【厚労省】国際保健ビジョン公表/医薬品の安定供給確保戦略も

【厚労省】国際保健ビジョン公表/医薬品の安定供給確保戦略も

【2024.08.26配信】厚生労働省は8月26日、厚生労働省国際保健ビジョンを公表した。医薬品の安定供給確保戦略も記載した。


平時から国内製造原薬が抗菌薬製造に継続的に用いられる環境整備へ、支援措置を検討/海外原薬と国内製原薬の価格差動向勘案など

 医薬品の安定供給に関しては、「経済安全保障としての医薬品の安定供給確保戦略」として項目を設けた。

 趣旨として、2019 年3月、原薬等の中国への依存度が高い抗菌薬であるセファゾリンが中国での製造上のトラブル等に起因して長期にわたり供給が滞り、国内での医療の円滑な提供に深刻な影響を及ぼす事案が発生したことを説明。こうした背景も踏まえ、2022 年5月に成立した「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」においては安定確保医薬品のうち抗菌性物質製剤が同法の特定重要物資に指定されているが、他の医薬品に係る原薬供給源の多様化等の推進の取組とともに、海外からの原薬の供給が途絶した場合であっても医療現場に切れ目なく製品を供給する体制を整備するとした。

 内容については、特定重要物資である抗菌薬について、国産の原薬は海外産の原薬よりも高価となるため、製造販売事業者にとっては従来よりも採算性が低下することが想定され、2022 年度第2次補正予算において抗菌薬原薬国産化事業として553 億円を計上して製造設備等構築にかかる費用の一部を負担することとした経緯に触れた。

 また、平時から国内製造された原薬が抗菌薬の製造に継続的に用いられる環境整備が必要であり、海外原薬と国内製造された原薬の価格差の動向、支援措置の費用の在り方、支援措置の実行可能性など様々な論点を総合的に勘案しながら、支援措置について検討していくとした。
 特定重要物資以外の医薬品については、「医薬品安定供給支援事業」により原薬の供給源の多様化、社内・流通在庫の確保など備蓄の推進を図ってきており、今後更にこうした取組について推進していく方針を示した。

 開始時期、設置場所等については、特定重要物資である抗菌薬について、国内製造の原薬が継続的に用いられる環境整備のための枠組みや一定の国内流通量を確保する方策について検討し、2024 年度中に結論を得るとした。

この記事のライター

関連するキーワード


国際保健ビジョン

最新の投稿


【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【2025.10.31配信】石川県薬剤師会は10月31日、モバイルファーマシーお披露目式を開催した。


【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日に定例会見を開き、令和7年11月24日(月曜日・祝日)13時30分から15時45分まで、令和7年度「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」を開催することを説明した。今年は2年に一度の厚労省との共催年で、広い層に関心を持ってもらうため、多彩なタレントを招聘している。


【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日、定例会見を開き、試買検査によって11物品から危険ドラッグを検出したことを説明した。9月29日に公表済み。前回公表の昨年11月の検査結果では2物品からの検出であり、薬務課では「11物品からの検出は多く驚いている」としている。今回の結果を受け、今後の試買を適切に行っていく方針。


【敷地内薬局】日医委員、診療所除外規定「削除も含めて検討すべき」/中医協

【敷地内薬局】日医委員、診療所除外規定「削除も含めて検討すべき」/中医協

【2025.10.24配信】厚生労働省は10月24日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「敷地内薬局」を個別事項として議論した。敷地内薬局を巡っては、令和2年度診療報酬改定において従来から存在する医療モールへの配慮として、「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」で除外規定が設けられていた。しかし昨今、特別な関係のある病院の敷地内にある保険薬局の同一建物に、別途診療所を誘致することで、ただし書きにより、特別調剤基本料Aの対象となることを回避する薬局事例などが問題になっていた。この問題に関連し、日本医師会委員は「ただし書きの削除も含めて検討すべき」と述べた。


【敷地内薬局】日薬「グループ減算含め検討を」/中医協

【敷地内薬局】日薬「グループ減算含め検討を」/中医協

【2025.10.24配信】厚生労働省は10月24日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「敷地内薬局」を個別事項として議論した。この中で日本薬剤師会(日薬)副会長の森昌平氏は前回改定で答申書付帯意見に落ち着いた敷地内薬局の“グループ減算”について、「敷地内薬局問題の改善が見えないのであればこのグループ減算も含め、あらゆる措置を引き続き検討していく必要があると考える」と述べた。


ランキング


>>総合人気ランキング