【医薬品販売実態調査】濫用のおそれのある医薬品の複数購入対応で店舗の遵守率低下/厚労省

【医薬品販売実態調査】濫用のおそれのある医薬品の複数購入対応で店舗の遵守率低下/厚労省

【2023.09.01配信】厚生労働省は9月1日、「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表した。店舗での販売に関する調査では、全体的な遵守率は横ばいだったが、第1類医薬品における「使用者の状況についての確認」「情報提供された内容を理解したかどうか等の確認」や「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応が適切であった」等の項目で遵守率が低下していた。


「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応が適切であった」、店舗76.5%、ネット82.0%。

 厚生労働省では、毎年、医薬品の販売の実態を調査している、

 令和4年度調査では、店舗での販売において、「要指導医薬品販売における文書による情報提供の有無」や「第1類医薬品販売における文書による情報提供の有無」等の項目で改善が見られた。その一方、「第1類医薬品販売において情報提供された内容を理解したかどうか等の確認の有無」及び「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応」についての遵守率が低下していた。
 厚労省では、特に「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応」に関して、「令和5年4月1日より、濫用等のおそれのある医薬品の対象品目が拡大されたことから、新たに対象となった品目においても当該項目が遵守されるよう販売ルールの徹底が必要と考えている」としている。

 主な調査結果は以下の通り。

◎店舗での販売に関する調査
 全体的な遵守率は横ばいであったが、第一類医薬品における「使用者の状況についての確認」「情報提供された内容を理解したかどうか等の確認」や「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応が適切であった」等の項目で遵守率が低下している。
○ 第一類医薬品における「使用者の状況についての確認があった」*1:91.0%
○ 第一類医薬品における「情報提供された内容を理解したかどうか等の確認があった」*2:57.8%
○ 「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応が適切であった」*3:76.5%

◎インターネットでの販売に関する調査
 全体的な遵守率は横ばいであったが、「濫用等のおそれがある医薬品を複数購入しようとしたときの対応が適切であった」の項目は、前回より遵守率が上昇している。また、「相談に対応した者の資格が薬剤師であった*4」等の一部の項目では、店舗に比べ遵守率が低い。

 第一類医薬品に関して「使用者の状況について確認があった」は店舗91.0%、ネット97.8%。「相談に対応した者の資格が薬剤師であった」は店舗95.6%、ネット69.0%。

 第二類医薬品等に関して「相談に対応した者の資格が薬剤師または登録販売者であった*4」は店舗90.6%、ネット71.4%。「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応が適切であった」は店舗76.5%、ネット82.0%。

 なお、「相談に対応した者の資格が薬剤師であった」と「相談に対応した者の資格が薬剤師または登録販売者であった」は、薬剤師、登録販売者かどうか不明な場合は含まない。
医薬品医療機器等法上の根拠規定は以下の通り。
*1 法36条の10第2項
*2 法36条の10第1項
*3 法第9条第1項、法第29条の2第1項
*4 法36条の10第5項

この記事のライター

関連するキーワード


医薬品販売制度実態把握調査

関連する投稿


【抗原検査キットの販売実態】偽陰性の可能性説明、遵守低い結果/厚労省

【抗原検査キットの販売実態】偽陰性の可能性説明、遵守低い結果/厚労省

【2023.09.01配信】厚生労働省は9月1日、「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表した。今回の令和4年度調査では、一般用新型コロナウイルス抗原定性検査キットの販売時の情報提供の状況に係る調査も実施した。同品の販売にあたっては厚労省が販売時に偽陰性の可能性があること等について特に丁寧に説明することなどの留意事項を示しているが、これらの事項について情報提供を行っていた割合は低い結果だった。


最新の投稿


【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。


【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。


【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。


【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【2025.04.26配信】日本薬剤師会は電子おくすり手帳簡易ビューワーアプリ「e薬 SCAN」について、他職種への周知依頼を都道府県薬剤師会宛てに発出した。


【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング