日本保険薬局協会・首藤正一会長の「年頭所感」は以下の通り。
2023 年の新春を迎えるにあたり、一般社団法人日本保険薬局協会を代表して新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、一年を表す漢字が「戦」であったように、引き続き新型コロナウィルスの変異によって繰り返された感染の波、ロシアによるウクライナへの侵攻、参議院議員選挙期間中の前総理大臣銃撃事件という暗く悲しい出来事が続きました。しかし、年の締めくくりに、サッカーワールドカップにおいて日本が優勝実績のあるドイツ、スペインに勝利し、代表選手による世界レベルのプレーの数々に勇気をもらい、「三苫の 1 ミリ」から最後まで諦めず勝利を追求する志の学びを得ました。
福岡での日本薬局学会学術総会は、切望しておりましたリアルでの開催を三年ぶりに実施することができました。実際にはオンライン配信も合わせたハイブリッド形式にて開催し、会場にお越しの方 4,000 名、オンラインにてご聴講の方 3,300 名の合計7,300 名もの方にご参加いただき、厚生労働省をはじめとしました各界の皆様のご協力のおかげで盛会のうちに閉会することができました。
薬局の現場では、日々の業務に加え、新型コロナ抗原検査キットや内服薬の供給、ワクチン接種の各種相談、さらには医薬品の供給問題対応も重なり大変多忙な中、参加していただきました皆様にあらためて御礼申し上げます。
さて、当業界におきましては昨年の調剤報酬改定で、管理や指導等、薬局における薬剤師の業務ごとに報酬が細かく分類されたことなどに加え、リフィル処方箋の仕組みも新たに導入されました。当協会では「リフィル処方箋の手引き(薬局版)」を作成するなど、薬局が患者さまの状態確認、処方医への情報提供、受診勧奨等を適切に行えるよう、積極的に対応してまいりました。
また、コロナ禍により顕在化したデジタル化の遅れを取り戻すべく、医療界においてもマイナンバーをキーとして DX が進んでいくことでしょう。オンライン資格確認、保険証とマイナンバーカードの統合、そして電子処方箋の運用も始まります。導入には様々な困難もありますが、これらによってもたらされるメリットは計り知れません。行政や他業種とも緊密に連携を取りながらスムーズな導入と運用に向け、会を挙げて取り組んでまいります。
日本保険薬局協会は今年設立 20 年を迎えます。おかげさまで会員薬局数は全薬局の30%を超える規模の組織に成長いたしました。最近は、調査や研究の協力依頼を多くいただくようになり、経営者団体だからこそ得られる情報を適時収集・分析して会員のみならず各方面に提供しております。今後は、未来の薬局の在り方や役割も具現化して発信できるよう、研究活動と広報にも力を入れてまいります。
収まる兆しの見えないコロナ禍や医薬品の供給不足に対しましては、引き続き地域や他団体と連携して対策を講じてまいります。保険薬局が地域住民のニーズに寄り添ったサービスの提供を行い、その機能を強化することで日本の医療の発展に貢献できればと願っております。
本年も皆様の変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

【日本保険薬局協会・首藤正一会長/年頭所感】電子処方箋のスムーズな導入と運用に会を挙げて取り組む
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