【神谷政幸議員】参議員厚生労働委員会で質疑/健康食品問題で薬局薬剤師の相談機能を紹介

【神谷政幸議員】参議員厚生労働委員会で質疑/健康食品問題で薬局薬剤師の相談機能を紹介

【2024.04.05配信】神谷政幸議員は4月4日、参議院厚生労働委員会で質問に立った。紅麹を含む健康食品問題のほか、などの質問を行った。


紅麹を含む健康食品問題:相談窓口としてアクセスしやすい薬局の活用も1つの手段として提案

 神谷政幸議員の質疑は以下の通り。

 神谷氏:自由民主党の神谷政幸です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。前回の厚生労働委員会におきましても数多く質問がありましたが、私からも小林製薬の紅麹を原料とする製品による健康被害問題に関連して質問を始めたいと思います。
 まずは健康食品による健康被害拡大防止における「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」の実効性確保について伺います。
 現在、当該サプリメントに関連した死亡事例が報告されているところです。かつて健康食品関連の健康被害では、2002年に中国製ダイエット健康食品として販売されていたお茶から、N-ニトロソ-フェンフルラミンが高濃度で含まれていたことで死者が発生した事例がありました。N-ニトロソ-フェンフルラミン自体は中枢神経に作用し食欲抑制作用を示す薬物として海外で承認されている成分です。こちらの成分はフェネチルアミンの骨格を有しており、この構造は覚せい剤であるアンフェタミンと類似していることから、作用機序が理解できるところであります。中枢神経を興奮させ満腹中枢を刺激することによって、食欲が抑制されるというふうに言われております。このフェンフルラミンにニトロソ基がついたN-ニトロソフェンフルラミンが中国製ダイエット健康食品に高濃度に含まれていました。それにより平成18年7月の時点で肝障害などの健康被害を796名が起こし、4名が死亡に至っています。
 これが契機となり「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」が作成されたと認識をしています。今回、小林製薬の紅麹を原料とする製品によると思われる健康被害が多数報告されています。このような事例を教訓として、健康食品による健康被害拡大防止につながる体制をしっかりと構築していくことが大切と考えます。
 そこで、健康食品を使用していて体調に異変を感じた際は購入先として多いであろう薬局等へ相談がされて、医療機関へ受診勧奨がなされ、保健所と医療機関等の連携がされるといった専門家の知見が充分に生かされる対応要領の実効性が重要と考えますが、厚生労働省はどのようにお考えでしょうか。

 厚生労働省大坪衛生局長:お答え申し上げます。今回の事案に関わらず、先生ご指摘の「要領」の中で、日本医師会および日本薬剤師会に対しまして、いわゆる健康食品等との関連が疑われた場合には管轄の保健所へ提供していただくこと、また管轄保健所による調査に対して協力をしていただくこと、これを依頼をしております。引き続き薬局や医療機関の皆様方にもご協力をいただき、健康被害の発生や拡大の防止に努めてまいりたいと考えております。

 神谷氏:ご回答ありがとうございます。健康被害の拡大防止をするためには、関連が疑われた際に幅広く情報を拾い上げ、一早く共有されることが重要と考えます。そのためにはやはり、医師会、歯科医師会、薬剤師会といった関連する専門職がしっかりと連携をして情報共有をしていくことも非常に効果的だと思います。引き続き関係各所の連携強化と健康リテラシーの向上という観点から、連携そして消費者の意識が向上するような取り組みも併せて進めていただくようお願いしたいと思います。
 また、健康食品で健康被害が疑われた際、消費者は事業者へ問い合わせをすることが多いようにも感じています。今回、当該企業の健康相談受付センターに電話がつながらなかったと不安を感じていた方が薬局で薬剤師に相談をして安心感を得たケースもあるというふうに聞いております。アクセスしやすい薬局の活用も1つの手段としてご提案させていただきます。
 続いて厚生労働省と国立医薬品食品衛生研究所及び消費者庁の連携について伺います。この度の小林製薬の紅麹を原料とする製品がこれだけの騒ぎになった要因の1つに、発表時に原因が不明であったという不安感があり、まずは原因究明が重要と考えます。そのような中で、小林製薬から当該サプリメントから「プベルル酸」を同定したと発表がありました。「プベルル酸」は医学分野の代表的な文献情報データベースであるPubMedにおいても文献が6本しかない情報が少ない物質であります。現在、厚生労働省が所管する我が国で最も古い国立試験研究機関である国立医薬品食品衛生研究所によって確認が進められています。それを踏まえて、このような食品に関連する健康被害が発生した際に原因究明と再発防止に向けて厚生労働省と国立医薬品食品衛生研究所及び消費者庁の連携が重要と考えますが今後、どのように取り組んでいくのか厚労省のお考えをお聞かせください。

 大坪衛生局長:お答え申し上げます。今般の紅麹関連製品への対応におきましては現在、国立医薬品食品衛生研究所の専門家の先生方のご協力を得ながら、国が主体となって原因物質の特定分析、これらを進めているところでございます。また先生ご指摘の消費者庁などの関係省庁との一体的な対応、これにつきましては、関係閣僚会合及び関係省庁連絡会議、これらを設置開催をしており、また紅麹使用製品の対策、省庁間、関係省庁との連絡室これも設置をして既に情報共有等を行っているところでございます。また厚生労働省と消費者庁合同でコールセンターを設置するなど、関係省庁との連携を強めて対応を行っているところであります。引き続き先生ご指摘のように国立医薬品食品衛生研究所や消費者庁をはじめ関係機関と密に連携をして対応してまいりたいと考えております。

 神谷氏:ありがとうございます。国立医薬品食品衛生研究所と消費者庁、連携を取って今回の問題に対応していくというお話がありました。国が主体としても、しっかり力を発揮していく必要があると思いますので、ぜひ連携を深めていただきたいというふうに思います。
 また食品衛生基準課はこの4月から厚労省から消費者庁へと移管されています。今後同じようなことはもちろん起こってはいけないんですが、万が一、起こった際に今後も消費者庁と協力をして、また国立医薬品食品衛生研究所の有する知見とその機能が充分に活用されるようにしっかりとした連携をお願いしたいと思います。

機能性表示食品は5年間で3倍超の一方で、特保は横ばい/「規制緩和はその分野の様相を大きく変える」「国民の健康に関わる制度の規制緩和を進める際には、安全性の確保策をしっかりと考えるべきではないか」

 神谷氏:続きまして食品分野の規制緩和に係る厚生労働省としての安全性の担保について伺います。
 現在、小林製薬の紅麹を原料とする製品によると思われる健康被害の原因究明がされているということがこれまでのご答弁の中でもありました。口から体内に入り摂取されるものが、場合によっては生命・健康に大きな影響を与えるということが今回、多くの国民に再度認識をされたところではないかと思います。
 小林製薬の回収命令対象となった3製品はいずれも機能性表示食品であります。機能性表示食品は規制緩和による経済成長の1つとして誕生した経緯があります。同じいわゆる健康食品に含まれるものとして、それ以前より特定保健用食品がありますが、こちらは国による有効性と安全性の審査が必要です。その特定保健用食品の許可件数は近年、5年間でほぼ横ばいという状況であります。他方、そのような審査を必要とせず事業者の責任で届け出るという簡便さもあり、機能性表示食品の申請数は同期間で約3倍以上に増えています。
 規制緩和をすることでその分野の様相が大幅に変化していくということが、このことから分かります。
 今回の健康被害と規制緩和の因果関係は現時点では不明でありますが、今般の問題が与えている社会的な影響が大きいことは確かです。それを踏まえて、国民の健康に関わる制度の規制緩和を進める際には、安全性の確保策をしっかりと考えるべきではないかと考えますが、厚生労働大臣のお考えを教えてください。

 武見厚労大臣:厚生労働省が所管をいたします食品衛生法、これは食品の安全性確保のために必要な規制等を講ずることにより飲食に起因する衛生上の危害の発生を未然に防ぎ、国民の健康を保護することを目的としております。具体的に食品の販売を行う事業者に対しましては、有毒または有害な物質が含まれる食品の販売等を禁止するなどの規制や監視指導を通じてその遵守状況を確認する責務を厚生労働省として担っております。厚生労働省としてはこの食品衛生法に基づきまして、食品の安全の確保を図るのが責務であります。規制緩和が契機であるか否かに関わらず食品の安全性を揺るがす問題が生じた場合にはまずは全力を挙げて原因の究明に取り組むとともに、しっかりとしたエビデンスに基づいて再発防止策を講じていくことが重要であると考えております。

 神谷氏:力強いご答弁、ありがとうございます。まさに全力を挙げて原因究明をし、再発防止に取り組んでいただき、それをエビデンスに基づいて行っていくことが重要であるというふうに、私も思います。今回の件でいかに健康に関連することが国民に不安を与えるのかということが再度、確認されたところだと思います。
 そして前回、機能性表示食品を認めた際は、行政の関与が全くないいわゆる健康食品が市場から淘汰されることが期待をされて、規制緩和が進んだというふうに認識をしております。規制緩和で、果たして目的が達成ができるものなのか、そしてそれが国民にとってどういう影響を与えていくことなのか。ぜひそういったことも踏まえて国民の健康と安心を守るための取り組みを今後も厚生労働省には力強く進めていただきたいと思います。

「GLP-1ダイエット」と称した広告、予算確保したネットパトロール事業により一層取り組みを

 神谷氏:続いて未承認医薬品等を用いた治療の医療広告について伺います。これまでいわゆる健康食品に起因する健康被害について質問をしてきましたが、現在、未承認医薬品等に関しても健康被害報告が相次いでいる状況があるというふうに認識をしております。昨今ではオンライン診療が進んでいるという背景を受けて、SNSを使用していると医療機関がインターネット上に展開をしている「GLP-1ダイエット」と称した広告が目に飛び込んでくることが頻繁にあります。これは、こちらが見るわけではなくて、向こうから一方的に表示されるようなものも大変多いというふうに感じています。これは主にオンライン診療を通じて保険適用外の自由診療で本来その薬の適応疾患に罹患をしていない利用者に糖尿病薬を処方して、直接薬を送付する方法を取っていると思われます。
 現在、そのような保険適用外の自由診療によるダイエット目的での糖尿病治療薬の使用によって、健康被害の相談が増えているというふうに聞いております。これは実際、私が聞いた話ですが、関東のオンラインクリニックで処方された糖尿病治療薬を使った方がおられ、副作用が出て非常に体調が悪くなったと。それで近隣の医療機関を受診して対応してもらおうというふうに思ったのですが、近隣の医療機関からは処方元のクリニックで対応するようにというような対応を求められたために、使用者が期待するような対処をしてもらえなかったという事例があったというふうに聞いております。糖尿病治療薬を用いた治療行為をダイエット向けで広告することを含めて、このような治療することは危険な状況であり、行政としても国民への注意喚起が必要と思われます。オンラインでの自由診療やインターネット上の医療広告の是非について、どのように考えているのか、また違反広告をどのように確認をしているのか、厚生労働省の取り組みを教えてください。
 
 厚生労働省浅沼医政局長:お答えいたします。厚生労働省では医療法に基づく適切な医療広告を推進するため、医療広告ガイドラインを作成するとともに、医療機関のウェブサイトの監視等を行うネットパトロール事業を行っており、不適切な表示が見られるウェブサイトを把握した場合には、医療機関に周知し自主的な見直しを促したり、都道府県等に情報提供し都道府県等において必要な指導等を行うこととしております。ご指摘の未承認医薬品等を用いた自由診療のネット上の広告につきましてはこれまでも、未承認薬医薬品等であること、入手経路等、国内の承認医薬品等の有無、諸外国における安全性等にかかる情報、こうした要件を明示することをQ&Aにおいて求めておりましたが、ネットパトロール事業におきまして、議員ご指摘のGLP-1ダイエット関係の通報受付件数が増えていることを踏まえまして、分化会において検討を行った結果、先ほどの要件を医療広告ガイドラインで明示することとしたほか、併せまして未承認医薬品等は医薬品副作用被害対策救済制度等の救済の対象にならないことについても明示することを求めることといたしました。厚生労働省といたしましては医療広告規制に関する取り締まりを行う都道府県等とも連携しながら、医療広告の適正化に取り組んでまいりたいと考えております。

 神谷氏:ありがとうございます。ご説明のあった、令和6年3月22日の通知でインフォームドコンセントの対応方針が改正されて、また未承認医薬品等を用いた自由診療に関して5つの項目を医療広告ガイドラインに記載された限定解除の要件にしているということも理解しました。
 今、副作用救済制度の対象にならないという話がありました。私は薬剤師としても、非常にそれは重要なことではないかというふうに思っております。そういった要件ができているということは理解をしましたし、また未承認薬であることや重大な副作用についても明示されるということなので一定の効果を期待したいところ、なんですが、実際にスマートフォンを使ってそれらを見てみるとですね、非常に目を引くような綺麗な写真がたくさんありまして、さも効果を期待する、その気持ちが高ぶるようなグラフもたくさん強調されて、さらに鮮やかな文字がその効果を謳っているという中で、注意する項目が非常に小さくさらに灰色とかの薄い文字で掲載をされている状況を見ると、ほとんど印象に残らないというふうに感じています。
 そういった状況もふまえまして、先ほどご答弁の中にもありました平成29年から実施されているネットパトロール事業、これを今後もより一層しっかりと取り組んでいただきまして、予算も確保して継続して、さらなる対応策をしっかりと検討して進めていただきたいということでお願いを申し上げます。ただいま例として取り上げさせていただいたGLP-1受容体作動薬は供給を上回る需要が発生し、それによって厚生労働省より在庫逼迫に伴う適正使用の周知があったことも記憶に新しいところであります。

医薬品供給情報公開、「代替品用意にも有効な同薬効類似薬検索など、効果的な情報の集約や提供方法検討を」

 神谷氏:(前述のGLP-1の在庫逼迫、)それも踏まえて、続けて医薬品供給不安報告の活用について伺います。
 3月15日の厚生労働省保険局医療課から通知された「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」では、やむを得ない場合に後発品の処方内容であっても先発品へ、患者さんの同意が得られれば変更調剤を当面の間可能として良い、また剤形に関してもある程度一定変更するのもよいというものが通知されました。
 医薬品提供の現場からは非常に大変大きな反響がありまして、発生から今、4年以上医薬品供給問題というものが継続しておりますが、その現時点においても後発医薬品の供給不足が多くの保険薬局の業務を逼迫している証拠である、また場合によっては医療機関等にも大変な影響を与えているんだということを再確認しているところであります。
 この4月1日から製造販売業者が厚生労働省に供給状況を報告をすることとなりました。報告が事前にあれば、薬剤師は事前に用意可能な代替品を検討することが可能になってまいります。代替処方を提案するなどして処方医と連携をとって患者さんが薬を手にすることができる環境を作っていくことが重要であり、それが非常に効果的であるというふうに考えています。また企業からの供給状況報告は厚生労働省に大変お骨折りをいただいて、反映されるようになったため利用価値が非常に高くなったというふうに感じています。
 供給不安報告の入り口があり、出口として供給状況報告があると考えると、代替品を検討しやすいように同薬効類似薬検索などができるようになるなどの機能が充実してくれば、前述のようなやり取りがしやすくなることが期待できます。効果的な情報の集約や提供方法を今後どのように考えているか、厚生労働省にお尋ねします。

 厚生労働省内山医療情報審議官:医薬品の供給不足が判明した場合等にはこれまでも製薬メーカーより厚生労働省に対し出荷状況や代替薬等の報告を行っていただくといった取り組みを実施してきたところです。今般、供給不足のそれを早期に報告いただき供給不足を未然に防止する観点、それから収集した情報を薬局や医療機関へ提供する観点からご指摘いただいたように4月1日より供給不足が生じる恐れが判明した場合の供給不安報告と供給不足が生じた場合の供給状況報告の2つに整理することとしたところでございます。まず供給不安報告につきましては医療現場への影響が大きい医療用医薬品等を対象として製品の基本情報、生産、出荷、在庫の数量、供給不足が生じる恐れに関する原因などをご報告していただくこととしてございます。次に供給状況報告におきましては、すべての医療用医薬品を対象としまして限定出荷等の理由の詳細、改善の見込み、代替薬の情報などをご提供いただいておりまして、供給状況を速やかに医療機関や薬局に共有する観点からこうした情報を取りまとめて厚生労働省のウェブサイトで公表し随時更新をさせていただいているところでございます。また令和5年度補正予算事業におきましては、薬局や医療機関等の関係者の方々がより利用しやすい形でご報告していただけるようにするとともに一般の国民の皆様も含めて見やすい形でご覧いただけるようにシステム化に向けた検討を始めたところでございます。
 こうした検討も踏まえながら引き続き医薬品の供給状況について医療現場等への適切な情報提供に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 神谷氏:ご回答ありがとうございます。令和5年4月25日の厚生労働委員会で私から是非随時反映されるような仕組みを作っていただきたいとお願いさせていただいていることもありまして、このような仕組みをつくっていただいたことにまずこの場をお借りして感謝を申し上げます。またご説明のあった調査研究事業は令和5年度の補正予算による事業だということも今、ご説明の中にありました。現在の医薬品の安定供給で一番不利益を受けてるのは、やはり患者さんであるというふうに思います。何軒も薬局を回っている、5軒目であるとか、お子さんを連れて回っているお母さんもいらっしゃるというふうに聞くと、ご本人も家族も今、大変な負担を受けているような状況ではないかと思っております。またそれに対応する医療従事者に対しても大変な負担があるということも考えますと、こういった事業は大変意味があることであるというふうに感じています。ぜひ来年度も予算化をして、使い勝手の向上も含めてより供給問題による不利益解消に結びつく、さらに分かりやすい方法を引き続き検討して前に進めていただくことを期待をしております。

災害薬事コーディネーター、「災害が頻発する昨今の状況を鑑みスピード感をもって全都道府県へ配置できるように育成を」

 神谷氏:続いて薬事コーディネーターの育成について伺います。代替薬の提案に薬剤師が職能を発揮した事例は、今般の能登半島地震でも見聞きをするところであります。そのように医薬品が適切に提供される体制を確保できるということは重要であるというふうに考えております。災害時には災害やコーディネーターがそのために幅広い調整役を務めることが期待されています。先ほど申し上げた能登半島地震では、石川県に災害薬事コーディネーターがいなかったため、災害医療の知識の経験のある薬剤師資格を有する大学教員や市の職員として市立病院勤務経験のある薬剤師がその役割を果たしたというふうに聞いております。具体的には災害対策本部において、石川県や国からの薬事に関する要請に対して、現場の第一線にいる石川県薬剤師会との連絡調整をすることでスムーズな意思疎通が可能となり、意思決定スピードがあがったことで迅速な対応に結びついたと聞いております。例えば災害対策本部より支援医薬品を避難所に配置してほしいという要請があったそうです。その際に石川県薬剤師会は他の被災地支援にはいっていてすぐには対応が出来ないと言う状況がありました。その際に災害薬事コーディネーターが災害対策本部におりまして、日本薬剤師会の災害支援チームがどういった日程でどういう人数でどれくらい入ってくるのかということを把握していた為に、災害対策本部と調整をして支援医薬品の配置を計画的にかつ速やかに進めることができたというふうに聞いております。第8次医療計画においても災害薬事コーディネーターの配置の必要性を記載するよう指摘されています。そのような災害薬事コーディネーター育成に令和6年度は500万円の予算が計上されていると承知していますが、災害が頻発する昨今の状況を鑑みるとより多くの災害薬事コーディネーターをスピード感をもって全都道府県へ配置できるように育成していくことが必要ではないかと考えますが、厚生労働省のご答弁をお願いいたします。

 厚生労働省城医薬局長:お答え申し上げます。ご指摘の災害薬事コーディネーターでございますが、被災地における医薬品や薬剤師等に関するニーズの把握、そしてこれらの支援のためのマッチング等を行う薬剤師でございまして、都道府県が任命するものでございます。第8次医療計画の指針におきましても都道府県が設置する保険医療福祉調整本部の一員として位置づけられているところでございます。厚生労働省におきましては令和6年度の予算事業と致しまして、都道府県における災害薬事コーディネーター養成のための研修の実施に関する補助事業を実施することにしております。そのほか、都道府県等による連携会議によりまして先駆的な都道府県の取り組みを共有するなど致しまして、都道府県と国が一体となって体制整備に取り組む予定でございます。また薬剤師のための災害対策マニュアルというものがございまして、これは平成23年度の厚生労働省関係科学研究により作成してございますが、昨今の大規模災害などの状況を踏まえまして令和5年度研究費によりましてこの改正版の検討をいただいたところでございます。今後この改正版のマニュアルを都道府県に周知いたしまして体制整備の参考としていただくこととしております。今後も引き続きまして各都道府県における災害薬事コーディネーターの養成を支援して災害発生時の医療活動に資するよう都道府県と共に取り組んでまいりたいと考えております。

 神谷氏:ご答弁ありがとうございます。災害対応の体制整備は各都道府県の実情に合ったものを検討していく必要があるというふうに思います。マニュアルを基にそれぞれの都道府県でしっかりと検討を深めていくことは非常に有用であるというふうに感じています。そして大切なのはそれを基にそれぞれの都道府県、地域ごとに継続して訓練を行っていくことが重要だというふうに考えております。引き続き研修や訓練やそれに向けた様々な対策の準備ができるように実施可能な予算確保をして進めていただければというふうに思っております。

医療系大学教育におけるITリテラシー向上、サイバーセキュリティの教育検討を

 神谷氏:続けて、医療系大学教育におけるITリテラシーについて文部科学省について伺います。
 医療現場では多くの病院で電子カルテが使われており、2020年の一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会の調査では、電子カルテシステムの導入病院数は4000件を超え全病院8205軒に対し49.7%と5割に迫る普及率となっています。さらに400床以上では86.5%もの病院に電子カルテが導入されています。
 一方、2022年10月、大阪の総合病院がランサムウエア攻撃の被害に遭い、システム復旧には2カ月を要するなど重大なサイバー攻撃に関する事例も報告されています。今後さまざまな医療DXが進展しようとする中、現場ではデジタル化が進まず非効率的な作業を実施するケースも散見され、まだまだITリテラシーが高くないのが実際のところではないかというふうに思います。医療系学部の大学教育の時点でこれからはITリテラシーが求められることが明確に伝わるようにするべきだと考えます。
 薬学部では新しい令和4年版の薬学教育モデルコアカリキュラムに、デジタルに関する内容が含まれていることは承知しておりますが、現在の状況も踏まえて、より一層、ITリテラシーの向上を目指した教育が医療系大学教育で必要だと考えますが文部科学省の考えをお聞かせください。

 文部科学省奥野審議官:お答え申し上げます。ご指摘の通り、ビッグデータや人工知能を含めまして医療分野で扱う情報は質も量も拡大拡張しておるところでございます。そしてこれらの適切な活用が求められる中におきまして、医療系の大学においてITリテラシーも含めた情報科学技術に関する教育が適切に行われることは重要であると考えております。このため先生からご指摘いただきました通り、文部科学省におきましては医師、歯科医師、薬剤師の養成過程において学生が卒業時までに身につけておくべき必須の実践的臨床能力を明確化したモデルコアカリキュラムを令和4年度に改訂いたしまして、新たに情報科学技術を生かす能力を各職種に求められる基本的な資質能力に位置づけたところでございます。そして薬学教育モデルコアカリキュラムにおきましても、臨床薬学に関する情報科学技術の倫理規範等を遵守し人工知能やビッグデータ等の科学技術を積極的に活用することについて明記しております。またこの4年度に改訂致しました薬学教育モデルコアカリキュラムにつきましては、令和6年度より適用を開始しているところでございまして、文部科学省といたしましても、引き続き現場の声に耳を傾けながら、将来医療人として活躍する学生への教育が適切に実施されますよう、各大学の取り組みを促してまいりたいと考えております。

 神谷氏:ありがとうございます。医療におけるDXの利活用能力の習得について、教育が今、進められているということが分かりました。さらに今後、サイバーセキュリティーに対応する教育についてもぜひご検討をお願いしたいというふうに思います。医療現場で働いているスタッフのITリテラシー向上も重要であると考えます。医療機関のみならず薬局や他省庁とも連携をしてITリテラシー向上に向けて進めていけるよう、お願いを申し上げて私からの質問を終わります。ありがとうございました。

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