磯部氏は地域フォーミュラリの推進について、「地域連携のために必要だから(薬剤師が)やらなくてはいけないと思い、それを応援してほしいというふうにもっていかないと、なかなか現場で進んでいかないのではないか」との考えを示した。
「地域に患者を戻していく中で、地域でどう薬剤を使っていくのかという視点で進め、地域連携パスの一部として使用医薬品の情報共有をすることはできるのではないか」と話した。
地域の医師と薬剤師の両方が参加する勉強会の必要性も指摘した。「地域の医師が勉強会を行っているという話があったが、そこに薬剤師も参加し医師と薬剤師両方が同じ情報を共有して、地域連携の必要な疾患から有効で安全かつ効率的な薬物療法を一緒になって勉強することで地域でしっかりした医療が提供できるのではないか」とした。「その中で浮かび上がってくる標準的な薬物療法の課題の一つ一つを解決していくことが必要ではないか」と提案した。
地域連携薬局にも触れ、「薬剤師の業務としてDIがあり、地域連携薬局では医療関係者へのDI提供業務も基準の一つになっている。薬剤師会にもDI機能があると思うが、地域連携薬局にも地域のDI機能を担ってほしい」とした。
勉強会の開催にあっては「みんなが集まり、どういう資料でどういう議論をしたらよいかという材料を集めたりする必要がある。それにはコストがかかる。そのコストぐらいは支援する必要がある。それが診療報酬がいいのか、公費はいいのかはいろいろ議論があると思うが、地域でそういうことをやっていこうということを行政なり地域なりが応援している、大切な仕事だということの理解をしてもらう必要があるのではないか」と指摘した。
コロナワクチン接種準備に向けた研修会の事例も挙げ、「裏方の地味な作業を地域の薬局が手を挙げて行動した。そういう良いことをやっているので、そうであればもっと応援していくようなことを考えていきたい」と話した。
一方、院内フォーミュラリについては、「院内の薬剤マネジメントをするかという話。方法論としては着実に進んでいくのではないか」との見方を示した。

日本薬剤師会・磯部専務理事「地域連携薬局がフォーミュラリの勉強会を推進するのも一案」
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