加算の役割が、使用促進から変化しているとの見解を示した。

 これに対し福岡資麿厚労大臣は、「後発薬の使用割合は80%を超えた現在においても、後発薬を希望した患者さんに提供できるよう、先発薬と後発薬の両方を取り扱わなければならないことに伴い発生する作業等に対して報酬上の評価をしているもの」と説明。「加えて近年、後発薬においては不安定な供給が課題となっており薬局では複数の卸へ問い合わせを行ったり、卸に在庫がない場合は近隣の薬局に対して融通を依頼するなど業務が追加的に生じている」とし、今後については、「薬局の負担なども踏まえ中医協で検討を進める」とした。

 後発薬調剤体制加算については使用促進という政策誘導の評価であるとの点に着目しその役割が終わったのではないかとの指摘も出ている中で、国会において、厚労相からその算定項目の意味づけが、「後発薬を希望した患者さんに提供できるよう、先発薬と後発薬の両方を取り扱わなければならない」ことに伴い発生する“作業等”に対して評価をしているものだとの見解が改めて示されたことの意義は大きいといえよう。

日薬岩月会長、後発薬体制加算“不要論”に「薬剤師が行っている業務の中身まで見ていただいている議論とは到底思えない」

 さらに、この質疑終了後にちょうど別途、開かれていた日本薬剤師会の定例会見の場で、記者からこの神谷議員の質疑に関しての受け止めを聞かれると、岩月進会長は、「薬剤師の仕事は見えづらいもの」だとし、国会の場で薬剤師の役割を伝えてもらう機会となったことは「役割としては大きい」との見方を示した。

 後発薬調剤体制加算そのものについては岩月会長は、長期品の選定療養の導入などの政策変化や後発医薬品の急激な使用割合上昇があったとしても「これからも後発医薬品は出てくる」「使用割合が仮に90%になっても我々は患者さんに応じては先発品も用意しておく必要がある」などと薬局薬剤師の役割は継続するとの見解を語った。
 
 他方、“費用を削りたい”ということから「いろいろな糸口が出てくる」として後発薬調剤体制加算“不要論”が出てきた経緯に触れ、「我々(薬剤師)が行っている業務の中身まで見ていただいているとは到底思えない」議論だとして牽制した。

 神谷議員も、患者から「味」の違いの訴えがあったことを自身の薬局業務の経験から紹介し、「それ以来、患者さんが10人いれば(患者さんが)注目することは10通りあると肝に銘じた」とし、患者の数だけ個別の対応が必要になることを実感したエピソードとして紹介した。

この記事のライター

関連するキーワード


後発医薬品体制加算

関連する投稿


【後発医薬品】薬局の加算“不算定”、じわり増加/日本保険薬局協会調べ

【後発医薬品】薬局の加算“不算定”、じわり増加/日本保険薬局協会調べ

【2022.08.12配信】日本保険薬局協会は8月10日、定例会見を開き、医療制度検討委員会による調剤報酬改定の影響調査を公表した。それによると、後発医薬品調剤体制加算の算定率が減少していた。改定前は「加算なし」は21.4%だったものが、改定後は27.3%となっていた。75%以上の加算区分がなくなったことの影響だが、供給不安定化の問題も無関係とはいえない。不算定薬局では今後、後発医薬品使用のインセンティブが働かなくなることも懸念される。一方、90%以上という新区分を算定する薬局も18.4%あった。


最新の投稿


【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中

【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中

【2025.08.08配信】日本薬剤師会が公表した「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト」。このうちの1つの事項である「地域の医薬品情報の把握・共有の取組」。この実践へ向けて情報共有のためのシステム選定の動きも活発化してきた。こうした中、メディカルシステムネットワーク(MSNW)では、もともと地域薬剤師会と共に開発を進めてきた「LINCLEちいき版」の提案を強化している。すでに10以上の都道府県薬剤師会への提案を進行中だという。


【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例

【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例

【2025.08.08配信】厚生労働省はこのほど、保険調剤「確認事項」(令和7年度改訂版)を公表した。2枚処方箋を受け付けることにより、投薬期間上限を超えるなどの不適切事例を指摘している。


【東京都薬務課_危険ドラッグ】オピオイド受容体に働く成分を新規指定/水際対策の一環

【東京都薬務課_危険ドラッグ】オピオイド受容体に働く成分を新規指定/水際対策の一環

【2025.07.30配信】東京都薬務課は7月30日、定例会見を開き、7月3日に危険ドラッグに指定した成分について説明した。指定した3成分はいずれも興奮、陶酔又は幻覚作用等を有する。すでに厚労省でも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する大臣指定薬物に指定され、令和7年7月13日をもって施行された。


【ドラッグストア協会】濫用防止薬に関わる業界販売ガイドライン、年内省令発出後の公表予定

【ドラッグストア協会】濫用防止薬に関わる業界販売ガイドライン、年内省令発出後の公表予定

【2025.07.29配信】日本チェーンドラッグストア協会は7月29日に定例会見を開き、改正薬機法で定める指定濫用防止医薬品の販売に関する業界ガイドラインに関して、年内をメドとする省令発出後に公表する見込みであることを説明した。


【ドラッグストア協会】参議院選挙結果報告/「本田顕子氏を本気で応援した」

【ドラッグストア協会】参議院選挙結果報告/「本田顕子氏を本気で応援した」

【2025.07.29配信】日本チェーンドラッグストア協会は7月29日に定例会見を開き、参議院選挙の結果報告をした。


ランキング


>>総合人気ランキング