コロナ禍で業績が悪化、返済資金の捻出困難に
東京商工リサーチによると、負債は寛一商店が約52億円で、9社合計約111億6000万円。
同社グループは、「なぎさ薬局」の屋号で調剤薬局を経営していた。大垣市民病院前での開業を皮切りに、宇治市や京都市北区などに出店。開業直後から出店攻勢を強め、京都市内を中心に東京都や埼玉県、岐阜県、愛知県、宮崎県などに直営店を展開し、2018年10月期には売上高約34億3000万円を計上していた。
さらに、2018年8月以降は2年間で7社の調剤薬局をM&Aにより子会社化し、北海道や青森県、新潟県などを中心に、傘下とする調剤薬局は全国約60カ所まで急増。これらの企業買収・店舗譲受によって、業容は拡大基調をたどっていた。
しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大後は、外出機運の低下の影響を受け、業績が悪化。事業拡大のために金融機関から調達していた多額の借入金の返済資金を捻出することができなくなるなど、資金繰りが限界に達したことから、今回の措置となったという。
なお、速やかにスポンサーを選定する意向であり、事業継続のため、東京地裁より許可を得て三菱UFJ銀行との間でDIPファイナンス(極度額10億円)を受ける予定と発表している。
寛一商店株式会社の住所は京都市中京区一之船入町537-20。設立は2012(平成24)年11月、資本金2000万円)。
なお、同様の措置となった関連会社は以下の8社。
・アサヒ調剤薬局(株)(TSR企業コード:060051876、法人番号:5440001000066、北海道函館市松陰町24-1、設立1981(昭和56)年3月、資本金1000万円、負債総額約29億円)
・(有)ハヤシデラ(TSR企業コード:652054579、法人番号:3160002010004、滋賀県東近江市八日市緑町13-14、設立2001(平成13)年1月、資本金300万円、負債総額約7億円)
・(有)共生商会(TSR企業コード:182045595、法人番号:6420002000917、青森市大字安田近野1-329、設立1981(昭和56)年10月、資本金300万円、負債総額約2億1000万円)
・(株)ハーベリィ科学研究所(TSR企業コード:060102004、法人番号:2440001001785、北海道函館市桔梗1-2-9、設立1996(平成8)年3月、資本金1000万円、負債総額約8億5000万円)
・(株)ソフトリー(TSR企業コード:203131444、法人番号:2110001023929、新潟県長岡市曲新町687-4、設立1995(平成7)年3月、資本金1000万円、負債総額約6億2000万円)
・(有)ライフプランニング(TSR企業コード:203183240、法人番号:7110002007083、新潟市中央区関屋田町1-117-1、設立1996(平成8)年10月、資本金300万円、負債総額約4億円)
・新潟医薬(株)(TSR企業コード:200148125、法人番号:8110001003702、同所、設立1970(昭和45)年9月、資本金1000万円、負債総額約1億6000万円)
・(有)さくら調剤薬局(TSR企業コード:203077970、法人番号:4110002002780、新潟市東区粟山3-1-8、設立1994(平成6)年2月、資本金300万円、負債総額約1億2000万円)
寛一商店サイド「可及的速やかにスポンサーを選定」
寛一商店サイドも「更生手続開始の申立てに関するお知らせ」をホームページに掲載。
今後は、当社らの経営陣に代わり、保全管理人が事業の経営並びに財産の管理及び処分を行うこととなるとしている。
会社更生手続は、会社の清算を目的とする破産手続とは異なり、事業を継続しながら会社を再建させる手続であり、同社らは、これ以降も従前同様の営業を継続していく。
事業継続をするための資金繰りの手当として、東京地方裁判所の許可を得て、当職と株式会社三菱 UFJ 銀行様との間で当座貸越契約を締結(極度額 10億円)したことも説明。当該契約に基づき事業運営上必要な範囲で新規のご融資(いわゆる DIP ファイナンス)を受けられる予定とした。
また、「可及的速やかにスポンサーを選定する方針の下、速やかにその選定手続を開始して参る所存」としている。