短期成果指標のプログラム修了率は 98%(39人中38人)、生活習慣改善率は 82%(38人中32人)で、目標値を大きく上回った。中期成果指標の腎機能低下抑制者数(腎機能低下の進展を抑制できた患者数)は、評価対象者 31 人のうち 20 人(65%)だった。
中期成果の評価期間が 2020年4月から2022年3月で、COVID-19の感染拡大期間と重なったものの、介入の腎症重症化予防効果が確認された結果となったとしている。
腎機能低下抑制については e-GFR の 2 年間の変化をベースラインと比較し評価した。ベースラインは 2013 年〜2016 年度までの多摩市国民健康保険糖尿病重症化予防事業業務委託において抽出条件に該当し参加勧奨通知を送付した者で事業に参加しなかった者(非介入者)のうち e-GFR の 2 年間の変化を把握できる者における病期別平均を多摩市より提供を受けた。
2019 年度事業プログラム修了者39人のうち、2021年度健康診査においてe-GFRが確認できた
のは33人でありそのうち病期不明が2人だった。結果、31人を評価対象者としてベースラインとの比較評価を行った。
本事業は厚生労働省「2019年度保健福祉分野における民間活力を活用した社会的事業の開発・普及のための環境整備事業」に採択・実施され、短期成果指標(1年)と中期成果指標(3年)を設定して実施した。短期成果指標の評価は厚生労働省の整備事業として多摩市コンソーシアムが実施し、中期成果指標の評価は多摩市の独自事業として実施。
短期成果指標は①プログラム修了率、②生活習慣改善率を設定し、中期成果指標は③腎機能低下抑制者数を設定。評価にあたっては、それぞれ第三者評価機関が評価を行い、その評価結果に応じた委託料の支払いを多摩市が行った。
マディアは、「マディア設立以来、チャレンジしてきた薬局を使った多職種連携の糖尿病性腎症重症化予防事業について、多摩市にて、腎症の重症化予防効果が確認できました。本事業は、内閣府が推進している官民連携の成果報酬型契約で行い、多摩市は、成果が出たものについて報酬を支払う方です。我々民間事業者も、成果を出すために創意工夫をでき、自治体も、新たなことにリスクがすくなくチャレンジできる形といわれています」とコメントしている。
事業の正式名称は、糖尿病患者の重症化予防を目的とした地域の多職種連携による患者自己管理支
援プログラム(通称:薬局モデル)。

【糖尿病腎症重症化予防】薬局の支援で予防効果/東京都多摩市での事業/マディア
【2022.05.20配信】株式会社マディアは、東京都多摩市が2019年度に導入した糖尿病腎症重症化予防事業の「PFS事業」が2022年3月に完了したとして、結果を公表した。医師と連携して、医師の指示の実践に対して薬局薬剤師が生活上の困難に相談に乗ったり行動目標を立案するなど動機付けを支援することによる予防効果が確認できたという。
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