平時から国内製造原薬が抗菌薬製造に継続的に用いられる環境整備へ、支援措置を検討/海外原薬と国内製原薬の価格差動向勘案など
医薬品の安定供給に関しては、「経済安全保障としての医薬品の安定供給確保戦略」として項目を設けた。
趣旨として、2019 年3月、原薬等の中国への依存度が高い抗菌薬であるセファゾリンが中国での製造上のトラブル等に起因して長期にわたり供給が滞り、国内での医療の円滑な提供に深刻な影響を及ぼす事案が発生したことを説明。こうした背景も踏まえ、2022 年5月に成立した「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」においては安定確保医薬品のうち抗菌性物質製剤が同法の特定重要物資に指定されているが、他の医薬品に係る原薬供給源の多様化等の推進の取組とともに、海外からの原薬の供給が途絶した場合であっても医療現場に切れ目なく製品を供給する体制を整備するとした。
内容については、特定重要物資である抗菌薬について、国産の原薬は海外産の原薬よりも高価となるため、製造販売事業者にとっては従来よりも採算性が低下することが想定され、2022 年度第2次補正予算において抗菌薬原薬国産化事業として553 億円を計上して製造設備等構築にかかる費用の一部を負担することとした経緯に触れた。
また、平時から国内製造された原薬が抗菌薬の製造に継続的に用いられる環境整備が必要であり、海外原薬と国内製造された原薬の価格差の動向、支援措置の費用の在り方、支援措置の実行可能性など様々な論点を総合的に勘案しながら、支援措置について検討していくとした。
特定重要物資以外の医薬品については、「医薬品安定供給支援事業」により原薬の供給源の多様化、社内・流通在庫の確保など備蓄の推進を図ってきており、今後更にこうした取組について推進していく方針を示した。
開始時期、設置場所等については、特定重要物資である抗菌薬について、国内製造の原薬が継続的に用いられる環境整備のための枠組みや一定の国内流通量を確保する方策について検討し、2024 年度中に結論を得るとした。