「顔認証を利用した誤薬防止システム」を開発/ITベンダーの理経/介護施設のほか薬局にも展開予定

「顔認証を利用した誤薬防止システム」を開発/ITベンダーの理経/介護施設のほか薬局にも展開予定

【2022.10.18配信】株式会社理経(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 猪坂 哲氏)は、介護施設などにおいて利用者へ服薬を介助する際の本人確認として「顔認証を利用した誤薬防止システム」を開発した。


あらかじめタブレット端末で利用者の顔写真を撮影し、IDや名前などを紐づけて登録

 今回理経が開発した「顔認証を利用した誤薬防止システム」は、介護施設などで利用者が本人に処方された薬を正しく服薬できるよう介護職員がサポートを行う際、他者の薬と間違えてしまうといった重大な事故を防ぐため、顔認証を利用して薬と処方された本人を一致させるためのシステム。
 あらかじめタブレット端末で利用者の顔写真を撮影し、IDや名前などを紐づけて登録しする。服薬時に、分包された薬の袋に印字されたQRコードと、登録された顔写真を照合し、本人の薬であることを確認する。

 顔認証には硬貨や紙幣の認識・識別技術で定評のあるグローリー株式会社製のエンジンを使用し、高い精度での認証を実現。マスクをした場合や斜めからの認証なども可能。

認証イメージ

タカゾノと協業し、全国の薬局にもサービス展開方針

 また、与薬履歴(薬を与えた履歴)機能を搭載しているため、飲み忘れがないかなどを確認でき、ヒヤリハットを防ぐ。

 同システムの特長は以下の通り。
■与薬時の確認作業に機械チェックを追加
 これまで人の手によるダブルチェックで行っていた与薬時の確認作業(分包薬に記載された氏名および日時、与薬タイミングの目視確認)に、機械によるチェックを追加することができる。
■与薬履歴機能
 与薬の有無を可視化し、介護士と施設管理者が与薬履歴を確認できる。
■与薬忘れ防止機能
 与薬履歴と与薬のタイミングを紐づけることができるため、指定の日時に与薬が実施されていない場合、シグナルやメールで警告し与薬忘れを防止する。

 同社では、開発の背景として、昨今、介護施設での誤薬事故が社会的な問題になっていることを挙げる。介護士の人手不足により服薬介助時にダブルチェックの時間が割けないといったヒューマンエラーの原因を解消し、利用者の安全と介護士が安心して働ける環境づくりが必要とされているとする。
 また、2020年9月に施行された改正薬機法により服薬フォローアップが義務化され、薬剤の使用状況を「継続的かつ的確に把握」するという項目が追加された。同社では当システムを利用することで、投薬の状況を一元管理することが可能になるとしている。

 今後は散剤・錠剤分包機メーカーの株式会社タカゾノと協業し、全国の薬局および介護施設へサービス展開していく方針。

 出荷開始は2023年1月を予定。

 
 株式会社理経は、IT及びエレクトロニクス業界のソリューションベンダーとして1957年に設立。システムからネットワーク、VR/ARコンテンツ、電子材料・電子機器までさまざまなソリューションを提供している。「国内外の最先端技術や先進的な製品を活用したソリューションを提案し、お客様の業務の効率化、収益の改善などビジネスの発展に寄与します」と掲げている。
URL   :http://www.rikei.co.jp
※記載されている製品名、社名は、各社の商標または登録商標。

与薬履歴画面

この記事のライター

最新の投稿


【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。


【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【2024.07.24配信】日本薬剤師会は7月24日、都道府県会長協議会を開催した。


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


ランキング


>>総合人気ランキング