提示された「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会報告書(案)」(全体版)は39ページにわたるもの。
他方、2ページにまとめた「報告書(案)のポイント」も公表された。「ポイント」では各事項において、現状分析といえる【主な課題】に加え、短期的な対策といえる【対策の方向性】、さらには中長期的課題と受け止められる【引き続き検討すべき課題】の3つを記載している。
この中で、薬価差の問題に触れている「適切な医薬品流通に向けた取組」の項では、【主な課題】として、薬価差について、「①取引条件等の違い(例えば都市部と離島の配送コスト)から必然的に発生するもの」と「②薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉により発生するものがある」と分析。「現在は、医薬分業の進展とともに、取引主体が医療機関から薬局にシフトしている。チェーン薬局・価格交渉を代行する業者の大規模化により価格交渉力を強め、経営原資を得ることを目的に、医薬品の価値に関わりなく前回改定時と同じベースでの総価値引き交渉が行われていることなど、薬価差を得る目的での取引が増加。一部で過度な薬価差の偏在が課題となっている」と記載した。さらに、「特に⾧期収載品や後発品は、品目数が多いことから、価格交渉の実務的な負担を減らす観点から、総価取引が行われることが多く、値引きの際の調整に使用されるため、薬価の下落幅が大きくなっている」との問題点も指摘した。
【対策の方向性】では、流通改善ガイドラインを改訂する方針を明示。「まずは、流通関係者全員が医薬品特有の取引慣行や過度な薬価差等の是正を図り、適切な流通取引が行われる環境を整備するため、医療上の必要性の高い医薬品について、従来の取引とは別枠とするなど、総価取引改善に向け、流通改善ガイドラインを改訂」と記載した。
【引き続き検討すべき課題】では、まずは詳細な調査の必要性を指摘。「購入主体別やカテゴリー別の取引価格の状況や過度な値引き要求等の詳細を調査した上で、海外でクローバックや公定マージンが導入されていることも踏まえ、流通の改善など、過度な薬価差の偏在の是正策を検討」とした。さらに、調整幅に関する対応の検討も記載。「薬剤流通安定のためのものとされている調整幅について、流通コストの状況等を踏まえ、どのような対応を取り得るか検討」とした。
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