福岡厚労相、後発薬体制加算「後発薬の使用割合は80%を超えた現在においても、後発薬を希望した患者さんに提供できるよう、先発薬と後発薬の両方を取り扱わなければならないことに伴い発生する作業等に対して報酬上の評価をしているもの」
神谷政幸参議院議員は参議院厚生労働委員会で、後発医薬品調剤体制加算に関連する質疑を行った。
神谷氏はこれまでの後発医薬品使用促進には薬剤師の「地道な説明」や「丁寧な対応」が礎の1つになっており、単なる経済誘導としての対応ではなく、薬剤師と患者との信頼関係が基本となっていると指摘した。その上で後発医薬品調剤体制加算の役割が、使用促進から変化しているとの見解を示した。
これに対し福岡資麿厚労大臣は、「後発薬の使用割合は80%を超えた現在においても、後発薬を希望した患者さんに提供できるよう、先発薬と後発薬の両方を取り扱わなければならないことに伴い発生する作業等に対して報酬上の評価をしているもの」と説明。「加えて近年、後発薬においては不安定な供給が課題となっており薬局では複数の卸へ問い合わせを行ったり、卸に在庫がない場合は近隣の薬局に対して融通を依頼するなど業務が追加的に生じている」とし、今後については、「薬局の負担なども踏まえ中医協で検討を進める」とした。
後発薬調剤体制加算については使用促進という政策誘導の評価であるとの点に着目しその役割が終わったのではないかとの指摘も出ている中で、国会において、厚労相からその算定項目の意味づけが、「後発薬を希望した患者さんに提供できるよう、先発薬と後発薬の両方を取り扱わなければならない」ことに伴い発生する“作業等”に対して評価をしているものだとの見解が改めて示されたことの意義は大きいといえよう。
日薬岩月会長、後発薬体制加算“不要論”に「薬剤師が行っている業務の中身まで見ていただいている議論とは到底思えない」
さらに、この質疑終了後にちょうど別途、開かれていた日本薬剤師会の定例会見の場で、記者からこの神谷議員の質疑に関しての受け止めを聞かれると、岩月進会長は、「薬剤師の仕事は見えづらいもの」だとし、国会の場で薬剤師の役割を伝えてもらう機会となったことは「役割としては大きい」との見方を示した。
後発薬調剤体制加算そのものについては岩月会長は、長期品の選定療養の導入などの政策変化や後発医薬品の急激な使用割合上昇があったとしても「これからも後発医薬品は出てくる」「使用割合が仮に90%になっても我々は患者さんに応じては先発品も用意しておく必要がある」などと薬局薬剤師の役割は継続するとの見解を語った。
他方、“費用を削りたい”ということから「いろいろな糸口が出てくる」として後発薬調剤体制加算“不要論”が出てきた経緯に触れ、「我々(薬剤師)が行っている業務の中身まで見ていただいているとは到底思えない」議論だとして牽制した。
神谷議員も、患者から「味」の違いの訴えがあったことを自身の薬局業務の経験から紹介し、「それ以来、患者さんが10人いれば(患者さんが)注目することは10通りあると肝に銘じた」とし、患者の数だけ個別の対応が必要になることを実感したエピソードとして紹介した。