同日の中医協では全国医療情報プラットフォームで3文書(診療情報提供書および退院サマリー、健診結果報告書)、およびそれに含まれる6情報(①傷病名、②アレルギー情報、③感染症情報、④薬剤禁忌情報、⑤検査情報、⑥処方情報)を共有していくことなども議論されたが、これについて、日薬・森副会長は、「プラットフォームの整備によりさまざまな情報共有ができるようになるため、その情報を活用して医療・介護の質向上に取り組んでいくべきものと考えます」と賛成の立場を示した上で、薬局からの情報提供も重要になるとの考えを示した。
次のように述べた。「3文書6情報の標準規格の作成と情報交換や共有についてはその仕組みに薬局も加わっており、薬局が積極的に情報提供していくことは質の高い医療の提供につながります。医療機関と同様に、薬局でも患者への調剤や指導等の情報を調剤録として記録しております。調剤録も標準化し、関係者と共有できるようにして医療の質向上に貢献していることも重要です」(森副会長)。
そのほか、「診療報酬DX」については、慎重な検討を求めた。「改定の施行時期の後ろ倒しは財政影響や改定結果の検証期間はもちろん、薬価改定やそれらに関する調査の時期や期間等にも影響します。改定のあり方などを含め慎重に検討していくべきと考えます。また共通算定モジュールの導入、基本マスター、各種様式の電子化等は軽減につながりますが4月改定を前提としていたサイクルが変わることなどで現場が混乱しないよう丁寧な説明や配慮が必要と考えます」(森副会長)とした。
さらにサイバーセキュリティ対策については、「薬局でも日々の情報を扱っているためセキュリティ対策に取り組んでいる」として、薬局向けのガイドラインの検討も求めた。「今後、ガイドラインに準拠して対策していくことになりますが中小の薬局は現行のガイドラインのままでは対応が難しい部分もありますので、中小の薬局にも適したガイドラインの作成は必要ではないかと考えます。またセキュリティに関する研修を実施することも重要です。薬局向けの研修が実施される際には薬剤師会としても多くの薬局に受講いただくよう働きかけを行っていきたいと思います」とした。
医療DXによる取組を診療報酬の中で評価することについては、「これからの次回改定に向けた具体的な議論において患者のため医療の質向上のために医療DXを進めていくということ、利便性ではなく安全性を重視することを念頭において検討を進めていくべきと考えます」と述べた。

【厚労省_中医協】日薬・森副会長、調剤録の標準化求める/医療DXに関連して「薬局からの情報も重要」
【2023.04.26配信】厚生労働省は4月26日に中央社会保険医療協議会(中医協) 総会を開き、医療DXについてをテーマとした。この中で日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、調剤録の標準化も求めた。
最新の投稿
【東京都】薬剤師確保策、多摩地区の療養病床などの薬剤部と薬学生の就職相談会実施
【2023.11.29配信】東京都保健医療局薬務課は11月29日に定例会見を開き、薬剤師確保策として病院薬剤部と薬学生との就職相談会などを実施していく方針を示した。
【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」
【2023.11.28配信】適切かつ安全に緊急避妊薬にアクセスできる社会の実現を目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は11月28日、「緊急避妊薬OTC化の試験的運用の周知、及び迅速かつ全面的なOTC化実現を求める要望書」を厚生労働省に提出した。厚労省は医薬局医薬品審査管理課長の中井清人氏が受け取った。同日、試験的運用が開始されたことを受けたもの。
【日本薬剤師会】「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」HP公開/都道府県別対応薬局リストも閲覧可能
【2023.11.28配信】日本薬剤師会は11月28日、「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」に関する一般向けのホームページを公開した。同日から同事業が開始されることに合わせたもの。
【医療保険者団体】診療報酬改定要望を武見厚労相に提出/薬価改定では「市場実勢価格引き下げ分は国民に還元を」
【2023.11.27配信】健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、全国健康保険協会、全日本海員組合、日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会の6団体は連名で、武見敬三厚生労働大臣宛てに「令和6年度診療報酬改定に関する要請」を提出した。
【日本薬剤師連盟】薬剤師議員懇談会開催/賃金上昇への改定財源を改めて訴える/加藤勝信前厚生労働相など参席
【2023.11.27配信】日本薬剤師会は11月27日、自由民主党薬剤師問題議員懇談会総会を開催した。年度の会計報告を含めた総会を実施するとともに、改めて薬局が物価高騰・賃金上昇に対応するために必要な診療報酬改定財源の確保などを直接、国会議員に求めた。