伊藤氏は「電子処方箋システムに係る電子署名」のスライドを提示。
「以下のいずれかを満たす必要」と記載されていた。
(a)HPKIカード(HPKIの監査基準を満たす認証局)
(b)民間の電子署名サービス(「適切な外部からの評価」を受けた事業者」)
(c)マイナンバーカードによる電子署名(公的個人認証法に基づき電子的な資格確認に対応した「公的個人認証サービス」による電子証明書が発行された場合)
伊藤氏は「最適な電子署名のあり方を選んでいただければ」と述べた。
上記3つの選択は、従来から示されてきたが、これまで厚労省は「現状は実際はHPKIだけである」との表現をしてきた。
しかし、同日の説明では選択の余地があるとの表現にニュアンスが変わっていた。
関係者によると、すでに民間の電子署名の基準を検討する検討会が立ち上がっているとし、来年1月の利用も可能にすることを目指しているという。
一方、(c)のマイナンバーによる電子署名については、来年1月の利用には間に合わない見込みで時間がかかりそうな見通しだ。
また、電子処方箋のモデル事業について、伊藤氏は、今後、取り組み状況を随時報告していく方針を表明。
「取り組みについて透明性を高くして、こんな感じでやっているだとか、課題、うまくやっているところなどを随時開示していこうと思っている。取り組みをご覧いただくことでまだ導入を迷っている方々が早期に導入をいただけることにつながれば」と話した。
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