【中医協】長期収載品の保険給付の在り方、日薬「少なくとも出荷調整の成分は選定療養の対象とすべきではない」

【中医協】長期収載品の保険給付の在り方、日薬「少なくとも出荷調整の成分は選定療養の対象とすべきではない」

【2023.11.24配信】厚生労働省は11月24日、中医協を開き、長期収載品の保険給付の在り方について議論した。


 長期収載品の保険給付費の在り方については、11月9日の社会保障審議会医療保険部会において、後発薬との差分まるごとを自己負担とする参照価格制度ではなく、差分の一定の比率、あるいは上限設定などにより選定療養の対象として自己負担とする方向性が示されていた。この大きな方向については、同日の中医協でも大きな異論は出なかったものの、対象の設定については医療上の必要性を考慮すべきなどの意見が出た。

 この論点に対し、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、医療上の観点から患者の状態によって薬剤変更することで治療に影響する場合、後発品と適用が異なる場合など合理的な理由がある場合については、これまで通りの保険給付対象とすべきとの考えを示した。この判断において調剤現場に負荷がかからないよう、明確かつ簡素な仕組みとする必要があるとした。

 また、安定供給との関係については、患者へ交付可能な薬剤が現状、限定されている中、処方変更などをやむを得ず行うことがあるとし、「調剤時に後発品がないからといって金銭的な負担を患者に求めることは到底できない」と述べた。「出荷調整となっていない医薬品でも入手が困難な状況であり、少なくとも出荷調整の成分は対象とすべきではないが、その品目も日々変化している」(森氏)とした。その上で、「現状でどのように制度が適切に運用できるのか、急に現場が混乱しないよう、施行の時期などを含め、慎重な検討が必要」と指摘した。

 一方、日本医師会常任理事の長島公之氏は「原則、処方権は医師にある」と述べた上で、医師が医学的な判断により長期収載品を選択した場合には患者の選択によるものではないため選択療養の対象にすべきではないとの見解を示した。

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