【バイオシミラー】健康保険組合による“モデル事業コンソーシアム”設立/次なる医療費適正化の注目カテゴリーで知見共有進める

【バイオシミラー】健康保険組合による“モデル事業コンソーシアム”設立/次なる医療費適正化の注目カテゴリーで知見共有進める

【2024.11.07配信】このほど、複数の健康保険組合による“モデル事業コンソーシアム”が設立された。ヘルスケア領域のコンサルティング事業を展開するホワイトヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:池本 多賀正氏)が事務局を務める。バイオシミラーに関する知見共有やデータ分析の進展が期待される。すでに倉敷中央病院(岡山県倉敷市)の薬剤部を訪問、同薬剤部で行う医療費適正化の取組みに関する情報共有会を実施するなどの活動を開始しているという。現在、7つの健康保険組合が参画しており、加入者数の合計は約80万人にのぼる。


倉敷中央病院薬剤部を訪問、レセプトデータの分析、厚生労働省医政局による勉強会

 バイオシミラーに関しては、厚生労働省が第4期医療費適正化計画において普及促進を重要テーマの一つとして位置づけ、「令和11年度までに数量ベースで80%以上置き換わった成分数が全体の成分数の60%以上に到達する」といった目標を設定。市場拡大するバイオ医薬品の薬剤費を抑制する手段として、バイオシミラーが注目されている。

 今回設立された複数の健康保険組合による「バイオシミラー普及のモデル事業コンソーシアム」(以下、コンソーシアム)は、事務局をヘルスケア領域のコンサルティング事業を展開するホワイトヘルスケア株式会社が担当。2024年8月には倉敷中央病院(岡山県倉敷市)の薬剤部を訪問し、情報共有会を開催するなど、具体的な取り組みも始まっている。

 企業の健康保険組合は、加入者の健康向上と医療費適正化を目的に、これまで特定健診、特定保健指導、がん検診といった保健事業に取り組んできている。医薬品に関連する事業としても、ジェネリック医薬品の差額通知の発送といった事業に取り組んできたものの、ジェネリックの切替比率の上昇は頭打ちとなっており、新たな取り組みが求められていた。

 2024年9月末に発出された「後発医薬品の使用に係るロードマップ」 のバイオシミラー普及のための取組施策の中でも、「保険者インセンティブ制度において、保険者によるバイオ後続品の普及啓発に係る指標の追加を検討」という記載も追加となっていることから、企業の健康保険組合にとっても、バイオシミラーの普及啓発に関する事業の検討が進んでいる。
 一方で、単独の健康保険組合では、対象となる患者数の規模が小さいことや、バイオ医薬品に関する知見の集約といった観点からも事業実施が難しいという課題があった。

 このような状況を踏まえ、今般、複数の健康保険組合が集い、「健康保険組合によるバイオシミラー普及のモデル事業コンソーシアム」を設立し、複数の組合で健康保険組合が結集して、バイオシミラーに関する知見共有や取り組みの検討を進めることになったという。

 

 同コンソーシアムでは、バイオシミラーが使用される疾患や使用ケース、バイオ医薬品にまつわる政策等の勉強会実施に加え、医療機関における普及の実態理解のため、2024年8月に倉敷中央病院(岡山県倉敷市)の薬剤部を訪問し、同薬剤部で行う医療費適正化の取組みに関する情報共有会を実施した。

 また、コンソーシアムに参加する健康保険組合の約80万人のデータを用いて、バイオ医薬品・バイオシミラーの使用状況や、バイオシミラーへの切替による医療費適正化効果の試算といった分析を行い、現状把握と普及に向けた課題について整理を行っている。

 さらに、厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課にも協力を仰ぎ、勉強会における登壇やレセプトデータ分析結果に関する講評、厚生労働省によるバイオシミラー普及に向けた政策の説明等も実施した。

患者向けの普及啓発、医療機関へのヒアリングなども展開予定

 同コンソーシアムでは、今後、バイオ医薬品の使用が大きく拡大し、薬剤費高騰の抑制のためにバイオシミラーの普及が一層重要になっていくことを踏まえて、取り組みの拡大を検討していく方針。
 保険者としてできる役割を検討しながら、患者に向けた普及啓発活動、およびバイオ医薬品を使用する医療機関へのヒアリングなども実施していく予定としている。

 なお、コンソーシアムの参画健康保険組合は以下の通り(50音順)
•倉敷中央病院健康保険組合
•計機健康保険組合
•東京電子機械工業健康保険組合
•日立健康保険組合
•肥後銀行健康保険組合
•丸井健康保険組合 
•三菱重工健康保険組合
(合計加入者数 約80万人)

■倉敷中央病院について
https://www.kchnet.or.jp/
 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院は、岡山県倉敷市にある公益法人の病院。病床数1,172床の西日本において随一の規模を誇る急性期病院。約100名の薬剤部においては、バイオシミラーの普及促進を含めた医療費適正化、薬剤の適正使用に向けた先進的な取り組みを数多く実施。

■ホワイトヘルスケア株式会社について
https://whitehealthcare.co.jp/
 ホワイトヘルスケア株式会社は、「医療費適正化と患者の医療への参画」をミッションに2020年に設立した医療領域におけるベンチャー企業。健康保険組合をはじめとする保険者に対して、医療費適正化に繋がるデータ分析、施策をご提案、企画から実行までサポートしている。

会社名 : ホワイトヘルスケア株式会社(英文名Whitehealthcare Inc.)
代表者 : 代表取締役社長 池本 多賀正
設立  : 2020年7月
所在地 : 東京都中央区日本橋大伝馬町17番5号 グランド日本橋小伝馬町 2F

【本件に関するお問い合わせ先】
ホワイトヘルスケア株式会社 バイオシミラー担当
https://whitehealthcare.co.jp/contact/

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