薬局機能情報提供制度では、薬局に係る制度改正等に伴い、定期的に報告項目の見直しを行っているが、今回は、「患者にとって必要な情報が網羅されていないのではないか」といった指摘や、「在宅対応等、他職種向けの情報も含めるべきではないか」「単に体制があることの報告となっており、実績の有無がわからない」などの指摘を受け、見直すもの。行政の施策の進捗のエビデンスとして活用すべきではないかとの意見にも配慮する。
こうしたことから、主に「患者・住民のための薬局の基本情報」や「在宅医療への対応」、「健康サポート機能に関する事項」、「有事への対応等」、「ICTへの対応」、「行政が施策検討等において必要とする情報」などの項目を追加する。
各カテゴリーの追加される項目は以下の通り。
1.患者・住民のための薬局の基本情報
【薬局の体制等】
薬局の面積
薬剤配送サービスの利用可否(配送費用、ロッカー等による受取サービスの有無)
勤務薬剤師の常勤・非常勤、非常勤(常勤換算)の別
調剤報酬に係る状況等(調剤基本料の区分、その他加算の取得状況)
【医療機関との連携状況】
入院時、退院時、その他のタイミングでの医療機関への情報提供の実績を追加
※ 現状は、医療機関への情報共有や提供体制の有無に関する項目のみ存在
受診勧奨に係る情報等を医療機関に提供する体制(⇒実績を追加)
リフィル処方箋の対応状況(実績の件数)
2.薬局の機能・提供サービス(在宅医療への対応)
【在宅医療等の体制】
無菌製剤処理に係る調剤(以下の項目を追加(現在は実施可否のみ))
・ 無菌調剤室/クリーンベンチ/安全キャビネットの有無
・ 無菌製剤処理に係る調剤を当該薬局で実施した処方箋数/他の薬局の無菌調剤室を利用して実施した回数
麻薬に係る調剤
・ 実施可否に加え、実績を追加
携帯型ディスポーザブルポンプ(PCA型)※の取扱いの有無
※ 特定保険医療材料の「008 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ(3)PCA型」の機能区分に該当するもの
高度管理医療機器販売業、高度管理医療機器貸与業の許可の有無
医療的ケア児・者への薬学的管理・指導の可否
小児(15歳未満)患者への訪問薬剤管理指導の実績の有無
【医療機関との連携状況】 【再掲】
入院時、退院時、その他のタイミングでの医療機関への情報提供の実績を追加
※ 現状は、医療機関への情報共有や提供体制の有無に関する項目のみ存在
受診勧奨に係る情報等を医療機関に提供する体制(⇒実績を追加)
(健康サポート機能に関する事項)
【薬局の提供サービス等】
一般用医薬品等の取扱い状況に関する項目の追加
・ 店舗販売業併設の有無
・ 薬局医薬品/要指導医薬品/一般用医薬品の取扱い品目数
・ 特別用途食品(病者用食品、乳児用調整乳、嚥下困難者用食品)の取扱いの有無
特定販売の実施状況
・ 方法(電話、インターネット、カタログ等)、時間、医薬品の区分
薬剤師以外の者の従事状況
登録販売者、その他資格者(管理栄養士、栄養士、保健師、助産師、看護師、准看護師)の人数
検体測定室の設置の有無(検査項目(血糖値等)、費用)
(有事への対応等)
【有事への対応等】
新興感染症への対応
・ 事業継続計画(BCP)の策定の有無
・ 改正感染症法に基づく都道府県との協定の締結の有無
・ その他新興感染症発生時に薬局に求められる対応の実施状況
(例えば、新型コロナウイルス抗原検査キットの販売状況のようなものが考えられる)
災害への対応
・ 事業継続計画(BCP)の策定の有無【再掲】
調剤報酬に係る状況等【再掲】 (例:連携強化加算の施設基準の届出状況 等)
(ICTへの対応)
【ICTの活用状況等】
オンライン服薬指導への対応
・ 対応するシステム、接続URL
・ オンライン服薬指導の実施実績
オンライン資格確認等システムを通じ取得した薬剤情報等を活用した服薬指導の実施
※ 電子処方箋の導入状況は既に項目として設定されている
相談の応需体制
・ 相談方法(電話、メール、ショートメッセージ 等)
【その他】
認定薬剤師の種類及び人数(「地域薬学ケア専門薬剤師」、「外来がん治療専門薬剤師」を追加)
緊急避妊薬調剤への対応状況
薬剤服用歴管理の実施の有無 ⇒ 削除
(電磁的記録による薬剤服用歴管理の実施の有無の項目のみとする)
3.その他
○ 地域連携薬局等に関する事項については、これまで、認定前月時点の過去1年分の実績を報告することとしていたが、一部の項目について、認定薬局以外に対しても報告を求めることを踏まえ、他の項目と報告時点を揃えることとし、12月31日を起点とする。
○ 緊急的に薬局に対し報告を求める必要が出た場合に対応が可能となるよう、 「その他厚生労働大臣が必要とする事項」を追加し、具体的な項目は通知等により示すこととする。
○ その他、項目の名称等について、現状に合わせ、適宜修正することとする。
(例) (旧) クレジットカードによる料金の支払の可否 ⇒ (新) 電子決済による料金の支払の可否
加えて、「行政が施策検討等において必要とする情報等」については、「行政が施策検討等において必要とする情報については、薬局機能情報提供制度の趣旨を踏まえると、患者や住民が薬局を選択する際に必要ではない情報もある可能性がある。そのような情報があった場合の取扱いについては、公表の是非も含め、検討することが必要と考えている」との考えを示した。
委員からは、薬局の負担が重くなることなどへの懸念も示されたが、大きな異論は出ず、了承された。

【薬局機能情報提供制度】麻薬調剤実績など項目追加/令和6年1月から予定/他職種向け情報にも配慮
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