会見前に開かれていた常任理事会で、HPKIの費用負担について議論になったという。
協会は厚労省や他団体と電子処方箋の運用開始に向けた意見交換会への対応を予定しているが、電子処方箋の普及に関しては全面的に協力していきたいとの考えを示した上で、協会会長の首藤正一氏は「電子処方箋の導入はわれわれ薬局においても大きなメリットがあることだ。これに関して、本当に必要なものは費用負担も含めて吸収していく覚悟はあるが、懸案となっている(資格認証の)HPKIカードについては、会として現実的に難しいのではないかとの懸念を持っている」と話した。
協会内には「処方箋発行側の医療機関ではHPKIは必要性があるかもしれないが、受入側の薬局では本当に必要なのか」との意見がある一方、「令和6年卒業の新卒薬剤師からマイナンバーカードと薬剤師資格の紐づけと行う方針が示されている中で、“つなぎ”としてのHPKIに費用負担をする必要があるのか」という声があるという。
協会の試算ではHPKI発行に必要な費用は6億円かかる見込みという。
加えて、年間運用費9億円と推計されるという。
基本的にHPKIについては協会として反対していく可能性があるという。
一方、電子処方箋システムとして薬局の費用は上限で66億円必要と推計されており、HPKIの費用がこれに上乗せされることへの懸念があるという。
加えて首藤会長は、「例えば“つなぎ”の間は資格認証ではなく、e-KYCなどの金融機関で用いられているような個人認証を活用していくことも一案だ」と話した。
また日本薬剤師会会員と、非会員でHPKIの費用に差があることについては、「そもそも差があることがおかしい」(首藤会長)と指摘した。
HPKI導入費用については医師は費用負担がないともいわれており、「HPKI以外の選択肢があってもいいのではないか」との考えがあるようだ。

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