コラム【スギHDワクチン“便宜”報道から一夜明けて】今回の騒動が残したもの

コラム【スギHDワクチン“便宜”報道から一夜明けて】今回の騒動が残したもの

【2021.05.12配信】愛知西尾市のワクチン接種予約で副市長がスギホールディングス会長夫妻に便宜を図ったとの報道から一夜明けた。今回の騒動は、当該社だけでなく、ドラッグストア・薬局業界に大きな教訓を残したといえる。コロナ禍でヘルスケア産業に向けられる社会の関心度はかつてないほどに高まっており、この中で、コンプライアンスや内部統制、社会情勢へのバランス感覚をこれまで以上に醸成していくことが急務だ。


急速な成長の一方で管理部門の成熟が追いついていない実情を産業全体が真摯に受け止め行動を

 報道は中日新聞と、連携している東京新聞が初めに報道した。5月10日の市への取材を経て、11日朝に報道した。

 その後、11日に市が謝罪会見をしたことから、一般紙各紙が報道、N H Kニュースでも報道された。コロナワクチンに関連して連日会見を行っている加藤勝信官房長官も会見の中で遺憾とするコメントを発するなど、時間を追うごとに波紋は大きくなった。

 11日夜になって、スギホールディングスは経緯とともに謝罪文を公表した。会長夫妻を慮った秘書の使命感が背景にあると説明し、「このような事態を引き起こしましたことを深く反省し、頂戴いたしました、多くのご意見・ご指摘を真摯に受け止め、今後このようなことがなきよう努めてまいります」とした。

 コンプライアンス違反であり、一早いコロナワクチン接種を望む人が思うように受けられていない情勢を考えれば、著しく社会的な感覚を逸脱した行為だったことは否定できない。

 一方で、こうしたことを起こしてしまうリスクは、当該社だけでなく多くのドラッグストア企業・薬局企業に秘められているのではないか。

 コロナ禍でヘルスケア産業に向けられている社会の関心度はかつてないほどに高まっているからだ。一つ一つの社員の行動が、社会的にどのような意味を持つのか、今一度、慎重に検証することが求められる。

 メディアの立場からすると、広報をはじめ、素晴らしい管理部門を持つ企業もあるが、製薬企業などに比較すると、相対的にドラッグストア企業・薬局企業の管理部門の脆弱さを感じることは少なくない。ドラッグストア企業や薬局企業が、急速に成長した産業であることの一つの影ともいえる。

 コロナ禍でも営業を継続し、地域社会に大きな貢献を果たしてきた、そして、今この時間も貢献を続けている産業だからこそ、早急にコンプライアンスに関わる社員の外部研修をより充実させ、もう一段、成熟した産業へと発展することを願いたい。今回の騒動を対岸の火事と捉えることなく、産業全体が危機意識を高め、より信頼される産業へと発展する教訓とするべきではないだろうか。

この記事のライター

関連する投稿


【スギ薬局】トライアルとリテールメディアを研究する組織立ち上げ

【スギ薬局】トライアルとリテールメディアを研究する組織立ち上げ

【2026.09.30配信】スギホールディングス株式会社(本社:愛知県大府市、代表取締役社長:杉浦 克典氏)の事業会社である株式会社スギ薬局は、株式会社トライアルホールディングス(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:永田 洋幸氏)とともに、小売企業横断のリテールメディアネットワークの構築研究する「TOKYO Retail Media Federation(東京リテールメディア研究会)」を発足した。


【スギ薬局】トライアルの店舗内に調剤薬局オープン/福岡県で

【スギ薬局】トライアルの店舗内に調剤薬局オープン/福岡県で

【2026.08.31配信】スギホールディングスは8月28日、EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)を掲げ食品や日用品を販売するトライアルの店舗内に調剤薬局をオープンすると公表した。福岡県内の2店舗。


【スギ薬局】認知症の“未病”の見える化事業/神奈川県等と基本合意

【スギ薬局】認知症の“未病”の見える化事業/神奈川県等と基本合意

【2026.08.12配信】スギホールディングス連結子会社の株式会社スギ薬局(本社:愛知県大府市、代表取締役社長:杉浦 克典氏)は8月12日、ノックオンザドア株式会社とともに、神奈川県と「認知症未病改善データプラットフォーム等に関する基本合意」を締結した。


【スギHD】セキ薬品の株式の取得/持分法適用会社化

【スギHD】セキ薬品の株式の取得/持分法適用会社化

【2025.08.19配信】スギホールディングス株式会社は8月19日、埼玉県を中心に調剤併設型ドラッグストアを展開する株式会社セキ薬品の株式(3万7929株、持株比率 34.8%)を取得し、持分法適用会社とすることについて決定し、同日、株式譲渡契約を締結したと公表した。


【スギHD】調剤過誤訴訟で和解

【スギHD】調剤過誤訴訟で和解

【2024.11.23配信】スギホールディングスは11月22日、同社子会社のスギ薬局における調剤過誤訴訟で和解が成立したと公表した。


最新の投稿


【厚労省】10月29日に安全対策部会を開催/ロキソニンのリスク区分議論

【厚労省】10月29日に安全対策部会を開催/ロキソニンのリスク区分議論

【2026.10.22配信】厚生労働省は10月29日、薬事審議会「医薬品等安全対策部会」を開き、ロキソニンのリスク区分について議論する。


【神奈川県薬】ルーキーメンバー交流会を開催/学会発表のリアルを知る★若手薬剤師向け情報★

【神奈川県薬】ルーキーメンバー交流会を開催/学会発表のリアルを知る★若手薬剤師向け情報★

【2026.10.22配信】神奈川県薬剤師会は、薬学生や薬剤師3年目までの方を対象に「ルーキーメンバー交流会」を年に1回開催している。今年度は11月8日に開催。若手が企画まで関わり、今回は学会のポスター発表を経験した先輩薬剤師から発表の「リアル」を学べる内容になっている。


【令和9年度介護報酬改定】日本薬剤師会・山田常務「管理内容」の考慮を/住まいの形態による一律的な取り扱いに慎重姿勢

【令和9年度介護報酬改定】日本薬剤師会・山田常務「管理内容」の考慮を/住まいの形態による一律的な取り扱いに慎重姿勢

【2026.10.21配信】令和9年度介護報酬改定における薬剤師による居宅療養管理指導に関しては、「住まいの形態に合わせたサービス提供に係る報酬の在り方」が論点に挙がっている。この論点に関して日本薬剤師会・常務理事の山田武志氏は「住まいの形態」による「一律的」な取り扱いをするのではなく、「必要な薬学管理の内容」などを考慮することを求めた。


【厚労省_安川医薬安全対策課長】RMP活用経験のない薬局「35.0%」に違和感/R8改定で調剤管理料の要件

【厚労省_安川医薬安全対策課長】RMP活用経験のない薬局「35.0%」に違和感/R8改定で調剤管理料の要件

【2026.10.19配信】厚生労働省 医薬局 医薬安全対策課長の安川孝志氏は、RMP(医薬品リスク管理計画)を活用したことのない薬局が35.0%あるなどの調査結果に対し、活用が調剤報酬上「調剤管理料」の算定要件にもなっていることを踏まえ、疑問を呈した。10月17・18日に開かれた日本薬局学会「学術総会」シンポジウム10、「活用できていますか?最新の医薬品安全性情報 ~これからは『知っている情報』から『使う情報』へ。現況の壁を突破しよう~」で講演したもの。


【パブコメ開始】処方箋なしでの医療用医薬品の販売について

【パブコメ開始】処方箋なしでの医療用医薬品の販売について

【2026.10.16配信】厚生労働省は10月16日、改正薬機法のうち、処方箋なしでの医療用医薬品の販売などの省令案についてパブコメを開始した。


ランキング


>>総合人気ランキング