【ロート製薬】歩行パターンセンサ企業に出資/「歩行寿命」の延伸実現に向けた取組み開始

【ロート製薬】歩行パターンセンサ企業に出資/「歩行寿命」の延伸実現に向けた取組み開始

【2023.04.03配信】ロート製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:杉本雅史氏)は2023年3月23日、足のモーションセンサーを開発・販売する株式会社ORPHE(本社:東京都渋谷区、代表取締役:菊川裕也氏)からの第三者割当増資を引き受けて資本参加するとともに、医療法人社団青泉会下北沢病院(所在地:東京都世田谷区、理事長:久道勝也氏)の協力のもと、株式会社アシックス(本社:神戸市中央区、代表取締役社長CEO兼COO:廣田康人氏)、ORPHE、ロート製薬は、歩容データをもとにした健康寿命および歩行寿命延伸を目指した取組を行うことで合意したと公表した。


ORPHEのほか、下北沢病院、アシックスと協力し「歩行健康度」のアルゴリズム構築へ

 今回の取り組みにより、ORPHE社が有するセンサを用いて、歩数や歩行スピード、ストライド(歩幅)、接地角度、立脚時間などの歩容(歩行パターン)データを収集し、アシックススポーツ工学研究所が長年培ってきた足と歩き方に関する独自の知見と、下北沢病院が有する臨床データ・医療データなどを組み合わせた分析をもとに、健常時~未病状態における歩行状態から健康状態をスコア化した「歩行健康度」のアルゴリズムの構築を行い、より多くの個人・事業者・自治体・医療機関などに活用されるモジュール化を目指す。

 また、疾患から回復期におけるメディカル分野において、変形性膝関節症(膝OA)などをはじめとする足の疾患のリハビリ時に、疾患別の症状や歩き方の改善が図れているかをスコアリングし、それを元に医師および理学療法士が定量的な分析を行い、通院時の指導に活かせるパッケージ開発も目指す。この開発には、下北沢病院が有する臨床データや患者に向き合ってきた膨大な知見を活かす。これらは、医療分野での疾患予防、遠隔診断や遠隔指導および弊社再生医療と組み合わせなど、将来的な活用可能性を探りながら、より多くの幅広い医療機関等での活用を目指していく。

 ロート製薬は、「ロートグループ総合経営ビジョン2030 Connect for Well-being」を掲げている。同社は「私たちは、社会を支え、明日の世界を創るため、今後も社内外のパートナーとともに活動を推進して参ります」としている。

 なお、株式会社ORPHEは、「足元から世界を変える」をミッションに掲げ、創業以来スマートシューズの研究開発を行っている。提供するスマートシューズプラットフォーム「ORPHE(オルフェ)」は靴内のセンサから歩容解析を行い、履いているだけで歩行速度、着地角度、着地衝撃といった様々な指標を記録することを可能とする。今後はこの技術を医療・ヘルスケア分野へ応用し、誰もが日常的に使う靴がインタフェースとなることで、あらゆる人の健康寿命を延ばし、楽しく歩き続けられるような社会を実現していきたいとしている。

 株式会社アシックスは、人間の運動動作に着目・分析し、独自に開発した素材や構造・技術を用いることで、アスリートだけではなく、世界の人々の可能性を最大限に引き出す技術・製品・サービスを生み出すことに注力。「私たち誰もが一生涯運動・スポーツに関わり心と身体が健康で居続けられる世界の実現を目指しています」としている。

 医療法人社団青泉会 下北沢病院は、足病総合センターと糖尿病センターを立ち上げ、日本で初めて「足病学(ポダイアトリー)」をテーマに掲げた診療をスタートした医療機関。米国には「足病学(ポダイアトリー)」という足という臓器に特化した学問があり、約1万5000人の足病医(ポダイアトリスト)が足に関する診療に従事している。米国では足に関するトラブルが起こった際にはまず足病医に相談するのが一般的という。しかし、日本には専門科は存在せず、個々の判断により様々な科に受診し、なかなか連携が取れていないのが現状という。同院では、「単に悪い患部を取り除くだけではなく、“足から健康を支えていく。”をコンセプトにより根本的、包括的に未病にアプローチしていきます」としている。

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